コレサワ、日本武道館ワンマンを経て貫く“新しいコレサワ” 今考えるメロディと言葉の関係性

私は、すごく愛されて育った自覚があるんです

――「I LOVE ME」は、ラブソングというよりも自分を肯定する曲ですよね。
コレサワ:ファンの女の子たちがよくお手紙をくれるんです。ラブソングに共感してくれる方もたくさんいるんですけど、それこそ「I LOVE ME」のような自分自身、人生における思いを書いた曲から好きになってくれた子も結構多くて。最近のリリースはラブソングが続いていたから、前を向けていない女の子たちが自分のことを好きになれるような曲を書きたいなと思っていたんです。そうしたら、ワコールさんからタイアップのお話をいただいて。しかも、そこには“自分を愛する”っていうテーマがある、と。自分の思いと共鳴していたし、一緒だなと思って。それで、“自分を愛する”=「I LOVE ME」というテーマで曲を作ろうと思ったんです。
――私はどちらかというと自分を否定しがちなんですけど、「I LOVE ME」を聴いて「無理がないな」と思ったんです。無理のない自己肯定ってすごいな、と。
コレサワ:ありがとうございます。私は、すごく愛されて育った自覚があるんです。親からも、友達からも、歴代の恋人たちからも「ちゃんと愛された」っていう自覚がある。友達も、会えば「今日の服かわいいね」「あの曲いいね」と言ってくれる。お互いのいいところを見つけて褒め合える、本当にいい人たちに恵まれていると思う。それこそ、コレンズもそうですけど、いつも「コレちゃん、かわいいね」「コレちゃんのこういうところが大好き」ってファンレターをくれる。大好きを伝えてくれる人が、まわりにたくさんいるんです。そのおかげで「自分でよかった」「私、かわいいんだ!」と、前向きな気持ちになれる。とても愛されているという実感があるんです。
――ああ、なるほど。今のお話を聞いていたら、「私、母親には大事にされていたかも」と気がつきました。
コレサワ:よかった(笑)。自分自身が愛されていることに気づけていない人もたくさんいると思う。全員が全員そうとは思わないですけど、少し視点を変えてみれば「自分は愛されているんだ」と思えるんじゃないかな、って。
――これまで言われていちばん嬉しかった言葉って覚えてます?
コレサワ:何だろう? うーん……たくさん出てくるなあ。でも、言葉ではないですけど「今から電話していい?」と連絡すると、電話してくれる人がいっぱいいて「幸せだな」って思います。その距離感が嬉しい。話を聞いてくれるってことは、私のために時間を作ってくれるということだから。やっぱり同じ時間を一緒に過ごしてくれるのがいちばんだと思う。時間はお金にかえられないものですし、それを自分に使ってくれるのはありがたいなと思いますね。
――すごくコレサワさんらしいお話ですよね。EPの1曲目を飾る「あたしの恋人」はどうやって作っていったんですか。
コレサワ:曲のデモは去年にはあったんです。で、『あたしの恋人 E.P』のリリースが冬になるというのも決まっていて。だから、人恋しくなるような季節にぴったりな曲を作りたいと思った時に、今いちばん歌いたいのは、どんなものにも終わりがあるということだな、って。武道館ライブも無事に終わって、ツアーもお客さんがたくさんきてくれて、なんかもう……とにかく活動が順調じゃないですか。
――それはコレサワさんがしっかり曲をリリースし続けて、ライブもやり続けてきた、これまでの実績の結果と言えるのでは?
コレサワ:たしかにそうなんです。ずっと活動してきたから今があるんですけど、でも「今順調すぎるな」「幸せすぎるな」とも思うんですよ。私、人の一生に降りかかる不幸の量は決まってると思っていて。その不幸が一回でドン! とくるか、ちまちまくるか、それは人それぞれだと思ってるんです。私には大きいのがドン! じゃなくて、棚に足の小指をぶつけたとか、そういうちっちゃい不幸がちまちまきてくれたらいいな、って。
――なるほど。
コレサワ:武道館ライブの前も、「当日に嵐がきたらどうしよう」とか、そういうことを思っていたし。うまくいっている時ほど、このあとにすごくイヤなことが起こるんじゃないかと考えちゃうんですね。この思いって、好きな人に対してもそうで。いつさよならがくるかわからないからこそ、大切な人たちにはちゃんと愛を伝えたい。ちゃんと「好きだよ」「ありがとう」を伝えられる人でありたい。「あたしの恋人」を聴いた人が今いる大切な人たちとの時間が限りあるものだということに気づいて、今以上に感謝して、その人との一緒の時間を大事にしてくれたらいいなと思いますね。

