GANG PARADEは今が最高――最新アルバム『GANG RISE』完全再現ライブ 遊び場へ捧げる最大級の愛と覚悟

 メジャー3rdアルバム『GANG RISE』のリリースを記念して、7月4日にSpotify O-WESTで開催されたアルバム完全再現ワンマンライブ『THE GANG PARADE RISES』。同作に収録された20曲が活き活きと輝いていた。4月から6月にかけてのツアーで磨かれた新曲たちは抜群の切れ味を示し、初披露の楽曲はフレッシュな刺激を放った。そのライブの模様をレポートする。

 キャ・ノンによる影アナを聞いて、早くも賑やかに盛り上がっていた遊び人(ファンの呼称)。開演を告げるSEが鳴り響き、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、キャ・ノン、チャンベイビー、ナルハワールド、アイナスターが現れると、爆発的な歓声が上がった。オープニングを飾ったのは「GANG RISE」。メンバーたちが手首に巻いたLEDバンドライトがステージで輝き、フロアでは推しメンのカラーを点灯させた遊び人が、無我夢中で踊る。会場内は歌声、光、熱気で完全に満たされていた。続いて「無理無理きもい」。かなりの高速で展開し、ハイトーンの歌を連発するこの曲は、全編がクライマックスと言っても過言ではない。限界突破に挑むかのように歌う11人の姿が鮮烈だった。

 スウィングするサウンドに遊び人の手拍子が加わり、スタイリッシュな盛り上がりを作り上げた「Sparkling Moon」も披露された後、11人各々が自己紹介。そして「2週間ほど前にアルバムをリリースしました。『毎日聴いてるよ』って人ー?」と呼びかけ、「『GANG RISE』のMV、100万回再生を突破しました! ありがとうございます!」――そう遊び人に報告したココの「華金、踊りまくろうぜ!」という言葉とともに「Gang Gang Disco」がスタートした。イントロで沸き起こった遊び人のコールがものすごい。ハイテンションなディスコサウンドに合わせてパフォーマンスを繰り広げるメンバーたちの輝きは、まるで特大級のミラーボールのよう。アルファベットの人文字が振り付けに盛り込まれているのも楽しい。続いてスタートした「パショギラ」は、遊び人のコールも伴奏の一部と化しながら情熱的にギラギラ炸裂。間奏の激しいダンスが喝采を浴びた「アンビバレント」は、11人の息の合ったパフォーマンスが冴え渡っていた。

 「1月からアルバムのレコーディングが始まって、マイカが振りを作ってくれたんです。本当にありがとう!」とユアがマイカを讃えたMC。マイカは「無理無理きもい」の振り付けについて語った。「普段のギャンパレだったら角度とかまでを決めたりするんだけど、内から出る感情をそのまま、感情先行で踊れたらいいなあと思って。フリーな感情任せの振りをたくさん詰めてみました」――今後ライブに行く人は、生々しいダンスパフォーマンスに注目しながら「無理無理きもい」と向き合うと楽しいはずだ。そんな小休止を経て、多彩な曲たちがさらに披露されていった。和的情緒も漂わせながら切ない心情を描き上げた「一夏」、哀愁のメロディと激しい音圧の間を行き来しながらドラマチックな展開を遂げた「涙は風に、思いは歌に」、あたたかなメロディを体感しながら遊び人が元気いっぱいに飛び跳ねていた「イマヲカケル」。メンバー各々の胸の内で燃え盛る意志を躍動するサウンドが浮き彫りにしているように感じられた「グッドラック・マイフューチャー」……込められた想い、描かれている感情にじっくり浸れる4曲が一気に披露された。

キャ・ノン

 この時点で『GANG RISE』のDISC1を曲順通りにすべて披露。DISC2に入る直前に遊び人と交わしたコールアンドレスポンスが会場をさらに熱くする。ドクソンが元気よく「ヘイ!」と叫ぶと、フロアから返された「ホー!」。そしてココの「ヘイ!ホー!」に対しては「最高じゃん!」が返され、「ヘイ!ホー!最高じゃん!」がスタートした。メンバーたちと一緒に歌って踊る遊び人は、穏やかな幸福感の塊。ステージからフロアを見つめる11人の笑顔は太陽のように明るい。続いて突入した「So many members」は、自虐&自嘲ネタも交えながらギャンパレを歌で一気に紹介。〈沢山居るから流石に/1人くらい推しを見つけられるでしょ/誰に決めた?指差して教えて〉では、“推しとファン”のコミュニケーションが指差しジェスチャーで交わされていた。そして「Symphony」では、ラブリーなギャンパレが炸裂。メンバー各々が魔法少女のようにキュートな魅力を振りまく。アクの強い個性派揃いなのでついつい忘れがちだが、ギャンパレは“アイドルグループ”なのだ。11人それぞれのキラキラした魅力を再確認させられた。

 「元気残ってますか? もう疲れちゃってるんですか? まだあの曲やってないじゃん! 今日は初披露。私が作詞をさせていただきました! 『頭を空っぽにして一緒に遊ぼう』っていう想いを込めて書いたんですけど、マイカがかっこいい振りを作ってくれたので、楽しみにしていてください!」――このあと、もう少し経ってから披露する「おぎゃです」について予告したチャンベイビー。そして、彼女曰く「一緒に言ったら楽しくなる魔法の言葉」である〈ぴ!ちょ!ぱ!〉を全力で叫ぶ「Peace☆超パニック」がスタートした。キャッチーなメロディとラウドロックが入り混じる展開がスリリング極まりない。デスボイス組とかわいい声組の二手に分かれて歌ったのち、遊び人も加わって雪崩れ込んだ〈ぴ!ちょ!ぱ!〉は、楽しくなる魔法の言葉であることが証明されていた。そして、明るいムードを一気にディープ&ドープに塗り替えたのが「Gangsta Vibes」。全編がラップのこの曲は、メンバーそれぞれの表現スタイル、フロウ、声質が際立つ。GANG PARADEの“ギャング”の部分が存分に注ぎ込まれていた。

 先ほどベビがフライング気味に予告した「おぎゃです」も、今後のライブで遊び人を沸かせるライブに欠かせない曲になりそうだ。騎馬戦の騎士のようにメンバーに担ぎ上げられて、救世主のような神々しさを全身で放っていたチャンベイビー。それは、“おぎゃです教”の儀式にうっかり紛れ込んでしまったような衝撃だった。そして、歌舞伎や能のような和的な動きをたくさん盛り込んだダンスパフォーマンスが激しい手拍子を誘った「躍動」も披露されてから迎えた小休止。「本当に最高のアルバムだと思いませんか? 『躍動』のイントロが流れた時に『これ、天下獲った!』と思った」と言って、拍手を浴びた月ノ。全メンバーが作詞に参加した「Doubters」を披露する前に彼女が語った言葉も印象的だった。

 「長いこと活動していると『何を信じたらいいのかな?』と思う瞬間があります。でも、ライブをする度に、私がいちばん大好きで、信じ抜いて、守り抜きたいのは遊び人と作る、一緒に時を過ごす今だなあ、と。そういう気持ちを大きな愛と熱を込めて草野華余子さんが作ってくださった楽曲です。意地と誇りを持って、遊び人と一緒に信じて、守り抜いてきた遊び場(GANG PARADEのライブ)に最大の愛と覚悟を込めて歌います」――この言葉の上で歌われる「Doubters」には、たくさんの悩みや葛藤を乗り越えながら重ねている活動への情熱、未来へと突き進む決意が深く刻まれていた。歌うたびにメンバーたちの気持ちを鼓舞する、大切な曲となっていくのだろう。

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