櫻坂46は東京ドーム3DAYSを満席にできるか? 乗り越えるべき“ヒット”の壁、地力が問われるフェーズへ

 一方で、グループの現在地を冷静に見つめると、いくつかの課題が浮かび上がる。たとえば、音楽の広がり方。6thシングル『Start over!』以降のシングルは、CDセールスこそ好調だが、ストリーミング再生数やYouTubeでの再生数においては、突出した“ヒット”と呼べる曲はまだ生まれていないとも言えるだろう。「BAN」「流れ弾」のように“攻めた曲”への信頼が厚い一方で、新機軸となる楽曲には、まだライト層への浸透が見えづらい部分がある。強力な新曲の創出と、ストリーミング時代への適応――このふたつのバランスをどう取っていくかは、グループの持続的成長を左右するテーマになるだろう。

櫻坂46『承認欲求』

 もうひとつの鍵は、個人の認知度だ。グループ全体のパフォーマンスや世界観はシーンの中で評価されているものの、「誰が出ているのか」「あの子が好きだから観たい」と思わせるメンバーそれぞれの力、そして認知度は、まだ道半ばと言える。ただし、近年は着実な広がりも見える。山﨑は『ベンザブロック®プレミアム』のCMに出演し、森田は『サントリー天然水』WEB CMで存在感を発揮。田村保乃は『クラフトボス 世界のTEA』、谷口はマクドナルド「夜マック」、さらに複数メンバーがソニー『Xperia 1 VI』のプロモーション映像に出演するなど、個々の露出は確実に増加している。

Xperia 1 VI 「100% Memories of Light」 Short ver.【ソニー公式】

 テレビでは、守屋麗奈をはじめ多くのメンバーが『ラヴィット!』(TBS系)に出演。井上梨名や武元唯衣、大沼晶保、増本綺良、谷口愛季、中嶋優月らは『サクラミーツ』(テレビ朝日系)で持ち前のバラエティ力を磨き続けている。YouTubeやTikTokでは、井上と幸阪茉里乃の“いのまり”や石森と的野の“りかみお”などがコンビで登場するなど、ファンに寄り添った発信が支持を集めており、引き続き女性人気の高まりも感じられる。

 東京ドーム3DAYSという規模のライブを成功させるためには、グループ単位の動員力だけでなく、「このメンバーを観に行きたい」という明確な“推し”の存在も重要になるだろう。個と集合のバランスをどう磨いていくか、その模索も櫻坂46が乗り越えるべき壁のひとつだ。

 2022年の悔しさを乗り越えた2024年の2DAYS公演に続き、2025年の3DAYS公演はグループの地力が試される舞台となる。櫻坂46が“新しい日常”を創り出せる存在として前進していくのか。その答えが、この夏の東京ドームに刻まれることになるだろう。

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