EXILEが証明する、グループの存在意義とエンタメの持つエネルギー 豪華メンバーが集結したドームツアーファイナル

EXILEドームツアーファイナルレポ

 楽曲によってメンバー編成を変えながら、あくまでもEXILEとしての一体感を大事にしてきた前半戦。本編中盤からは、メンバーや楽曲の個性がより際立つステージへとシフトチェンジしていった。まずは、「A!SO!BO!」を合図に始まったEXILE THE SECONDのブロック。ステージ裏での公開生着替えでタキシード姿に変身した5人は、パーティーチューンの「YEAH!! YEAH!! YEAH!!」と「SUPER FLY」を立て続けに投下。「SUPER FLY」ではSTARTING MEMBERもそれぞれ異なるコスチュームで登場し、ミュージカルのようなパフォーマンスで観客を魅了する。美女に変身した木村が、ダンディなAKIRAとプレイボーイ役の神谷に抱き上げられる三角関係や、王子様風の衣装で現れた堀・澤本コンビには、ひと際大きな歓声が上がった。そこに入れ違いで登場したのは、SHOKICHIやAKIRAがプロデューサーとして選出した、LDHの新星・THE JET BOY BANGERZ。パフォーマー全員が現役Dリーガーである彼らは、10人という大所帯でデビュー曲「Jettin'」を披露。自信に満ち溢れたアグレッシブな群舞とマイクリレーで客席を沸かせた。

 EXILE THE SECONDとJr.EXILE(STARTING MEMBER)のコラボや、LDHのDNAを色濃く受け継ぐTHE JET BOY BANGERZの存在が、“EXILEの未来”を象徴していたのに対し、次のブロックでは“EXILEの原点”を象徴する楽曲たちが続く。ストリングスの豊かな音色に導かれるようにライトアップすると、そこはまるでフラワーガーデン。色とりどりの花で飾られたオブジェを背にして、自らもブーケを手にしたATSUSHIとTAKAHIROが、少し照れ臭そうに寄り添いながらスタンバイしていた。2人が少女にブーケを手渡すと、花柄のセットアップに身を包んだEXILEとSTARTING MEMBERが続々と集まり、「Each Other's Way 〜旅の途中〜」へ。ATSUSHIが「みなさんの心の中の美しい花が、いつまでも咲き続けていられますように」と言い添えたのは、「Flower Song」。「Lovers Again」「ふたつの唇」「Ti Amo」といった極上のラブバラードも“This is EXILE”と言うべき一面で、神谷や山本の芝居を交えた官能的なステージングが観客の視線を釘付けにしていた。「響 ~HIBIKI~」では、照明とダンスをリンクさせた美しい演出も。しなやかなダンスが彩った花道の先で、ATSUSHIとTAKAHIROは2人にとって特別な思い入れのある「道」を大合唱し、会場に集った30000人の観客と思い出を重ねる。その光景は、恐らく、多くのEXILEファンが待ち望んでいたものだろう。もちろん、EXILE THE SECONDのメンバーや世界・佐藤も多くの功績を残しているのだが、短い静寂の後、ATSUSHIからのメッセージとソロ曲『Just The Way You Are』が溢れ出すと、彼の誠実な歌声に“EXILEの原点”を強く実感したのだった。

 パフォーマーによるダンスブロックでは、先輩後輩の垣根を越えたパフォーマンスバトルが勃発した。TETSUYAが率いるチームには、アクロバットやフットワークに定評のある浦川と岩谷が参戦。ライブ中、終始笑顔だった佐藤も、アクロバティックなソロでは勇ましい表情に。俳優としても活躍する藤原と堀を引き連れたNAOTOが挑発的な表情で煽れば、サングラス姿のAKIRAと小林が圧倒的な存在感で迎え撃つ。橘はTHE JET BOY BANGERZのSHOWやTAKUMIと共に、特技のポッピンダンスを披露。細かすぎる音ハメで踊り倒す世界のソロは、さすがダンスの申し子といった完成度で、すごすぎて思わず笑いがこみ上げた。

 そんなダンスブロックを経て、デビュー24周年を迎えた9月27日にリリースした新曲「Get-go!」が披露されると、早くも本編終盤。ATSUSHI、TAKAHIRO、NESMITH、SHOKICHIの歌声を全身に浴びながら、パフォーマーもリズミカルに手を振る。そして「VICTORY」「Someday -House Mix」の掛け声やタオル回しで、さらに心を1つに。「BOW & ARROWS」では、メンバーが固まってポージングをとる傍ら、NESMITHと世界がおどける場面もありつつ、「WON'T BE LONG」「Ki・mi・ni・mu・chu」「銀河鉄道999」といったライブ定番曲で賑やかに駆け抜けた。

