香取慎吾、『24時間テレビ』で紡いだ物語と変えた歴史 30年前のSMAPの抜擢からチャリTシャツ5色展開まで

 そして、かねてより芸能界で連絡先を交換しないことで有名な香取だが、それを承知の上で伊藤が果敢に「LINE交換しませんか?」と迫るも、香取は「教えてどうするの?」とツレない態度を見せ、最終的にはInstagramのDMでやり取りするというリアルな落としどころを見せた。

 番組の放送内だけでうわべの社交辞令で済ませることもできたはずだ。だが、そこまではっきりと断る姿も、香取の誠実さの証と受け取れる。そして、そんな香取だからこそ伊藤もずっと慕い続けるのだろう。

 正直で憎めない香取のキャラクターを育んだ人物こそ、萩本だった。10代の頃、「慎吾ちゃん、何も考えなくていい。思ったことを言って」と声をかけられた経験を、香取は2024年のドラマ放送に際して振り返っている。とっさに出る言葉がたとえ「お断り」でも、心がしっかり伝わる。人間味あふれるやりとりが、香取の魅力を決定づけたのだ。

 また、『24時間テレビ』への思いとして香取は「参加できない時も、テレビの前で見て応援していました」(※1)と語る。そのアンテナの広さや、エンタメに対する誠実な向き合い方こそが、縁を繰り返し引き寄せているのかもしれない。

 アイドル、アーティスト、バラエティタレント、俳優として。香取慎吾のキャリアを『24時間テレビ』から振り返ると、数え切れないほどの“初”と“再会”が散りばめられている。『仮装大賞』での萩本との笑いのラリー、レジェンドたちとの笑顔、チャリTシャツで社会に新しい風を吹かせ、仲間や旧友との絆を深める。そのすべてが、香取慎吾という表現者の厚みを作り上げてきた。

 そして、香取が積み重ねてきた温かなつながりと軽やかな笑いこそ、視聴者にとって日常を生きる勇気となる。これからも『24時間テレビ』が、香取のまだ見ぬ“初”や、思いがけない“再会”の物語が紡がれる舞台であり続けることを願うばかりだ。

※1:https://realsound.jp/movie/2024/08/post-1758712.html

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