櫻坂46は東京ドーム3DAYSを満席にできるか? 乗り越えるべき“ヒット”の壁、地力が問われるフェーズへ
7月24日から3日間、櫻坂46が再び東京ドームのステージに立つ。全国ツアー『5th TOUR 2025 “Addiction”』の東京公演として行われるもので、昨年に続き、2年連続での開催となる。
黒幕で覆われた空席が悔しさとして刻まれた2022年11月から約1年半、グループはライブ表現を軸に地力を伸ばし、2024年6月、櫻坂46は東京ドーム公演を2日間にわたり成功させ、約11万人を動員した。2DAYSを全席完売という形で過去の上書きに成功したのだ。あの経験が、グループにとって大きな自信になったことは間違いないだろう。
だが、今年の3DAYS公演は、さらにその先を問われるフェーズに入る。公演数の増加、平日開催を含むハードル、そしてファンの関心や期待の変化といったすべての条件が昨年より難易度を上げる中、果たして彼女たちは再び東京ドームを満席にできるのか――。その挑戦の意味を、あらためて考えてみたい。
そもそも東京ドームという会場が持つ意味は、単なる規模だけの問題ではない。2022年、櫻坂46として初の東京ドーム公演では、空席が話題になった。グループの方向性が定まらず、どこか停滞感が漂っていた時期。その光景は、ファンにとってもグループにとっても忘れがたい過渡期の象徴だったと言えるだろう。それを上書きしたのが、2024年の東京ドーム2DAYSだった。空席のあった過去の記憶は、“完売”という結果とともに払拭された。過剰な演出を排し、自らの表現を武器に進んできた櫻坂46の姿勢が、ステージの端々から伝わってくる2日間だった。
だからこそ、今年の公演はさらに特別な意味を持っているのだ。2022年からの期間で得た自信と成果が、一過性のものではなかったと証明するための舞台。ただ昨年の成功をなぞるのではなく、“通過点”として超えていけるのか。それが、今回の東京ドーム3DAYS公演なのだ。
その上で今の櫻坂46を支えているのは、やはりライブの強さである。2024年のツアーでは、構成・演出・表現のすべてにおいて高い完成度を誇っていた。山﨑天と森田ひかるのコントラストが美しく描かれた「摩擦係数」、MVの世界観を拡張した「Dead end」、ノンストップで畳み掛けるように披露された「承認欲求」……。いずれも、曲に込められたメッセージがストレートに伝わる構成となっていた。MCや装飾を最小限にまで削ぎ落とし、パフォーマンスそのものの強度で観客を圧倒する姿勢は、アイドルという枠を超えて、ひとつの舞台芸術として成立していた。この“ライブで観たいグループ”という評価の蓄積こそが、昨年の東京ドーム完売の土台となったと言えるだろう。
また、グループの変化を語る上で、三期生の存在は欠かせない。2023年に加入した11人の新メンバーは、デビュー直後から即戦力として機能し、櫻坂46の表現領域を大きく広げている。中でも注目されたのが、山下瞳月がセンターを務めた三期生楽曲の「静寂の暴力」だ。前回の東京ドーム公演では、その巨大な空間で、観客全員がペンライトを消し、声を出さず、ステージ上の“静けさ”と対峙するという演出がなされた。その緊張感と一体感は、ライブの可能性を大きく押し広げた瞬間だった。山下以外にも、石森璃花や的野美青、谷口愛季らが要所でパフォーマンスの中心に立ち、表現の厚みを作り出した。三期生が加わったことで、これまでの“クールでストイックな櫻坂”に、“軽やかさ”や“柔軟性”といった要素が加わり、より多面的な魅力を獲得しつつある。
さらに、今回からは今年加入したばかりの四期生も参加することになる。全体のバランスとパワーが均されてきた今こそ、“過去を超える”タイミングが訪れているのかもしれない。






















