KEY TO LITの動画再生はなぜ伸び続ける? 大暴れしながらも“恨めない”5人ならではの面白さ

 KEY TO LITのYouTube動画が勢いに乗っている。SixTONES、Snow Manの同時デビューを皮切りに、メジャーデビューへの流れを生み出す場となっている「ジュニアChannel」において、KEY TO LIT動画の視聴回数が群を抜いて伸びているのだ。

YouTubeの王道企画を目新しくする、5人の個性とプロ意識

KEY TO LIT【A•RA•SHI(嵐)】Arena Tour 2025 WAKE UP THE FOOL より

 KEY TO LITと書いて“キテレツ”と読む彼らのモットーは、まさに“奇天烈”だ。10年以上ジュニアとして活動してきた岩﨑大昇、井上瑞稀、中村嶺亜、猪狩蒼弥、佐々木大光による嵐「A・RA・SHI」のカバーパフォーマンス動画を観れば、事務所の“イズム”が骨の髄まで染み込んだアイドルであることが伝わってくる。アイドルとしての王道を知り尽くしているからこそ、奇天烈な“崩し芸”を披露することができるとも言える。

 YouTube動画の企画自体は、これまで多くの先輩グループが挑んできた定番の内容が多い。KEY TO LITとして最初に投稿したのも、おなじみとも言える5人旅企画だった。だが、彼らの唯一無二の個性と関係性が、企画そのものをみずみずしく更新していく。

KEY TO LIT【いきなり…プライベート旅】俺たち5人の絆...見てほしい!!

 まずは旅の行き先を「長野にしよう」と提案したのは岩﨑だった。整った顔立ちに抜群の歌唱力。グループの宣材写真(※1)でセンターに立つ姿を見れば、王道アイドル然とした立ち居振る舞いを期待されるだろう。そんな岩﨑が長野に行きたがった理由は、出演した番組『ラヴィット!』(TBS系)で麒麟の川島明が紹介していた「お気に入りの蕎麦屋さんが美味しそうだったから」。ところが、岩﨑が目指していた蕎麦店は記憶違いだったことが後に判明。川島本人からX(旧Twitter)でツッコミが入るという、ぽわっとした一面も岩﨑らしい魅力だ(※2)。そもそも旅の目的地が間違っていたという、なんとも奇天烈な展開。こうした一つひとつの場面が、アイドルのYouTube動画への期待から少しだけハミ出すのだ。

 もちろん、“5人で長野へ行って蕎麦を食べて終了”というシンプルな旅になるはずもない。「長野に行くなら、バンジー(ジャンプ)がセットだよ」と言い出すのは、KEY TO LITのブレーンとも言える猪狩。最年少でありながら物怖じせず、笑いへの流れを作っていく。その流れに巻き込まれるのが井上だ。

 かつて岩﨑の代役としてバンジージャンプをする羽目になったこともある井上。彼も決して得意ではないが、「飛ぶしかない」となったらプロ根性でやり遂げるタイプだ。とはいえ、そんな井上の男気でピークを迎えないのが、KEY TO LITの面白さ。なぜなら、「バンジージャンプが大好き」という中村が控えているのだ。バラエティのセオリーでは、バンジー台に登れば恐怖で震えるのがお約束。しかし中村は、「早く飛びたい」と言わんばかりの満面の笑み。普段の甘いセリフやキュートな仕草からは想像できない肝の据わり方で、KEY TO LITの予定調和を崩すキーパーソンとなる。

 一方で、なかなか飛べないメンバーたちはどうするか。最初は「5人の絆を深めよう」などと熱い言葉で奮い立たせようとするが、それでもダメなら負けず嫌いを刺激するために互いを容赦なく煽り合う。「早く飛べ!」「飛んでやるよ!」といったやり取りの末にジャンプし、全員で大笑い。アイドルとしては泥臭い展開だが、それがむしろ青春感を増幅させるのだ。

 その泥臭さの中で光るのが佐々木のピュアさである。車中ではメンバーの好みに合わせた“おやつバッグ”を用意する甲斐甲斐しさ。各場面のオチを担うキャラクター性は、アイドルグループにとって非常に貴重。そんな佐々木を「愛しい」と表現するメンバーの姿には、観ているこちらも思わず頬がゆるむ。運動会動画で、中村が「俺はなんでコイツを恨めないんだろう」とこぼした言葉にも大いに頷いてしまった。

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