Mrs. GREEN APPLEはなぜカバーされ続ける? Uru、Superfly……実力者に認められるアーティストとしての凄み

 Uruが8月27日に15thシングル『Never ends / 手紙』をリリースする。そのカップリングに、Mrs. GREEN APPLEの「青と夏」のカバーが収録されることが発表された。

Mrs. GREEN APPLE - 青と夏

 同じくMrs. GREEN APPLEの楽曲でいえば、Superflyが「僕のこと」をカバーしたことも記憶に新しい。6月18日にリリースされたSuperflyの初のカバーアルバム『Amazing』に収録されており、6月2日に放送された『テレビ×ミセス』(TBS系)でも両者によるコラボパフォーマンスが見られた。ほかにも、過去には清 竜人が「青と夏」、小柳ゆきが「インフェルノ」の歌唱動画を自身のYouTubeチャンネルでそれぞれ公開している。

Superfly - 僕のこと(Mrs. GREEN APPLE cover)【Music Video】/カバーアルバム『Amazing』収録(2025.6.18 Release)
清 竜人 ミッドナイト・カバーソング「青と夏」
【小柳ゆき Cover】インフェルノ / Mrs. GREEN APPLE

 上記に挙げたのは一例だが、このようにMrs. GREEN APPLEの楽曲は複数のアーティストにカバーされている。そのラインナップを見ると、透明感かつ芯のあるボーカルが特徴のUruや、ソウルフルな歌声で聴く人を惹きつけるSuperflyをはじめ、歌唱力に定評のあるアーティストからのカバーが多い印象だ。なぜMrs. GREEN APPLEの楽曲は、高い歌唱力を誇るアーティストたちに愛されるのだろうか。

 その理由のひとつに、こうした実力者たちも挑戦したくなる難易度の高さが挙げられるだろう。そもそも大森元貴(Vo/Gt)も、高い歌唱力を誇るボーカリストである。そんな彼が歌うMrs. GREEN APPLEの楽曲の難しさは、言わずもがなだ。たとえば、「青と夏」のサビは突き抜けるようなハイトーンが印象的で、そのなかにはフォールやしゃくりなど細かなテクニックも垣間見える。パワフルな歌唱ながらも、フレーズの終わりで力を抜いたり、途中で裏声を交えたりと、歌詞に合わせて変化する歌い方によって“夏”に対する高揚感や切なさが表現されているのだ。「青と夏」のように、Mrs. GREEN APPLEの楽曲はキーが高く、加えて豊かな感情表現が必要とされるものが多くあり、アーティストにとっては挑戦意欲を刺激される部分もあるのだろう。

 もうひとつ、Mrs. GREEN APPLEの楽曲が持つ普遍的なメッセージも理由として挙げられるように思う。たとえば「僕のこと」では、〈努力も孤独も/報われないことがある〉と何もかもが思い通りにいくわけではない現実を見つめたうえで、最後には〈僕は僕として、いまを生きてゆく/とても愛しい事だ〉と歌われている。自分自身を、そして生きていることそのものを肯定してくれるような歌だ。Superflyもこの曲をカバーするにあたり、「この時代だから生まれた感情がたくさん描かれていて、全ての言葉に共感できた」(※1)とコメントしている。誰もが胸の内に秘めるような繊細な感情が掬い上げられることで、リスナーは楽曲を“自分のこと”として捉え、背中を押された気持ちになる。それはおそらくカバーするアーティストも同じであり、今度は自身がその楽曲を歌い届けていく。どのアーティストが手掛けても鈍らない普遍的なメッセージはさらなる共感を生み、世に広く浸透していくのだろう。

 名曲は時代を越えて歌い継がれていく。共感しやすいメッセージ性と高い歌唱難易度を併せ持つMrs. GREEN APPLEの楽曲は、今後もさまざまなアーティストによってカバーされていくのではないだろうか。どんなアーティストがどんな形で楽曲を再構築していくのか、これからも楽しみでならない。

※1:https://www.universal-music.co.jp/superfly/news/2025-06-01/

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