 アンコールには、LDHが運営するアパレルブランド・24karatsのロゴの衣装で揃えたメンバーが登場。ATSUSHIがEXILEの旧友であるDOBERMAN INCを呼び込むと、彼らの吼えるようなラップがメンバーと観客の心を燃え上がらせる。その勢いに乗って、「24karats」を冠した楽曲による「24karats Special Medley」が始まると、いつの間にかメンバーの多くが上裸で拳を突き上げていた。これもまた、EXILEのライブではよく見かける光景だ。とはいえ、まさか次の瞬間、彼らがお揃いのグッズTシャツ姿でにこやかに「Smile」を歌っているとは……。しかし、油断ならないほど、次々に新たな表情を見せてくれるのが、EXILEというグループの面白いところ。演奏後のMCで、TAKAHIROも「オラついた『24karats Special Medley』の直後に、ピースフルな『Smile』を歌うという、ジェットコースターのようなライブについてきてくださることが嬉しいです。みなさん、長年応援してくださっている証拠だなと(笑)。本当にありがとうございました!」と語った。

 ここでは、ツアーファイナルということでパフォーマーによるMCタイムも。東海地方出身の“Mr.EXILE”ことAKIRAは「ただいま~!」「おかえり〜!」というファンとのコール&レスポンスを楽しんでから、「ファンのみなさんも出演者もそうだと思うんですけど、人生の半分以上、EXILEというエンタテインメントが隣り合わせにあって。こうやって共感し合えるルーツ、ソウルがあるというのは、本当に感慨深いなと思いました」とコメント。世界はかつて『EXILE PERFORMER BATTLE AUDITION』でライバル同士だったメンバーやFANTASTICSのメンバーと、このステージに立てた喜びを噛みしめた上で、間もなく迎える『LDH PERFECT YEAR 2026』を見据え、「毎年PERFECT YEARにできるように、しっかり底上げできるように頑張っていきたいと思います」と意気込んだ。「THE RAMPAGE兼、MASSIVE THE RAMPAGE兼、EXILE B HAPPY兼、EXILE STARTING MEMBER兼……」という長すぎる自己紹介に、すかさず橘とTAKAHIROから鋭いツッコミが入ったのは、ムードメーカーの浦川。彼がマシンガンのように放つ感謝の言葉とEXILE愛を受けて、ATSUSHIも「若いメンバーが多いので、楽屋でも学校みたいな感じで。EXILEって、まだまだ青春してたかったんだなって思いました」と微笑む。続けて「コロナ禍を経験して、こうしてみなさんのお顔を拝見できることが当たり前じゃないって痛感しているから、来年の抱負を聞かれても答えられないんですけど。目標や抱負がなくても、みなさんの笑顔を目の前で見られて、同じ時間を共有できて、最高にハッピーな気持ちがお互いに通じ合える――それだけでいいって心から思っているんです」と語り、「みなさん、人生そっくりそのまま、EXILEと共に青春しませんか!?」と呼びかけると、ラストナンバー「Rising Sun」へ。不屈の魂を込めた祈りの歌が、2025年と2026年に橋を架けるように鳴り響いた。

 なお、前日のバンテリンドーム ナゴヤ公演では、2026年4月21日・22日に約3年4カ月ぶりとなる東京ドーム公演『EXILE LIVE 2026 “THE REASON” ~PERFECT YEAR Special~』を開催することが発表されており、EXILEのメンバーたちは他にも、『EXILE ATSUSHI LIVE TOUR 2026 ”Heart to Heart” Season 3』『EXILE THE SECOND LIVE TOUR 2026 "PERFECT YEAR BEST ~Born To Be Wild~"』『FANTASTICS LIVE TOUR 2026 "SUNFLOWER"』などに出演が決まっている。

 これまで、各メンバーの力を合わせることで大きく進化してきたEXILEに、LDHにとって6年ぶりとなる一大イベント『LDH PERFECT YEAR 2026』はどんな刺激を与えるのか。相乗効果で上昇していくLDHエンタテインメントに来年も期待したい。

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