『VOCAROCK PARTY!』開催記念対談 Vol.1:キツネリ×Δ、次世代を担うべき存在――シーンに示す新たな挑戦!

『VOCAROCK PARTY!』開催記念対談 Vol.1

キツネリが挑むライブの新しい形、Δの“せっかくだから精神”

――ほかに共演する方々で影響を受けたりするボカロPはいますか?

グミ山:みきとPさんは僕らがやっていることの上位互換ですよね。そう表現することさえ失礼かもしれないですけど、バンド音楽とかいろんなポップスを作っていて、「ロキ」みたいなみんなが盛り上がれる曲から「少女レイ」みたいなセンチメンタルがある曲まである。みなさん歌ものという大前提があった上で、曲ごとだけでなく、活動全体を通して表現すること自体をコンセプチュアルにやっている。そういう意味で特色のある人たちだと思うので、そういう面でみなさんから影響を受けていますね。

N-Roach:みなさんすごすぎて参考にならないというのが正直なところで、逆にそれで諦めがつくというか。小手先でサウンド感を真似ても絶対にあんな風にはならないから、自分らのスタイルでやっていこうと決心させてくれる方たちです。

――自分は自分のできることをやろうと。

N-Roach:そうですね。聴いていて構造のすごさとかは感じるんですけど、洗練された粗野ではない感覚があって、自分にそれはないんだなと思って、逆に自分の手札が明確になる。だから「自分はやれることをやろう」みたいな、影響を受けているとしたらそういう受け方ですね。

Δ:みきとPさんとてにをはさんは自分が初めてボカロに触れたような頃から聴いている方なので、今回同じライブに出るのが信じられないです。楽曲に関しては、単純にいちファンとして聴いています。メロディのすごさにいつも唸りながら聴いていますし、明確に言語化はできないんですけど、子供の時によく聴いていた方なので、何かしら染みついたものはあるだろうなと思いますし、いろんなアーティストの音楽を聴く中で、お二人からも何かを吸って成長したと思います。

――Δさんは今回が初ライブですよね。ボカロPの方の中にはライブをしない方も多いと思いますが、ライブに出演しようと思ったのはなぜでしょうか?

Δ:割と“せっかくだから精神”が大きいかもしれないですね。最近になって歌唱を始めたんですけど、それは合成音声以外の可能性を模索していて、表現の幅を広げたいという理由でした。もともとフロントマン精神も旺盛ではないのですが、こんな機会もないので「やってみよう」と。作曲も歌も楽しくて続いているところがあるし、ライブをしているボカロのアーティストへの憧れはあるので、挑戦してみようかなと思いました。

――キツネリさんは今までもライブはしているので、いつも通りという感じですか?

グミ山:それが意外といつも通りではないんです。クラブミュージックから影響のある音楽を取り入れてるので、いつもはベースやキック、あとは細かい効果音などはオケで出して、ギターはサポートメンバーを迎えることが多いんです。でも今回はフルバンド編成。ボーカルもいつもはゲストボーカルをお呼びすることが多かったんですけど、今回は音声合成ソフトを出します。なのでボーカルは音声で出して、楽器は生で行くっていう、どっちも今までと違った形なので、結構びびっています(笑)。

――ある意味で新しい挑戦ですね。

グミ山:そうですね。なかなか今後もフルバンドでやる機会もないでしょうし、ボーカルも音声合成ソフトでというのも新しい。ボカロPのライブって形態はさまざまですけど、僕らの今回のスタイルは本当にほかにないんじゃないかなと思います。

――セットリストはどのように決めましたか?

グミ山:みんなこの曲を聴きたいと思っているんじゃないかなっていう曲はもちろんですし、ライブでは初披露の曲とか古めの曲も入れたりして、満遍なく披露しようと思っています。あとはイベント直前にリリースするアルバム『First Contact』で作り直した「変身」という曲があるんですけど、これは僕らの3作目の楽曲で、アルバムの中ではいちばん古い曲です。僕らのことを知っている人の間では根強い人気があって、好きと言ってくれている人も多いので、あらためてこのタイミングでバンド編成でやってみたいなと思いました。

――Δさんはどうですか?

