“f5veらしさ”を見出したロサンゼルスの夜――日米の境界で生まれたドリームグループ、今年の集大成

f5veが、2025年12月2日にアメリカ・ロサンゼルスのAurora Warehouseで開催されたグローバルショーケース『ennichi ’25 Japanese Music Experience LA presented by CEIPA × TOYOTA GROUP “MUSIC WAY PROJECT”』に出演した。


本イベントは、日本の音楽業界の主要5団体(日本レコード協会、日本音楽事業者協会、日本音楽制作者連盟、日本音楽出版社協会、コンサートプロモーターズ協会)による一般社団法人カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会(略称:CEIPA)とTOYOTA GROUPの共創プロジェクト『MUSIC WAY PROJECT』の主催によるもの。今年3月には同主催で『matsuri ’25 Japanese Music Experience LOS ANGELES』が開催され、Ado、YOASOBI、新しい学校のリーダーズがラインナップに名を連ねた。今回の『ennichi ’25』では、f5veのほかAwich、JP THE WAVY、PSYCHIC FEVERが出演した。


KAEDE、SAYAKA、MIYUU、RURI、RUIの5人から成る東京発の異次元ドリームグループ・f5ve。本稿では彼女たちのアメリカでの活動に焦点を当てる。今年5月にアメリカ公式デビューの舞台として用意されたのは、ロサンゼルス。サブカルチャーや次世代ナイトライフがテーマのコミュニティ・Subcultureがプロデュースした単独ライブはチケット完売。6月には世界最大級のLGBTQ+フェスの一つ『LadyLand Festival』(ニューヨーク)に出演し、ドラァグクイーンのダンスパフォーマンスを目の当たりにするなど、各地のコンセプチュアルなイベントを通して経験値を積み重ねてきた。それから半年が経った12月、日本代表として『ennichi ’25』のパフォーマーに抜擢された。海外渡航を取り巻く環境やコストの負担が増す中で、年に3度もアメリカでライブを行う日本拠点のアーティストは決して多くない。



トップバッターを務めたf5veのメンバーがステージに登場するや否や、会場から大歓声が上がった。東京の大都会を思わせる洗練されたサウンド、そして、名物プロデューサー・BloodPop®を含むアメリカ人制作チームならではの“海外から見た日本”の視点も感じさせる、どこか非現実的なドリームポップ。それこそが、彼女たちの音楽が多様なダイバーシティに受け入れられている理由の一つだろう。


例えば「Firetruck」の〈大きい声で 言ってください〉という歌詞は、発音的に“イッテクダサイ”と聞こえ、日本語ネイティブではないニュアンスとして響いたり、現代のアメリカ人があまり日常的に使わない〈Bow Chicka Wow Wow〉といったフレーズを日本人が用いることで、かえってキャッチーに聞こえたりする。近年のアメリカでは、 “トーキョー”や“ラーメン”といったカタカナ表記のTシャツを着たりタトゥーを入れることが、クールで日本へのリスペクトだとされるムーブメントが密かにあるが、日本人的には少し違和感を覚えるーーそれと近い感覚だ。日本とアメリカの境界線だからこそ生まれるクリエーションがf5veには詰め込まれている。日本語の歌詞までも一緒に歌い上げる現地のhi-5(f5veのファンダムネーム)を会場で多く見かけたのは、まさにその表れだろう。なお、会場には彼女たちを暖かく見守るBloodPop®の姿もあった。

トークパートでは、メンバー全員が自己紹介にとどまらず、英語で“会話”を交わしながらファンとコミュニケーションを取っている姿も印象的だった。「f5veは、普段聴くJ-POPとは何かが違って。聴くと病みつきになってしまうんです!」と声を弾ませて話す女子グループや、他州から駆けつけた熱心なファンも見られた。ライブの最後には、11月にリリースされたばかりのニューアルバム『SEQUENCE 01.5 (dreaming of the 2nd 1st impact - consequences of fate redux)』より、季節感あふれる「Snowman (Hannah Diamond Remix)」を披露。f5veの原点でもあるアンダーグラウンド・エレクトロニックの世界観を見せつけ、会場をダンスフロア化させてステージを締めくくった。























