前島亜美、繊細な歌声と豊かな表現力 2ndワンマンライブ『Blooming NOTE』で広げた無二の彩り

前島亜美、2ndライブ『Blooming NOTE』レポ

 2024年11月にアルバム『Determination』でアーティストデビュー。今年4月には1stワンマンライブを成功させ、7月には自身初となるタイアップシングル『Wish for you』、そして11月に2ndシングル『不器用に 君のとなり』をリリースした前島亜美。彼女が11月24日にヒューリックホール東京にて2ndワンマンライブ『前島亜美 LIVE 2025 Blooming NOTE』を開催した。

 これまでにアルバム1枚、シングル2枚をリリースしてきた前島。持ち曲は16曲となり、今回が全編自身の楽曲のみで構成される初のライブとなった。セットリストに組み込まれたのも、もちろん16曲。全曲披露ライブである。前島本人が、1stシングル制作時には「この一枚に喜怒哀楽を全部乗せたい」(※1)という意思を持っていたことも明かしているだけに、ポップ、ロック、ラテン、バラードなど、あらゆる曲調が混在する彩り豊かなライブとなった。

前島亜美(撮影=高田真希子)

前島亜美(撮影=高田真希子)

 1曲目は、「Wish for you」。TVアニメ『公女殿下の家庭教師』(TOKYO MXほか)のオープニングテーマとなった曲で、前島にとっては“タイアップ”という夢が叶った記念すべき楽曲だ。前島はステージを覆う黒い幕から姿を現し、頭のワンフレーズをアカペラで歌唱。直後に幕が開くと、ステージ上のバンドメンバーによって一気に音に厚みが増し、会場全体を高揚させた。ステージを見守るファンは、ペンライトに“白群”カラーを灯し、リズムに乗りながらその歌声を浴びていた。

前島亜美(撮影=高田真希子)

 さらに、「MAKE IT NOW」「恋愛主義にクエスチョン」では、4人のダンサーとともにダンスも披露。フリルやリボンが施された衣装を身にまとい、ロックナンバーに乗せてバキバキに踊る姿は、ギャップも抜群。観客のテンションを勢いよく上げていき、場内は熱気に包まれる。これには前島も「熱気がすごい!」と興奮しきり。「SCARLET LOVE」で情熱的な舞いを披露したあとのMCでも、「グッズのパーカーを着ているあみ民(ファンの呼称)は大丈夫ですか?」と心配するほどだった。バラード「星を見上げて」は、しっとり歌唱。最後のサビではミラーボールの光に歌声が繊細に重なり、その豊かな表現力と持ち曲の幅広さを見せつけた。

前島亜美(撮影=高田真希子)

前島亜美(撮影=高田真希子)

 衣装のジャケットを脱ぎ、再びステージに登場すると、その後はダンスブロックへ。ロックチューン「劇薬」から、観客の“あみたコール”が響き渡るコミカルなナンバー「職業:あみた」まで、4曲をノンストップで駆け抜けた。「劇薬」ではダンスでキレのよさを見せ、「ポルターガイスト」ではなめらかな舞いで観る者を酔わせる。長い芸能人生のなかで着実に磨き上げたダンススキルは、もしかしたらこの日のこの瞬間のためにあったのかもしれない――。そう思ってしまいそうになるくらい、手足の先まで魂のこもったダンスの連続。観客は時々釘付けになり、時々一緒にノッたりして、この時間を楽しんでいた。そして、本編ラストとなる「不器用に 君のとなり」へ。初のタイアップシングル表題曲から始まった今回のライブは、2度目のタイアップソングであるTVアニメ『不器用な先輩。』(TOKYO MXほか)エンディングテーマで締めくくられ、熱々になった会場をやさしく包みこんだ。

前島亜美(撮影=高田真希子)

前島亜美(撮影=高田真希子)

 アンコールは、Tシャツに花柄のティアードスカートを合わせて登場。本編外の時間も、色とりどりの“花”と楽曲で彩った。アンコール1曲目は、アーティストデビューの決意を伝える「Determination」、続く2曲目はアーティスト2年目への思いを込めた「Adaptation」。どちらも前島本人が作詞した楽曲で、対になるような構成でこの一年の変遷を聴かせた。

前島亜美(撮影=高田真希子)

 その後のMCでは、「初めてのことがすごく多い一年だった」「『どうやって頑張ったらいいんだろう?』と必死で。チームあみたの皆さんや、応援してくれる皆さんにも助けてもらった一年だったと思う」と振り返った前島。2年目に向けては「もうちょっと肩の力を抜いて、“亜流”に、“亜美流”に活動していきたい」と「Adaptation」の歌詞になぞらえながら語り、「そして今度は皆さんのことを応援したり、皆さんの生活に寄り添ったりできるようなアーティストになりたい」と決意を告げ、「Azurite」へとつなげた。自分の近くで常に寄り添ってくれているファンに向けた同曲が、「皆さんの生活に寄り添えるアーティストになりたい」という彼女の決意を後押しするようだった。

前島亜美(撮影=高田真希子)

「私はまだまだ未熟。今回のライブも反省点がいっぱいあるけど、そのぶん伸びしろもあるということ」

「私には夢がたくさんあります。みんなで叶えたいです」

 2ndシングルのインタビューで、彼女は「ずっと『完璧でいなければ』と思っていたけれど、不器用でもいいんだと気づけた」と語ってくれた前島。未熟さや不器用さを受け入れ、そこに成長の可能性を見出した彼女は、きっとまだまだ進化する。

前島亜美(撮影=高田真希子)

※1:https://realsound.jp/2025/11/post-2215664_2.html

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