櫻坂46、四期生ドキュメンタリーで描かれた“咲こうとする意志” 「静寂の暴力」への挑戦を見て
2025年春、櫻坂46に新たな世代となる四期生9名が加入した。三期生加入から約2年半、グループはライブ動員や海外展開など規模を拡大させる一方で、新たな個性をどう迎え入れるかという転機を迎えていた。そうした中でYouTubeチャンネル『櫻坂チャンネル』に公開されたのが、ドキュメンタリー『櫻坂46 四期生物語 ―いま、わたしたちに、できること―』である。
映像では、メンバーのオーディションの模様から、合宿でのダンスレッスン、初めての課題曲への挑戦、先輩との対面に至るまでの過程が描かれる。そこにあるのは、自分たちが未完成であることを受け入れながら、櫻坂46という場所に身を投じる9人の葛藤と模索の記録だ。
これまで公開されてきた櫻坂46のドキュメンタリー全編を貫いているのは、「櫻坂46として、私は何ができるのか」という問いだ。これはグループがこれまで繰り返してきた世代交代のたびに、新メンバーたちが直面してきた共通のテーマでもある。今回公開された四期生の映像では、それがより強く、個人の中で繰り返されている印象を受ける。
三期生ドキュメンタリー『私たち、櫻坂46三期生です』同様、視聴者とメンバーの間に感情の回路を築くための構成でありながらも、今回はより内省的だ。メンバーの発言の多くが自己分析に基づいており、「自分の未熟さをどう変えていけるか」「グループの一員としてどうあるべきか」といった言葉が印象的に綴られていく。
ドキュメンタリーの中心となる合宿パートで、四期生が最初に取り組むのが、三期生楽曲「静寂の暴力」だ。従来のアイドル楽曲とは異なる構成とリズム、情緒の繊細な表現が求められる本楽曲は、技術や経験だけでなく、内面と向き合う力を必要とする。講師からは「カウントでは通用しない」「聴き分ける力がないと振りが覚えずらい」という言葉が投げかけられる。この楽曲にメンバーたちは揃って苦戦し、ダンス経験の有無にかかわらず、音楽に身体をどう預けるか、自分なりの解釈をどう動きに反映させるかが問われた。講師が佐藤愛桜に言った「踊りを見ても何もこっちには伝わってこない」という言葉は、この楽曲に対してグループが求める表現の本質を突いている。
合宿中、村井優と山下瞳月の“サプライズ登場”により、二人による「静寂の暴力」の模範パフォーマンスが披露される。先輩たちの感情のコントロールや細部の緊張感に触れた瞬間、涙を流す四期生が続出。その涙は、畏敬や焦燥とともに、「ここから先に行きたい」という決意にも見えた。