Δ:みなさんが聴きたそうな曲、音響的な意味で映えそうな曲、あと最近歌唱を始めたので歌唱曲も披露します。それと歌唱を始めるきっかけになった曲があって、それが声優さん3人に提供した「藍の反証」という曲でした。うねりみたいな声で作っていく曲なんですけど、制作時に曲の構造上、音響さんとプロデューサーの方のご意見で自分がミックスまでやったほうがいいということになり、声優さんの歌声のデータを触らせていただく機会がありました。それが面白くて。作れる音の幅に驚いたのと、単純にリバーブをかけたりしても人間の声と音声合成ソフトでは挙動が全然違うんです。同じお仕事でレコーディングエンジニアの方に自分の仮歌を褒めていただいたのも嬉しくて、とても思い入れのある曲になりました。

――音声合成ソフトと人間とでは大きく違うと。

Δ:そうですね。音声合成ソフトでもランダム性を演出することはできるんですけど、効果音とかを公園で録音したものと近いような、そういう自然界にしかないランダム性が人間の声にはあって幅が広いんです。

グミ山:トラックへの影響もあって、良くも悪くも人の声はすごい独特で、時間内の情報量は圧倒的に人間より音声合成ソフトは少ないので、そのぶん楽器でできることも増えますよね。

――今回のライブで楽しみにしていることは何ですか?

Δ:ほかの出演者さんのパフォーマンスを間近で見れるのが嬉しいなというのがいちばんです。自分のパフォーマンスについては楽しみとか言える次元に達していないですし、ライブを楽しめたらいいなと思っているところです。

N-Roach:プロのミュージシャンの演奏を間近で見れるのが楽しみですね。

グミ山:いつもライブでギターをお願いしている小林ファンキ風格さんが今回もバンドにいらっしゃるのですごく安心感がありつつ、そこは楽しみだなと思っています。あと僕はバンド出身ではないので、いつも家で曲を作っている人がステージに出てきてどうフロントマンシップを発揮するのかみたいなところが自分的に面白くて。

Δ:めちゃめちゃわかります。

グミ山:家で作っている感じのまま椅子に座っていてもしょうがないので、追い込まれた時に何をするのかみたいな(笑)。自分でもそんな自分が楽しみですね。あと僕、DJイベントに出演する時はいつも「いーあるふぁんくらぶ」を選曲させていただいてるんです。今回やってくれるかわからないですけど、曲の内容も歌詞もすごい好きで、曲調も明るくて元気なので、ライブで聴けたら楽しいだろうなって。

――最後にライブへの意気込みをお願いします。

グミ山:バンドの方々とどういうライブにしようっていう擦り合わせや準備はもちろん頑張りますし、当日も頑張ります。「あいつら楽器持っていないけど何するんだろう?」って思って笑ってほしいですね。

N-Roach:同じくですね。面白い感じにして、お客さんに楽しんでいただければと思います。

Δ:できることはやっていきますが、何より楽しめたらいいなと思います。お客さんにも楽しんでいただけたらいいなと思うので、よろしくお願いします。

■番組情報
VOCAROCK PARTY生配信ラジオ特番『VOCAROCK LOUNGE』
日程:2025年10月6日(月)19:00〜20:00
出演:伊根/小ノ寺 空 / Δ/キツネリ/てにをは/みきとP

音声配信プラットフォーム「AWAラウンジ」で生配信
https://mf.awa.fm/open_vocarock_1006

■イベント情報
『VOCAROCK PARTY!』
2025年10月12日(日)大手町三井ホール
OPEN 16:00/START 17:00

<出演>
伊根/小ノ寺 空 / Δ/キツネリ/てにをは/みきとP

<チケット>
チケット料金:全席指定/前売 8,000円(税込/ドリンク代別)
※未就学児入場不可
チケット販売:https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=759399

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