櫻坂46×アニメコラボ、なぜ増加? 『Aniplex Online Fest』出演、松田里奈・森田ひかるが担う“必然の抜擢”
櫻坂46×『HUNTER×HUNTER』コラボ、森田ひかるは『アオのハコ』宣伝大使に
さらに、櫻坂46の表現スタイルそのものが“物語的”であることも、親和性を強めている要素だろう。象徴的なメタファーを多用するMVは、物語世界を深めて視聴者に解釈を委ねる点でアニメと共通する。2023年にリリースされた「Start over!」は『HUNTER×HUNTER』(集英社)とのコラボレーションでも注目を集め、メインキャラクターのひとりであるキルア=ゾルディックの成長物語と楽曲のテーマが重なり合うことで、双方の魅力を引き出した。こうしたストーリーテリングの手法は、キャラクターが体験する試練や成長と響き合い、観る者に強い没入感を与える。
松田と森田が起用される背景には、個人的な適性も大きいだろう。松田は『AnimeJapan 2025』のアンバサダーをグループとして務める中でアニメへの関心を公言しており、森田はポケモンやゲームへの愛を発信し続け、アニメ『アオのハコ』(TBS系)の宣伝大使も務めた。メンバーの嗜好や熱量が企画に活かされることで、ファンにとっては推しと同じ熱量を共有する感覚が生まれ、信頼関係は一層強固になる。PRというコンテンツ側の観点からしても、キャスティングに愛情や関心を反映させることは、作品の説得力を高めるうえで不可欠な要素となっている。
近年の関わりを含め、『Aniplex Online Fest 2025』における松田と森田の抜擢は、櫻坂46とアニメ産業の結びつきが新たな段階に入ったことを示すものと言えるのではないだろうか。今後は、声優業への挑戦や、アニメ主題歌としての定着、さらにはグループの世界観を基にしたオリジナル作品の可能性も視野に入るだろう。アニメというストーリーテリングのプラットフォームを最大限に活用することは、国内外のファンベースを広げている今の櫻坂46にとって必然の戦略だ。彼女たちが立つステージは、もはや音楽シーンにとどまらず、アニメカルチャーというもうひとつの大舞台へと広がっている。今後、櫻坂46がアニメカルチャーとどんな物語を結びつけながら、国内外の観客に届けていくのか――。新しいファン層を巻き込みながら未来のエンターテインメントを形作っていく姿に期待したい。


























