レイニ「僕はまだ何もない」 1年の歌手活動を通して思うことーー自己評価“ゼロ”の真意を聞く

レイニが1月21日に1stアルバム『Act. 0』をリリースし、その二日後にはスペシャルライブイベントを開催。さらに、そのイベントにて『1st.ワンマンライブ“Summer of'26”』の開催を発表するなど、怒涛の活動を展開している。
『Act. 0』はタイトルの通り、物語の序章、“ゼロ地点”にいるレイニの真っ新な今を刻み込んだ作品だ。しかし、そこに詰め込まれた豊かな音楽や芳醇に響く彼の歌声を聴くと、「これがゼロ?」と思わず首を捻ってしまう。2025年にデビューして1年ではあるが、音楽業と俳優業の両軸で忙しなく過ごしてきた日々は非常に濃密なものだった。そこで培われた経験がいかに有意義なものだったのかは『Act. 0』を一聴するだけで伝わってくる。それほどに完成度が高い一枚になっているのだ。
「自分の粗探しが好きなんですよ(笑)」と冗談混じりに話すレイニは、とても謙虚な人だと思う。ただ裏を返すと、より高みへと向かう自己研鑽への執念がひときわ強いということではないか。どこか飄々としていながらも、確かな熱を持ったレイニの言葉を届けたい。(編集部)【最終ページに読者プレゼントあり】
「僕はまだ何もない」ーー1年の歌手活動を通して思うこと

ーー1stアルバム『Act. 0』がリリースされてから少し時間が経ちました。リリースイベントやSNSなどを通じて、レイニさんのもとにも反響が届いているかと思いますが。
レイニ:もちろん、応援してくれている方からの「よかったよ」という声は届いているんですけど、僕のことを知らなかった人のもとにまでアルバムが届いているのかというと、まだそういう声を耳にしたわけじゃないので、もっといろんな人に聴いてもらいたいですね。そういう意味では、まだ始まったばかりという印象かな。
ーーまずはアルバムを完成させて、ひとつめの大きなハードルを乗り越えたばかりと。
レイニ:まさにそのとおりですね。
ーー前回のインタビュー(※1)は昨年7月初頭に行ったものでしたが、その際にこのアルバムの準備を進めているとおっしゃっていました。あの時点で「こういうアルバムにしたい」というイメージって持っていましたか?
レイニ:いや、全然。僕、物事を長期的に考えるのがとても苦手なんです。曲作りもそうですけど、その瞬間その瞬間にしか目が向かなくて。だから、あのときはまだ真っ白でしたし、9月から3カ月連続配信した3曲(「Flower」「アコガレ」「ナイトサーカス」)もアルバム用に制作した新曲2曲(「I'm in love」「アルストロメリア」)も、アルバムの方向性がどうこう考える以前に目の前にある1曲1曲と真摯に向き合っただけで。ただ、そうして完成した曲が並んだときにお互いのいいところを引き出しあって、結果的にアルバムとしていいまとまりになったのかなと思っています。そもそも、僕はアルバムを作ることが初めてだったので、その作り方すら知らなかったですし。アルバムに向けて曲を作っていくというよりは、曲をひたすら作り続けていった結果アルバムになったというのが正解かもしれません。それもあって、「まだ自分は何も始まっていない、今がゼロでここからがスタート」という意味を込めてタイトルを『Act. 0』にしたんです。
ーーなるほど。にしても、1作目のタイトルでゼロと言い切ってしまうところが、すごく潔いなと思いましたよ。
レイニ:そうなのかな(笑)。だって僕、名前に「レイ(=0)」が入っているじゃないですか。「012」でレイニになるので、ゼロから始めるのは必然なのかなと思ったんですよ。でも、いい意味か悪い意味かは置いておいて、僕は結構自分のことを下に見がちで。自分には何もないとずっと思ってきたので、『Act. 0』というタイトルはそういう表れでもあるかもしれません。
ーーこれだけいろんな楽曲を作ってきて、それなりに反響も感じてきた1年を過ごしてもまだ、「自分には何もない」っていう感覚は拭えないですか?
レイニ:そう言われちゃうと、ちょっと聴いている方に失礼かもしれないですけど、自分のことだけを考えるなら、僕はまだ何もないなとは思います。
ーーとはいえ昨年1月のメジャーデビュー以降、リリースする楽曲にドラマのタイアップが付いて話題になったり、ドラマ『グラスハート』で注目を集めたりと、いろんな場面で知ってもらう機会が増えましたし、活動自体もすごく充実しているように映ります。それでもご自身の中では、何か確固たるものをひとつ持てたとか、そういう自信は感じられていない?
レイニ:この1年を通して、僕の中で自信が付いたなって感じられる瞬間は、ライブはもちろんなんですけど、こうやって人とお喋りしているときかもしれないです。例えば、こういうインタビューでお話するのもそうだし、ラジオに出演するときもそうだし、リリースイベントでファンの皆さんと対面でお話するのもそうだし、飲みの場で会話するのもそう。僕はそもそも、そんなに人と話すことが得意な人間じゃなかったので、人と対面して会話をして自分の言葉を伝えることが以前はなかなかできなかった。なので、そういう部分では自信を得られています。


ーーそういえば、1年前に初めてインタビューしたとき(※2)はまだ緊張しながらお話していましたものね。
レイニ:そうですね。あの頃は自分なりに頑張って喋ってました(笑)。
ーーそれこそ、ちゃんとお話できるかどうか不安で、事前にスタッフさん相手にインタビューの予行練習をしたそうですし。
レイニ:やりました(笑)。それくらい、1年前は人との喋り方も知らなかったし、「どうやって笑顔になればいいんだろう」とか考えちゃうくらいでしたから。それこそ良いか悪いかは置いておいて、あの頃の僕はきっと今よりもっとアーティストっぽかった気もするんですよ。そういう意味では、あの頃の自分も大切にしたいなと最近思うようになりました。
ーー言い方が合っているかわからないけど、より人間味が増したのかなと。今日も会話のラリー含めて、温度感が以前よりも高まっている気がしますし。そして、そういう熱の部分はレイニさんが作り出す音楽や歌にも、比例して高まっていると思うんです。そこを踏まえて考えると、今回のアルバム『Act. 0』はレイニさんがここ1、2年の経験を積み重ねていく中で変わっていく、進化していく姿が明確に刻まれている。もし今がゼロだというのなら、『Act. 0』はゼロに向けて前進していく記録ということなのかもしれませんね。
レイニ:なるほど、そう考えると過去の自分も大切にしたいと最近思うようになったことも、自分なりに納得がいきます。だからなのか……このアルバムを聴いていると、若干寂しさも感じるんです。

ーー寂しさですか?
レイニ:はい。今はこうやって明るく楽しい感じでいられていますけど、そうじゃなかった頃の自分にしか書けない、歌えない曲というのもあるわけで。特にインディーズ時代の「無口な涙」「夜のカケラ」「CALLING」は今の自分には書けないなと思ったりもしますし、自分的にもあの頃のジメッとした空気のある楽曲が好きなので、またあの感覚を取り戻せないかなと思っているところです。
ーー人間、生きていれば感情の浮き沈みがあるでしょうし、もしかしたら「無口な涙」や「夜のカケラ」を制作した頃の感情と再びリンクするタイミングもくるかもしれません。
レイニ:でも、それはそれで怖いんですよね(笑)。また喋れなくなってしまうかもしれませんし、そうなったら人が離れていってしまうかもしれない。そういう感情の変化を投影するのが表現活動なのかもしれないけど、難しいですね。



















