レイニ「僕はまだ何もない」 1年の歌手活動を通して思うことーー自己評価“ゼロ”の真意を聞く

レイニ、自己評価の真意

大好きなワンオクからのヒント、アルバムの細部に宿るこだわり

ーー「無口な涙」からリリースされた順番どおりに聴いていくと、レイニさんの心持ちが陰から陽へと変化していく様を感じることができますが、バランスを取りながら各曲が配置された1枚のアルバムとして聴くと、めちゃくちゃ心地よく楽しめるんですよ。ご自身的には1曲ごとに真摯に向き合ってきた楽曲を、起伏を付けながら並べたアルバムを聴いてみて、どう感じましたか?

レイニ:おっしゃるように、僕もめちゃくちゃ聴きやすいと思いました。ただ、僕自身は1曲1曲を録った時点で何百回も聴いているので……僕、完成した自分の曲をプライベートでもひたすらループして聴くんですよ。たぶん僕のことを好きで聴いてくれている方よりも、絶対に聴いている回数が多いはずで。それこそ僕、あまりほかのアーティストの曲って聴かないいし、自分の曲ばかり聴いちゃうんです。それはただの自己満足でそうしているのではなくて、「ここはもっとこうしたほうがよかったかな」とか研究や反省の意味もあるんですが、自分の粗探しが好きなんですよ(笑)。そういうことばかりやってるから……アルバムとしては聴きやすい流れかもしれないけど、1曲1曲はすでに聴き飽きてしまっているんです。

ーーでも、自分の粗探しをするために飽きるほど聴き返すのって、つらくなりませんか?

レイニ:僕の場合、逆に自分の自信になるんですよ。このアルバムではないんですけど、もっと何年も前に録ったデモもいまだに聴き返したりしますし。スマホの中に何百曲ものデモ音源が入っているんですが、たまに聴き返しながら鼻歌で歌ってみると「ああ、今のほうがいいな」と成長を感じることもできる。完全に自己満かもしれないですけど、自分に自信を付けるという意味では過去の自分と向き合うことはいいのかもしれないなって。なので、この『Act. 0』も次のアルバムが出た頃にはそういう過去の存在になっているのかもしれませんね。

ーーアルバム用に制作された「I'm in love」と「アルストロメリア」についても、話を聞かせてください。「I'm in love」はtararebaのお2人(竹縄航太、岩野亨)が作詞作曲を手掛けていますが、制作にあたって何かオーダーなどはありましたか?

レイニ:僕の楽曲ってゆったりめのテンポが多かったので、「ちょっとアップテンポな曲をやりたいね」ということをtararebaのお2人にお伝えして、作っていただきました。

レイニ - アルストロメリア(at 26.01.24「Act. 0」スペシャルライヴイベント)

ーー歌詞に関しては、レイニさんからリクエストってありました?

レイニ:いや、まったくしてなくて、完全にお任せでした。

ーー楽曲を提供してもらうときって、大まかな曲調はオーダーしつつも、歌詞に関してはお任せにすることが多い?

レイニ:初期の楽曲には自分のそのときの心情を伝えて書いてもらった曲がありますし、ドラマ主題歌(「ラストレター」「Spiral feat. Yura」)はドラマサイドとテーマを擦り合わせが必要ですし、「アルストロメリア」はバンドメンバーとリハーサルを重ねていく中で、いいギターリフができて、その空気感に合った歌詞を自分が書きましたし。そう考えると、歌詞をお任せというのは「I'm in love」くらいかもしれないです。

レイニ - Spiral feat. Yura (Music Video)

ーー「アルストロメリア」を最後に置くとか、そういった曲順に関してはどのように決めていきましたか?

レイニ:「無口な涙」はインディーズ時代最初に出した曲なので、アルバムはこの曲から始めたいと提案しました。そこから「ナイトサーカス」を際立たせるために、曲が始まる前にインタールード(「<Rainy day>」)を入れようとか、「Spiral feat. Yura」で男女の恋愛における葛藤を歌ったあとに、「<Call me>」でこれからちょっと前向きに頑張っていこうよって話をするんですが、その後ろで「I'm in love」のインストがながれていて、そこから「I'm in love」へとつながっていくとか。あと、「アルストロメリア」はみんなでわいわい歌う感じがエンディングに合っているし、アルストロメリアという花の花言葉が「未来への憧れ」「友情」だったので、自分の感情がたっぷり込められた歌を届けたくて最後に置きました。

ーーどこか真夜中を感じさせる「無口な涙」から徐々に光が差していき、最後の「アルストロメリア」で完全に闇が晴れるような、どこかストーリー性を感じさせる流れですよね。

レイニ:そうですね。「アルストロメリア」の前に「夜のカケラ」が入っているので、一瞬「また闇に戻ってしまうのか?」と思われるかもしれないけど、最後の〈誰か ぼくを みつけて〉というフレーズから仲間たちと和気藹々とした様子を伝える「<@ the studio>」を経て、「アルストロメリア」へと繋いでいくことでずっと夜明けを待っていた感じも出せているんじゃないかなと思って。実は僕、最初は曲のエンディングでその次の曲のインストが小さく流れるような構成をイメージしていたんです。ちょっとクロスフェードするような形で、ちょうどいいビートのタイミングで次の曲に切り替わるみたいな。ただ、さすがに全曲それだとやりすぎだろうと却下されてしまって(笑)、結果的にインタールードを箇所箇所に入れて近い形に仕上げることができたんです。実はこれ、自分が大好きなワンオク(ONE OK ROCK)からヒントを得ていて。どのアルバムだったかちょっと記憶があやふやなんですけど、ある曲がエンディングを迎えるとき、その曲の最後の数秒間に次の曲のイントロが若干流れるという形だったんですけど、その繋ぎ方がすごくカッコよくて、いつか自分もやりたいと思っていたんです。

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