高嶺のなでしこが刻んだ“誇り高きアイドル” としての矜持 新章へと向かうデビュー3周年記念ライブを観て

高嶺のなでしこが、デビュー3周年記念ライブ『高嶺のなでしこ 3rd ANNIVERSARY CONCERT 「A Wonderful Encounter」』を、9月7日に千葉・幕張イベントホールで開催した。

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これまで、1周年記念ライブを東京・豊洲PIT、2周年記念にはZepp TOURを行ってきた高嶺のなでしこ。グループ史上最大規模となる今回の幕張イベントホールでの公演に向けては、東京・国立代々木競技場 第二体育館でのワンマンライブを皮切りにして、主催対バンイベントや東名阪ツアー、中国と韓国での海外単独ライブ、『TOKYO IDOL FESTIVAL 2025』をはじめとしたフェスへの出演など、9人は全速力で夏を駆け抜けてきた。
ライブ活動と並行して進められてきたのが、「この夏、好きになっちゃえばいいのに。」をテーマにした5曲連続配信リリースだった。今回の公演に向けてファンに届けられてきたこの5曲が高嶺のなでしこにとっての新たな武器として、セットリストにさらなる彩りを加えていた。


ライブの幕開けを飾ったのはその中の1曲「初恋のこたえ。」。アリーナ後方から自転車を漕いで現れた制服衣装のメンバーが、そのまま“青春の夏”を体現している。女の子が、好きな男の子に近付こうと一歩踏み出す様子を表現した「初恋のこたえ。」は、男の子目線の心情を歌った「初恋のひと。」のアナザーソング。制服姿や振付などオマージュポイントが多く散りばめられており、「初恋のこたえ。」をライブの1曲目に、そして「初恋のひと。」をライブのラストに位置付けしているのは対比としてユニークなポイントであるのと同時に、成長し続けながらもグループが変わらずに大切にしてきたものを示しているようにも思える。


“可愛いたかねこ”のブロックで披露した「メランコリックハニー」は、〈MY ダーリン〉のフレーズでライブ終盤にTikTokが撮影されたキャッチーな楽曲。城月菜央の歌い出しをはじめとするメンバーの可愛さにあざとさを混ぜた声色や表情が最大の魅力だが、どこか不安定さを醸し出すメランコリックな曲調が、この楽曲の中毒性を生んでいる。


言わば、メンヘラチックな毒っけが可愛いだけで終わらないところが、サウンドプロデュースを務めるHoneyWorksによる楽曲のスパイスとなっている。HoneyWorksの代表曲のひとつである「可愛くてごめん」のサビ終わりにある〈ムカついちゃうよね?ざまあw〉がそのわかりやすい例だろう。高嶺のなでしこのライブでは、HoneyWorksの楽曲も数多くセットリストに組み込まれており、ガチ恋口上が轟く「推しの魔法」やファンのコールによってライブが完成する「ファンサ」は、カバーを超えた親和性の高い楽曲になっている。

筆者が最も心を掴まれたのは、これまでのグループが歩んできた3年間の軌跡とともに「高嶺のなでしこ 新章へ」とVTRにて宣言されてからのブロック。ここで強く打ち出されていたのが、“誇り高きアイドル”としての姿だ。そもそも高嶺のなでしこというグループ名には、清楚な美しさとかわいらしさを併せ持つ誇り高きアイドルになるようにという思いが込められており、凛とした女性の強さはグループが放つ最も大切なメッセージである。























