Mr.Children & Mrs. GREEN APPLE 平成と令和の“国民的バンド”が『Mステ』で見せた継承と共鳴のドラマ

 1月30日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)は、J-POP史におけるひとつの結節点として、長く記憶される一夜となったと思う。この日、スタジオに集結した出演者のなかでも、ひと際熱い視線を集めていたのがMr.ChildrenとMrs. GREEN APPLEの2組だ。平成という時代をその楽曲群で彩り、今なおトップランナーとして走り続けるMr.Children。そして、令和の音楽シーンを牽引し、破竹の勢いでその規模を拡大し続けるMrs. GREEN APPLE。まさに平成と令和の国民的バンドが同じステージに立ち、それぞれの現在地を提示した今回の共演は、単なる共演の枠を超えた、ある種の継承と共鳴のドラマを感じさせるものだった。

【1/30(金)Mステ】Mr.Children・Mrs. GREEN APPLE・ちゃんみな…超豪華6組!

 まず、Mr.Childrenという存在が日本の音楽シーンにおいて果たしてきた役割をあらためて振り返りたい。1992年のデビュー以来、彼らが築き上げてきた功績は、数字上の記録だけでは到底語り尽くせない。「innocent world」「Tomorrow never knows」「名もなき詩」といった、90年代の音楽シーンを象徴するメガヒットの数々。しかし、彼らが真に偉大である理由は、そのセールスの巨大さ以上に、桜井和寿(Vo/Gt)という表現者が紡ぐ言葉の浸透力にある。人間の弱さや矛盾、社会への冷静な視線、そしてその暗闇のなかでも見出そうとする光。桜井が描く世界観は、リスナーの人生のそれぞれの局面ごとに異なる色彩をもって響き渡る。彼らの音楽は、30年以上の歳月をかけて、日本人の血肉の一部と言っても過言ではないほど深く根を張っている。

 対するMrs. GREEN APPLEは、2015年のメジャーデビュー以来、フロントマン・大森元貴(Vo/Gt)の圧倒的なボーカルスキルと、既存のジャンルの枠にとらわれない自由奔放なポップセンスで、瞬く間に若者たちの代弁者となった。特に2022年の“フェーズ2”開幕以降の快進撃は、日本の音楽界における“国民的”という概念をアップデートし続けている。「ダンスホール」「ケセラセラ」といった楽曲は、ストリーミングチャートを長期間にわたって席巻し、老若男女を問わず全世代に浸透した。彼らが鳴らす音は、緻密な計算に基づきながらも、聴き手の心にダイレクトに突き刺さる強烈な生命力に満ちている。直近のドームツアーの成功やメディア露出の多さを見れば、彼らがすでに一過性のブームを遥かに超え、“国民的バンド”としての王道を歩んでいることは疑いようがない。

 そんな平成/令和という時代が生んだ巨星である2組の共演において、多くのファンが思い起こしたのは、Mrs. GREEN APPLEというバンド名にまつわる有名なエピソードではないだろうか。かつて大森はインタビュー(※1)で、バンド名を決める際の舞台裏を明かしている。メンバーとファミレスで会議をしていた際、誰もが知る名詞を入れたいという理由で「GREEN APPLE」という案が出た。そこに大森が、中性的なイメージやアンバランスな面白さを求めて「Mrs.」を付け加えたのだが、そこには重要な“配慮”が含まれていた。当時、まだ何者でもなかった彼らが、日本のロックシーンの頂点に君臨するMr.Childrenの存在を意識し、敬意を表する意味でも「Mr.」という冠は避けたのだという。結果として「ミセス」という愛称は定着し、今やその名はMr.Childrenとも並び、音楽チャートを席巻するようになった。あの日、ファミレスのメニューを眺めながら先達への敬意を込めて名前を選んだ若者たちが、シーンに台頭した。これほどまでに美しい“名前の物語”があるだろうか。

 迎えた放送当日、オープニングの階段を最初に降りてきたのはMr.Children。そのあとにMrs. GREEN APPLEが続いたことにも意味を感じてしまった。京本大我(SixTONES)やちゃんみな、石原慎也(Saucy Dog)がMr.Childrenからの影響や交流を語り、その存在感をあらためて示すなか、Mrs. GREEN APPLEの出番へ。紹介VTRを真剣な目で見つめる桜井の姿が印象的に映った。パフォーマンスしたのは、フェーズ3第1弾楽曲である最新曲「lulu.」。ストリングスやコーラス、ダンサーを従えながらのステージはまさに王者の風格で、伸びやかに響く大森の歌声からは、時代を率いる覚悟が感じられた。

 Mr.Childrenは番組の最後に登場した。ドラマ『リブート』(TBS系)の主題歌でもある新曲「Again」を披露。バンドメンバーにピアノとサックスが加わったシンプルな構成だ。苦悩の日々とわずかな希望をハンドマイクを通して伝える桜井、そしてバンドの姿からは、確かに“ロックバンドの生き様”を感じ取ることができた。番組内での直接の交流は見られなかったが、互いのパフォーマンスの熱量が何より多くを語っていたと思う。

Mrs. GREEN APPLEに地味に幸せを感じる瞬間を聞いてみたらわちゃわちゃしてた【Mステ】

 Mr.Childrenという揺るぎない芯を持ち続ける存在と、Mrs. GREEN APPLEという色鮮やかに変化し続ける存在。この2組が同じ番組内でそれぞれの音楽を奏で、互いの存在を認め合いながら存在する。その幸福な事実に感謝しつつ、私たちはこれからも、彼らが描く新しい物語を追いかけていくことになるだろう。この夜の余韻は、冷めることなく、明日を照らす光となっていくはずだ。

※1:https://crea.bunshun.jp/articles/-/13653?page=4

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