櫻坂46 四期生、未完成ゆえの儚さと輝き 「死んだふり」MVに宿る強さと魅力
櫻坂46の四期生にとって初のオリジナル楽曲「死んだふり」が公開された。加入発表からわずか2カ月というスピードで与えられたこの楽曲は、グループの芸術性を構成する表現者としての資質が問われる挑戦的な作品となったように感じる。6月12日に開催された『First Showcase』でのライブ初披露を経て公開されたMVで堂々とパフォーマンスを披露する9人は、時に不器用で、時に荒削りなまま、見る者の感情を激しく揺さぶる。
正直な感想として、彼女たちのパフォーマンスはまだ完成には遠い。けれど、その不完全さこそが今の櫻坂46にとって必要な“生”のエネルギーなのではないだろうか。「死んだふり」というタイトルが初めて明かされたとき、驚きと緊張が走ったファンも多かったように思う。それは、アイドルのデビュー曲としてはあまりにも攻撃的な言葉だったからだ。
三期生の初のオリジナル楽曲「夏の近道」が“新しい櫻坂46”の明るい側面を拓いたように思えたのに対し、四期生のデビュー曲として託された「死んだふり」は、むしろ欅坂46時代の文脈に深く根を張っているとも言えるだろう。自己否定と再生、沈黙と叫び。そうしたテーマ性は、グループの原点とも言える“反逆”を想起させるものだった。
歌詞は〈このまま死んだふりしていようか?〉と語りかけるように始まり、都合よく扱われる存在への違和感と、そこから立ち上がる内なる意志を描いていく。途中、〈No! 無理だ! 拒否! 嫌! ごめん!〉と単語を畳みかけるようなフレーズは、心の奥で押し込めていた怒りや反発の感情が、制御を振り切って噴き出す瞬間そのものだ。そして〈もう一度 生き返れ〉と、命令形で自らを奮い立たせるようなフレーズで力強く鼓舞する。
こうした歌詞が映し出すのは「弱さを抱えたままでも前に進む」という、櫻坂46が培ってきたテーマの継承であり、ある種の原点回帰でもあるだろう。加入したばかりの彼女たちにこの物語を担わせるという選択自体に、グループの明確な意思と問いかけが込められているように感じる。