もさを。はなぜ“恋愛ソング”を歌うのか 学生時代に出会った愛、音楽……新曲「スノードーム」に至る原点を語る

 シンガーソングライターのもさを。が、配信シングル「スノードーム」をリリースした。澄んだ歌声と煌びやかなサウンドが光る“恋愛ソングの名手” もさを。の魅力が凝縮された、冬を彩る切ないクリスマスソングになっている。

 活動休止を経て、今年6月に“顔出し”にて活動を再開したもさを。。リアルサウンドでは、再びアーティストとして歩み始めるに至った経緯から「スノードーム」に込めた想い、学生時代の音楽との出会いにまで遡ってインタビュー。今年、新たなスタートを切ったもさを。の原点に迫った。(編集部)

「まだ自分は音楽をしていたいんだな」――再び歩み出したアーティストの道

――もさを。さんは今年の6月に活動を再開。同時に顔出しもされました。顔出しをして活動してみていかがですか?

もさを。:テレビ出演も含めて、いろいろな媒体に出させてもらうことが増えて。顔出しして良かったなと思います。

――約一年半の活動休止を経ての活動再開となりましたが、再開はどのような思いで決めたのでしょうか?

もさを。:「ぎゅっと。」(2020年)をリリースしてしばらくは上り調子だったのですが、活動していくにあたって見えてくる現実もあって。そこで、一度休んで音楽というものを見つめ直そうと思い、活動休止をしたんです。だから再開するにあたっては「もう一度いちからやってみよう」という気持ちでした。

 今までは音楽活動の中で数字ばかり気にしてしまうところがあったんです。だけど、ファンのみんなの存在の大きさにあらためて気づくことができました。活動を休止しているあいだも「いつ戻ってくるの?」と気にかけてくれるメッセージを受け取っていたので、数字よりも「ファンのみんなに届ける」という意識で活動をするようになりました。今は活動を楽しめていますね。

――音楽と向き合うために休止をされたとのことですが、そのあいだはどういったことを考えていらっしゃったのでしょうか?

もさを。:音楽と離れるつもりでいました。でも、ふとした瞬間に「また音楽をやりたいな」という思いが芽生えて。気づいたら音楽を口ずさんでいるんですよ。だから「ああ、まだ自分は音楽をしていたいんだな」って。

――その気持ちに気づいたとき、うれしかったのでは?

もさを。:うれしかったと同時に「また同じ思いをするのかな」という不安もありましたね。そこで後押しをしてくれたのが、ファンの方の声だったんです。

――再開後は『Re-union』をリリースしたあと、Carlos K.さんをアレンジャーに迎えて「ヒロイン」と「スノードーム」を制作されました。これはどういった思いからだったのでしょうか?

もさを。:『Re-union』のときも、1曲ごとにいろんなアレンジャーさんと組んでやっていて。これからもこの方式でやってみたいなと思っていたので、スタッフさんに相談してCarlos K.さんとご一緒させてもらうことになりました。

――Carlos K.さんとの作業はいかがでしたか?

もさを。:やっぱりすごいなと思いました。Carlos K.さんのスタジオにお邪魔して、一緒に制作をさせていただいたんですが、4時間くらいでアレンジを仕上げちゃうんですよ。本当にすごかったです。

――Carlos K.さんとのタッグで作った最新曲が「スノードーム」。この曲はどういったところからできたものなのでしょうか?

もさを。:冬の曲を作りたいなと思っていて。駅までの帰り道を想像して、そこから物語を広げていきました。「冬のプレゼント」(2020年)とか「Snow White」(2023年)とか、これまで、暖かさを感じる冬曲を作ってきたので、今回新たな切ない曲に挑戦しようと思って。「触れたくても触れられない」という距離感を描くために、スノードームの中と外という描き方をしました。

スノードーム / もさを。【Music Video】

――この曲に関してCarlos K.さんとはどのようなやりとりがあったのでしょうか?

もさを。:この曲は、デモをお渡ししてアレンジしていただくという形だったので、キャッチボールしたわけではなかったのですが、アレンジされたものを受け取って、ブラスが入ったイントロがすごく印象的でいいなと思いました。

――ミディアムチューンではありますが、歌い上げるわけでもない。その塩梅も絶妙ですが、レコーディングではどのようなことを意識しましたか?

もさを。:僕の声の持ち味は“温かさ”や“優しさ”だと思うので、そこを活かしながら切なさを出すにはどうしたらいいのかということは考えていましたね。張り上げるのも違うし、おとなしく歌うのも違うし。吐息を多くしたり、鼻に響かせたりして、切なさを出しました。

――出来上がってみてご自身での手応えはいかがですか?

もさを。:いい曲ができたかなと思います。手応えは……あります(笑)。ファンのみんなもひさしぶりの冬曲なので喜んでくれていたらうれしいです。

――ここからはもう少し、もさを。さんの音楽制作や音楽遍歴を掘り下げていけたらと思っているのですが、そもそももさを。さんが女性目線で曲を書くようになったのはどうしてなのでしょうか?

もさを。:最初は、女性目線で書いた「ぎゅっと。」を多くの人に聴いてもらえたから、そこから女性目線の曲を多く書くようになりました。でも書いていくうちに、女性の気持ちを理解したいという気持ちが強くなって。そこからは、もっと自然に「女性目線で書いていこう」という気持ちになりました。

ぎゅっと。/ もさを。【Music Video】

――そもそも「ぎゅっと。」を女性目線で書いたのはどうしてだったんですか?

もさを。:いつも通り、スマートフォンをセットして歌い始めたら自然と〈あなた〉という歌詞が出てきて。

――自然と出てきたんですね。それからは意識して女性目線での歌詞を書いているということですが、どのように女性目線を取り入れているのでしょうか?

もさを。:意識して取り入れているところもありますが、僕の理想というか「女性にはこうあってほしい」という願望も入っているのかも(笑)。歌詞は、練るというよりは、自然と出てきたものをそのまま歌っている感じなので、自分の考えとか理想とか、いろいろなものが混ざっているのかなと思います。

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