――「あたしの恋人」の〈あたしよりもかわいい子にさ/出会わないで/君以上にも 出会わせないで〉という歌詞は、一緒にいる大切な時間に限りがあることを知ったうえでの願い?
コレサワ:そうです。たとえば、「もしかすると今以上に好きな人に出会っちゃったりするのかな?」とか考えちゃったりして、今の人が最高だと思っているけど、「でも、もしこれ以上の最高な人現れたらイヤだ!」みたいな。
――「イヤだ」となるんですね。
コレサワ:そう、イヤなんです(笑)。だから、「君以上の人にもう出会わせないでください」でもあるし、「私以上にも出会わないでください」という気持ちを込めています。
――「あたしの恋人」はメロディもシンプルですよね。少し懐かしい、カントリー調のメロディというか。
コレサワ:アレンジもかなりカントリーに寄せてもらいました。私にとっては懐かしいけど、「もしかしたら10代の子には新しく聴こえたりするのかな?」とか、そういう楽しみもありつつ。懐かしい気持ちと切ない気持ちって似てると思うんですよ。ノスタルジックな曲にしたかったし、自分もノスタルジックな感じになりたいと思いながら作っていきましたね。
――4曲目は、「もうすぐ大人になっちゃうから」。コレサワさんにとって、大人になるってどういうことだと思います?
コレサワ:今大人になって思うのは、簡単には大人になれないということ。いくつになっても、まだ大人じゃないなって気持ちがあります。今でもすごくあるんですよ。だけど、10代の頃は「うわあ、もう18歳になっちゃう」「もうすぐ20歳になっちゃう、大人になっちゃう!」ってすごく焦ってました(笑)。でも、いざ大人と言われる年齢になったらなったで、大人になりきれない自分がいて。10代の頃のちょっと焦っていた気持ちを歌えたらいいなと思って作りましたね。
――コレサワさん自身、どんな10代だったんですか?
コレサワ:恋愛しまくって、バイトしまくって、遊びまくってました(笑)。
――(笑)。
コレサワ:いちばんお金のある時期でもありました。実家だから家賃もないし、バイトしたぶんは全部遊びに使えるんですよ。本当にめちゃくちゃバイトしまくっていたので、お金持ちの高校生(笑)。
――高校時代に音楽を作り始めたんですよね。
コレサワ:そうです。高校3年生の時に作詞作曲を始めたので、その頃にはもう自分で機材を買って、ライブをしたりしてました。
――バイトで稼いだお金で機材も買っていた?
コレサワ:ですね。バイト代で機材を買ったり、ライブをしたり、自分でCDを作ったり。あとは友達とファミレスに行きまくったりして、とにかくすごく楽しい高校生活でした。私、高校の時に一生モノの友達に出会えたんです。その友達がずっと「あんたの曲はいいよ」「ライブもいいよね」って言い続けてくれたから、ここまでやってこれたというのもあると思います。いつでも味方でいてくれる人に出会えたのは、本当に財産だなって思ってるんですよ。もちろんツラいこともあったけど、最終的にめっちゃいい10代だったなって思いますね。原付に乗って夜にみんなで遠くまで行って、一緒に流星群を見たり、朝日を見たりしてました。

















