中島健人が初海外公演で刻んだ自信 東京ドーム、ワールドツアーの夢へと続く特別な夜

中島健人が、9月14日に台北・Zepp New Taipeiにて『KENTO NAKAJIMA 1st Live 2025 in TAIPEI “N / bias” 凱』を開催した。中島にとっては、初の海外単独公演。その場所に選ばれたのは、昨年、彼が主演ドラマ『リビングの松永さん』(カンテレ・フジテレビ系)のファンミーティングで訪れた台北だった。「元気をもらえた」と当時を振り返り、「その恩返しをしに来ました」と、1stアルバムのタイトル『N / bias』に“凱旋”を意味する“凱”をつけたと語った本公演。中島とU:nity(ファンの呼称)が互いを輝かせ合うような、きらめきに満ちたライブだった。

“N / bias”を背負っていることからも分かるように、本公演は今年1月に有明アリーナで行われた初のソロライブ、4月から7月にかけて開催された全国ツアーの延長にあたる。オープニング映像は、指名手配犯として追われた中島が、「俺、たぶん死ぬまでアイドルだわ」という決意を胸に、再びスターとして表舞台で活躍していくもの。有明アリーナ公演、全国ツアーでも使用されていた映像であり、あらためて本公演がその先の物語であることが伝わってくる。
映像のなかで、テレビ番組の司会者が中島の名前を高らかに告げたところで、番組から飛び出してきたようにステージに彼が登場。「CANDY ~Can U be my BABY~(New Vocal Mix 2024)」を明るく歌い上げ、グループ時代のソロ曲「SHE IS...LOVE」で伸びやかな歌声とクールなラップを響かせた。流ちょうな英語に加えて、配信で観ている日本のU:nityのために日本語も織り交ぜながら、今日のライブへの感謝と意気込みを語る中島。実はオープニングで映像が一部乱れるハプニングがあったのだが、それすらも「trouble is entertainment!」と言い切ってしまうところが頼もしい。「何があっても、エンターテインメントは俺とU:nityで一緒に作り上げていくものだから!」と、“一緒に楽しむ”ことを強調したうえで、「ヒトゴト」「Raise Your Light」へと繋げていった。

ブラックの衣装に着替えて1stシングルの表題曲「MONTAGE」を披露すると、「Mission」ではトップスを引きちぎって素肌を露わにしながらパフォーマンス。そこから赤いガウンをまとい、玉座に座ってグラス片手に届けられた「ROSSO」では、終盤でワインボトルの中身を体に注ぐ演出も。妖艶なムードに惹きこまれるブロックだった。
「下着までびしょ濡れになっちゃった!」と笑いながら再び衣装チェンジに入る中島を待つ間に、台北のU:nityのために用意したという映像が流れる。映っていたのは、インタビューに答える彼の姿だった。ドラマや映画など多種多様なエンターテインメントがあふれるなかで、自分が作った音楽、自分の手でつくったステージを世界中に届けたいと語る中島。初の海外公演については「正直緊張しているし、不安なこともあるけど」と言いつつも、「U:nityのみんなが助けてくれるでしょ?」と微笑む。過去のライブでも、自分がU:nityに元気を与える一方で、自分が輝かせてもらっているように感じてきたという。だからこそ、「みんなのほうがアイドルなんじゃないかって思うことがあって」とも。



カジュアルな衣装でステージに戻った中島は、昨日は楽天モンキーズが台北ドームで開催した『SINGDOME Music Radio』にゲスト出演し、約3万人の観客の前で3曲を歌唱したことを振り返った。自分をあたたかく迎え入れてくれたことに感謝を告げながら、「台北の皆さんにどうしても歌で気持ちを届けたくて」と、次はカバー曲を披露するという。「超緊張する」と呟きながら、ステージ上の階段に座り込んで歌ったのは、台湾出身のアーティスト、ジェイ・チョウの「晴天」。現地の言葉で、リスペクトを込めながら丁寧に歌い上げた。
ゆったりと届けられた「Jasmine tea」、ダンサーとともにポップに歌い踊った「Heartbeats」に続き、波音と海の映像をバックに始まった「碧暦」では、〈溺れそうでも 不完全でも/終われない〉という歌詞が、少し不器用ながらも全力で走り続ける今の彼とリンクする。歌い終えると、「やっぱり、自分の信じた道を突き進んだのは間違ってなかったって思ってます」と語った。1月のライブでは涙を浮かべる場面もあったが、客席を見つめる今日の表情は清々しい。「俺は闇晴れて、光しか見えてないんだよね」という言葉からも、揺るぎない自信が垣間見える。これまでに“N / bias”を掲げて行われた3つのライブ。そこで受け取ったU:nityからの大きな歓声が、中島にとって道しるべになったのだろう。
長めにアレンジされたイントロで「もっと!」と客席を煽り、イヤモニを外して直接歓声を受け取りながら「ピカレスク」へ。そのダークな雰囲気をまとったまま「ファタール」へ突入する。キレのあるパフォーマンスに会場が沸くなか、「海外でライブをやる夢が叶いました。その最初の場所が台北で嬉しいです!」と英語で喜びを表現した中島が、続けて語った夢は「2年以内に東京ドーム」と「ワールドツアー」だった。その後、スタンドマイクに向かって美しい高音を響かせ、冒頭のフレーズをアカペラで歌い上げた自身作詞曲の「迷夢」は、何かを求めて彷徨いながらもその先に待つ希望を感じられるような一曲。光を見つけた彼なら、次の夢も叶えられるはずだ。ラストのサビを現地の言葉で熱く歌唱する姿は、そう感じるような力強さをまとっていた。
アンコールでは「jealous」を軽やかに届け、配信のカメラにも笑顔を向けながら「JUST KENTY☆」を披露。初の海外単独公演で、Wアンコールを含めた全17曲を歌唱した。挑戦であると同時に、確かな自信を刻む夜となった台北での“凱旋”ステージ。U:nityとともに、中島健人はこれからも輝き続けることだろう。そしていつか、彼がさらなる大舞台に立つ日が楽しみだ。




























