あいみょん、『紅白歌合戦』6年連続出場のすごさ 令和の“国民的アーティスト”に相応しい老若男女からの支持と姿勢
シンガーソングライター・あいみょんが今年の『第76回 NHK紅白歌合戦』に出場する。2016年にメジャーデビューを果たし、2018年に「マリーゴールド」で『紅白』に初出場したあいみょんは、2020年以降6年連続、7回目の『紅白』出場となる。これは同世代の女性ソロアーティストでは他に例がなく、浜崎あゆみの15年連続、aikoの11年連続、西野カナの9年連続といった記録を追いかける数字。いわゆる令和世代の女性ソロアーティストとして最多の出演回数を更新し続けており、時代を象徴するアーティストとして確固たる地位を確立しつつある。国民的音楽番組として、そして年の瀬大晦日の象徴として不動の地位を誇る『紅白』に出場し続けるあいみょん。本稿ではその背景や理由について考察したい。
ありとあらゆるタイアップを実現する楽曲とクリーンなイメージ
デビュー当時は「貴方解剖純愛歌 ~死ね~」「生きていたんだよな」といった過激かつ死生観も内包したテーマの楽曲や「愛を伝えたいだとか」における少し難解なサウンドスケープの楽曲で注目を集めたあいみょんだが、特に「マリーゴールド」の大ヒット以降はよりポップかつストレートなメロディの楽曲が中心となった。誰しもが気持ちよく聴ける普遍的なメロディと歌詞、そのクリーンかつより大衆に支持される楽曲作りを証明しているのが、彼女が獲得するタイアップだろう。
2019年リリースの「ハルノヒ」が映画『クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』主題歌に抜擢されると、以降国民的コンテンツとのタイアップが続々と決定。2023年のNHK連続テレビ小説『らんまん』に提供した「愛の花」や、今年は3月に公開された『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』に「スケッチ」「君の夢を聞きながら、僕は笑えるアイデアを!」をそれぞれ主題歌、挿入歌として提供。さらに7月には日曜劇場『19番目のカルテ』(TBS系)に「いちについて」を提供するなど、アニメにドラマと幅広く地上波コンテンツのタイアップを獲得。またキリンビール「淡麗グリーンラベル」のCMに出演し弾き語りを披露したり、結婚情報誌「ゼクシィ」やアサヒ飲料の看板商品「カルピス」のブランドCMソングに抜擢されるなど、日本を代表する著名企業とのタイアップも多数獲得。それ以外にも映画や恋愛バラエティーとあいみょんがあらゆるタイアップソングを手掛けているのは、若者からはもちろんのこと、中高年層に至るまで満遍なく支持されているからだろう。
特に「君はロックを聴かない」に代表されるあいみょんのフォーキーなアコースティック調のサウンドは、若年層には新鮮に、中高年層には懐かしさを帯びて響いているのではないだろうか。タイアップソングを通して彼女の楽曲を知るようなライトリスナーも多く、現在もその支持は拡大。誰しもが一度は耳にしたことのあるアーティストになっている。
全国各地を細やかに回るツアーで地方ファンも獲得
その一方でライブの動員数、公演数も右肩上がりだ。「マリーゴールド」の大ヒット以降、2019年からは毎年20公演以上のツアーを開催。2020年の『AIMYON TOUR 2020 ”ミート・ミート”』や2021年の『AIMYON 弾き語り TOUR 2021 ”傷と悪魔と恋をした!”』など、コロナ禍で開催されたツアーについては緊急事態宣言などを理由に一部の公演が中止されたものの、コンスタントにツアーを開催し、全国各地をしっかりと巡っている。特に2023年の『AIMYON TOUR 2023 - マジカル・バスルーム -』や2024年から25年にかけて開催された『AIMYON TOUR 2024-25 - ドルフィン・アパート -』では公演数を大幅に拡張。40公演超にも及ぶロングツアーで都市圏だけでなく地方都市でもアリーナクラスの会場で公演を重ね、着実に地方でもコアファンを獲得している。この11月からは『AIMYON TOUR 2025+“ヘブンズ・ベーカリー”』を開催。本ツアーは7カ所というショートツアーであるものの、あいみょんがこれまでにワンマンライブを開催したことのない地域を巡るツアーとなっており、このコンセプトからも各地のファンを大切にするあいみょんのライブに対する姿勢を伺い知ることができる。地方都市でもアリーナ会場でライブを開催できる集客力は、彼女が人々を心を掴む歌心を持つ証左といえるだろう。
ポップでキャッチーでありながらもどこかノスタルジックな空気を纏う音楽性でタイアップを獲得し、ライトからコアリスナーまで全国津々浦々でライブを開催できる集客力も持つあいみょん。その大衆性と歌心こそが彼女を令和の国民的シンガーに押し上げ、国民的音楽番組である『紅白』への6年連続出演を叶えているといえそうだ。『紅白』はアーティストが辞退するという選択ももちろんあるが、あいみょんは『紅白』に出続ける。求められればどこにでもライブに出向き、タイアップにも最良の形で応え続ける。その姿勢も“国民的”という肩書きに相応しいのではないだろうか。今年の大晦日もお茶の間にあいみょんの歌声が響く。テレビの前で心待ちにしている老若男女のファンのために。





















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