ファン太はなぜ「J STAR RECORD」を立ち上げた? 音楽へのピュアな想い、歌に対する並々ならぬ情熱

埋もれている歌の上手い人をどんどん世に送り出したい

ーーレーベル名を「J STAR RECORD」と付けたのは?
ファン太:最初は『ドラゴンボール』から「ベジータ」というレーベル名を考えていたんですけど当然ダメで、ベジータってサイヤ人の王子なので、「KING RECORD」さんよりちょっと下のイメージで「PRINCE RECORD」を考えたのですが、商標登録ができなくて。それで「J」はジャパン、僕のファン太という名前はファンタジスタの略称でカタカナで「ジ」が付くし、柔道をやっていたので柔道の「J」と、思えば「J」は自分の人生の大部分を占めているなと思って。響きもいいし。で、「STAR」は、敬愛するラッツ&スターさんの「STAR」。ゆくゆくは日本を代表するスターを輩出できたらと。
ーー『vol.ZERO』でファン太さんは、SUGAROCKさん、瀬戸あさひさんとm-floの「miss you」をカバーしています。
ファン太:びっくりしました。大学生のころにこの曲が流行っていて、許諾は下りないだろうと思いながらお願いしたら「できると思いますよ」って、すぐに許諾を取っていただきました(笑)。それこそ僕が最初に憧れた歌い手の方がカバーしていたのがこの曲で、一人でLISAさんのボーカルもVERBALさんのラップも歌い分けていて、とにかく圧倒的な歌唱力だったんです。職人気質ですごくクオリティーの高い動画を投稿するんですけど、しばらくすると消しちゃう。だから彼のファイルを交換する掲示板があったほどです。彼をきっかけにm-floさんのことを知り、m-floさんの曲も聴くようになりました。インターネットにハマったきっかけでもある、すごく思い出の曲なのでカバーできて嬉しかったです。実際にイベントで歌ったら、m-floを好きになったと言ってくれる方も多くて。
ーー瀬戸さんはバーチャルYouTuberでラップが得意という。
ファン太:僕より全然年下で、m-floのことも知らなかったんですけど、曲を聴いてもらったらぜひラップしたいと言ってくれて、すぐに仕上げてくれました。原曲とは歌詞が異なる部分があるんですけど、そこも彼がやってくれて。
ーー『vol.ZERO』には、瀬戸さんの「シェアハウス」という曲も収録していて。ポエトリーラップがいい感じでした。
ファン太:それも『ストグラ』のなかのドラマの曲で、作詞作曲も彼自身がやっています。と、月夜見レオの「家系ラーメンの歌」もオススメです。彼は弾き語りをしているシンガーソングライターで、この曲も『ストグラ』のなかでやったイベントにラーメン屋さんが協賛してくれたので、そのタイアップ曲として頼んだら作ってきてくれて。休みの日にドライブして爽快な気持ちになって、ラーメンを食べて帰るという、独身男性のある日の行動が物語調で歌われています。コッテリなラーメンの歌だけど、曲調はサッパリでメロディは軽やかです!
ーー煌イヴさんの「やっぱりハラミ」は焼き肉屋さんとのタイアップですか?
ファン太:そうです(笑)。煌イヴは『ストグラ』内で「うしくん」というキャラクターとしてもやっていて、共食いになってしまうんですけど、焼き肉が大好きすぎて作ってくれて。先日、レバーの美味しいお店に連れて行ってあげたら、早速「マイラバー」というレバーをテーマにした曲を作ってきました(笑)。そのうち配信する予定なので、楽しみにしていてください。また、「かけら」という曲を歌っているVTuberの鴉紋ゆうくは歌唱力がすごくて、彼もぜひオススメしたいです。
ーー「かけら」は胸に染みるバラードです。
ファン太:はい。歌唱力はトップクラスなんじゃないかな。そういう意味でもぜひ聴いてほしい1人です。声の倍音と言うか、厚みがすごいんですよね。

