aespa、乃木坂46、Suchmos、優里、超ときめき♡宣伝部、TOMOO……注目新譜6作をレビュー
優里「輪廻転生」
「人が死んだ後で生まれ変わることを繰り返す」という言葉をタイトルに冠した新曲「輪廻転生」。荘厳にして霊的なイメージを持つタイトルと反するように(?)、この曲は勢いのあるビートと鋭利なギターサウンドを中心にしたロックナンバーに仕上がっている。歌詞のテーマを支えているのは「お前の人生はお前だけのものだ」というメッセージ。他人に何を言われても、たとえ貶められたとしても、人は自分の人生を生きるしかない。生まれ育った環境にかかわらず、自分次第で意味のある生き方はできるはずだ。そんな強い思いを優里はアグレッシブなボーカルとともに聴く者へ叩きつけている。自らのリアルな経験を注ぎ込むような歌の表現も、この曲の説得力に繋がっていると思う。(森)
超ときめき♡宣伝部「ハートな胸の内♡」
ゼリービーンズみたいな色彩でハートがびしばし飛んでくる世界観なので聴くにも覚悟がいるのだが、聴き始めるとスルスルと入ってくるし、意外な転調の虜になってしまう。この感覚、まるで清 竜人25の楽曲みたいだと思ったら、作詞作曲は清 竜人その人だった。やっぱり天才。インストバージョンを聴くとよくわかるが、甘い甘い飾り付けに見える鍵盤やシンセにもめくるめくスピード感があり、ボーカルの譜割りは間延びすることなく、常に小気味よいシンコペーションで動いている。ラスト近くの〈Darling♡Darling♡Darling♡〉三連発は本気でやられてしまった。(石井)
TOMOO「LUCKY」
アニメ『CITY THE ANIMATION』(ABC放送/TOKYO MX他)エンディング主題歌となる書き下ろし新曲。散歩によく似合うテンポと、お気に入りの街を改めて眺めるような眼差しを持つ楽曲で、派手な仕掛けに頼らず、メロディと言葉の組み合わせ、もしくは主旋律と副旋律の掛け合わせで少しずつ聴き手の心を明るく照らしていく。サビの〈何回でも言いたい!〉は、実際のところ「言いーーーたい」というように5拍使われるのだが、言葉を詰め込む唱法やラップが当然になった時代、ここまでのんびりした譜割りの楽曲は逆に珍しいだろう。一過性の流行りではなく、特定の専門性にも寄らない、“ポップス”であることに誇りを持つTOMOOらしさが滲む一曲。(石井)