ーーちなみにコンピ盤は『vol.ZERO』ということで、今後『vol.ONE』とか続くのですか?
ファン太:これは4月に開催したイベント『超激動 -SUPER GEKIDO-』の、day2のチケットについていた限定CDに収録されていた音源なんです。その日にレーベルの立ち上げを発表し、“始まり”の意味で当日来てくださった方の思い出、残してもらおうと思って『vol.ZERO』と名付けたので、『ONE』とか『TWO』とか続くかどうかまでは考えていませんでした(笑)。実際には事後物販もしていますが、それは地方在住で当日現地に来られなかったファンへの救済や、転売への対抗策という面もあったりもします。
ーー最近はアナログレコードやカセットテープが人気で、リアルな体験に若い方の気持ちが向いていますし。
ファン太:はい。CDなら飾っておけるし、ファン目線で嬉しいんじゃないかと思って、オフラインイベントを積極的に行っています。実際にCDを付けたときは、みんなとても喜んでくれました。オフラインイベントもPPVでネット配信したんですけど、DVDでほしいという方も結構たくさんいらっしゃって。若い人はCDやDVDのプレーヤーを持っていない人がほとんどで、今やUSBメモリすらいらない時代ですけど、そういうなかでこういうアナログチックなものが、逆に喜ばれたりします。
ーーレーベルとしての目標はありますか?
ファン太:レーベル立ち上げの意図と同じですけど、埋もれている歌の上手い人をどんどん世に送り出したいです。情熱を持った人にたくさん所属してもらって、マネタイズのことや煩雑な手続きのことなどを気にすることなく、歌や音楽に没頭できる環境を提供してあげたいです。そのなかから売れる人が出てきてくれたら、それはそれでいいなと思っています。
ーーファン太さん個人としての目標はありますか?
ファン太:直近で言うと、身の丈に合った小さなライブがしたいです。長い目では、歌を入り口にして、配信を観てもらえるようなアーティストになれたらと。「J STAR RECORD」の所属アーティストもそうですけど、歌というチャンネルからその人のことに興味が湧いて、配信を観てくれる人が増えたらいいなと思います。僕としては歌が配信のツールですけど、「J STAR RECORD」としては歌が主流の人たちの入り口になれたらと。
ーー小さなライブと言うと、どのくらい?
ファン太:キャパ200~300人くらい(笑)。僕の悪いところで、つい安定を求めてしまって。そのくらいの規模感でツアーなんかできたらいいなと。
ーー堅実派なんですね。
ファン太:そうなんです。冒険ができなくて。僕がマスクを被っている理由もそれで、10年間マスクを付けて活動してきて今ではこれがキャラクターになっていて、会社もとっくに辞めてはいるんですが、また再就職するときがくるかもしれないので、そのときの保険として被っています(笑)。
ーーまた、昨年10月から初ラジオ番組『ファン太のとにかく出してこ』(TOKYO FM)でパーソナリティもやっています。
ファン太:すごくありがたいです。ここぞとばかりにレーベルの曲を流させていただいて、無敵のスキームができあがりつつあるという(笑)。まあでもラジオではかしこまっていますが、めちゃくちゃ楽しいです。ゲストの方を呼ばせていただいたり、スタッフさんとのつながりができて、放送作家さんやプロデューサーさんにイベントを手伝っていただいたりしていて、人脈がすごく広がりました。ラジオをきっかけに配信を観てくださるようになった視聴者さんもいらっしゃるので、いろんなことに対するチャンネルが増えました。エイベックスさんとの活動やラジオなど、メジャーでの活動量が増えると出会いが増えることを実感しています。

ーーストリーマーさんは基本自宅で配信していますからね。
ファン太:前は全然家を出てなかったんですけど、外に出ていろんな人とお話をするようになってから、その場で仕事が決まることもあるし、コラボが決まったりとかして。活動量が増えることで、自分にとっても配信にとっても良いことばかりだったので、ラジオをやったら良いことがもっと増えるだろうと。ひいてはそれがレーベルにもきっと良い影響があるだろうと思いました。
ーーゲストに超学生さんなどアーティストの方も呼んだこともあって。
ファン太:普段はなかなかつながれない方と、たくさん出会わせていただいています。
ーーそれこそ憧れの鈴木雅之さんにつながるようなゲストを呼ぶとか。
ファン太:それはぜひそうしたいです。と言うのも今の目標が、鈴木雅之さんと直接お話することなんです。ただ、そういうチャンスが実際にきたら、緊張して何も話せないんじゃないかと思っていて。
ーー好き過ぎて会いたくないという。ガチですね(笑)。
ファン太:そのパターンです。会いたいけど会いたくない、複雑な気持ちです。最近マネージャーが勉強のために、鈴木雅之さんのライブに行ってきたんです。でも僕は生で観るのもちょっと怖くて、DVDで観るのが精一杯です(笑)。
ーーファン太さんご自身の曲のリリースは無いのですか?
ファン太:確かに「ソロで歌ってほしい」とか「オリジナル曲が聴きたい」などのコメントもいただいています。でもどちらかと言うと自分のことよりも、まずは周りの上手いやつらを聴いてもらいたい気持ちが強かったので、最初はこういうかたちを取りました。でも今後は自分のオリジナル曲のリリース予定もあるので、その日を楽しみにしていてください。
ーーでもいろいろやることが増え忙しそうで、配信している暇がないのでは? 配信頻度が減ることに対して、ファンから不安の声は?
ファン太:実際にすごく来ています。エイベックスさんや事務所にだいぶ助けてもらって、何とか時間を確保できていますけど、視聴者さんからは「もっと配信してくれよ!」って。でも今は忙しいけど、そのうち落ち着いたら配信頻度を増やせると思いますし、その分レーベルのみんなの配信を観て、新たな推しを見つけてくれても嬉しいです。
■ライブ情報
2025年4月12日・13日、両国国技館で行われた「超激動 -SUPER GEKIDO-」にて発表された新レーベル「J STAR RECORD」が主催となり音楽ライブを中心とした全国ツアーの開催が決定。
初のライブツアー『SPARK TO DO』
<開催スケジュール>
2025年9月15日(月・祝) Lives NAGOYA(愛知)
2025年9月20日(土)DRUM LOGOS(福岡)
2025年9月28日(日)LINE CUBE SHIBUYA(東京)
イベント詳細・チケットはこちらから
SPARK TO GO特設サイト:https://sparktodo.shankzpromotion.com/
■リリース情報
ファン太
ファーストシングル「憧れのスレンダーガール」
配信中
https://JSR.lnk.to/slendergirl



















