A.B.C-Z、新EP『ROMANTIC!』にも引き継がれた“REVIVAL”のテーマ 過去へのリスペクトを胸に切り開いていく未来

A.B.C-Z、新EP『ROMANTIC!』へと続くテーマ

 6月25日に、A.B.C-Zが2025年最初のリリースとなるEP『ROMANTIC!』をリリースした。

 2023年末に橋本良亮、戸塚祥太、五関晃一、塚田僚一の4人体制になったA.B.C-Z。新体制での再出発を切った2024年は、その行く末をファンに示すかのように積極的にリリースを重ねた。新体制になりその楽曲群に色濃く投影されたのは、彼らがずっと大事にしてきた事務所の伝統の継承にも通じる“REVIVAL”というテーマだ。サウンドにおいても、パフォーマンスにおいても、そこには“昭和・平成リバイバル”という大きな柱が見えていた。

A.B.C-Z 橋本良亮 アーティスト写真
橋本良亮
A.B.C-Z 戸塚祥太 アーティスト写真
戸塚祥太
A.B.C-Z 五関晃一 アーティスト写真
五関晃一
A.B.C-Z 塚田僚一 アーティスト写真
塚田僚一

 その歩みを振り返ると、まず2024年6月5日に新体制初のシングル『君じゃなきゃだめなんだ』をリリース。表題曲はサウンドにもパフォーマンスにも昭和・平成の事務所ヒット曲の片鱗を感じさせ、MVでは昭和の人気音楽番組『ザ・ベストテン』をオマージュした。8月には新体制による初アルバム『F.O.R-変わりゆく時代の中で、輝く君と踊りたい。』をリリース。戸塚がこのアルバムのインタビューで「『君じゃなきゃだめなんだ』を制作していた時点で、五関さんも橋本さんも塚田さんも、『先輩方のやってきたサウンドを踏襲したい』という話はしていました。そのミッションを(アルバムで)しっかり果たせているんじゃないかな」(※1)と話していた通り、懐かしいムード漂う楽曲群が並んだ。その中に事務所伝統の“トンチキ”な世界観の楽曲が収録されていたところにも、ファンは安心感を抱いたに違いない。同アルバムを携え、全国ツアー『A.B.C-Z Concert Tour 2024 F.O.R』も開催。ツアー中の9月には、5人時代の楽曲を4人で再録したデジタルEP『from Z to ABC-Ⅰ-』も配信リリースした。

A.B.C-Z / 君じゃなきゃだめなんだ(YouTube Edit)

 多くの名曲を生み出してきた事務所のサウンドを引き継ぐA.B.C-Zへの再評価が高まった要因のひとつに、サブスクの解禁がある。新体制初シングル発売直前に、デビュー10周年の2022年にリリースしたベストアルバム『BEST OF A.B.C-Z』の配信が解禁となり、「君じゃなきゃだめなんだ」から新曲の配信も始まったことが改めて、良曲揃いのA.B.C-Zが世の中に広がるきっかけとなった。

 アルバム『F.O.R-変わりゆく時代の中で、輝く君と踊りたい。』での一連の活動が終了した11月には、15枚目となるシングル『ヒリヒリさせて』をリリース。作詞:森浩美、作曲:馬飼野康二、編曲:星野靖彦という往年のヒット曲を生み出してきた豪華クリエイターによる楽曲に加え、振付を約6年ぶりのタッグとなるTAKAHIROが担当。A.B.C-Zの原点ともいえるアクロバットをフィーチャーしたパフォーマンスを披露してくれた。

A.B.C-Z / ヒリヒリさせて

 2025年に入ると、デビュー13周年を迎えた2月1日、メンバーソロ曲を含む過去作品154曲の配信も解禁され、より広い範囲にその楽曲を届けられる体制が整った。

 そして6月25日、いよいよ新EP『ROMANTIC!』がリリースされる。「ヒリヒリさせて」を含む全7曲を収録したEPには、新体制になり掲げてきた“REVIVAL”というテーマもしっかり引き継がれている。

A.B.C-Z『ROMANTIC!』(初回盤A)
A.B.C-Z『ROMANTIC!』(初回盤A)

 リード曲となるのは、1曲目に収録されている「Just Romantic!」。中毒性の高い昭和・平成チックなJ-POPサウンドを主軸にしたダンスナンバーは、とてもキャッチー。バックダンサー20名を従えて黒のスーツとサングラスでキメた4人が踊るMVは、「Jigsaw」(アルバム『F.O.R-変わりゆく時代の中で、輝く君と踊りたい。』収録)で4人がどんどん増殖していく不思議な世界観に通じるものがある。今回は増殖ではなく、大人数での群舞で魅せる圧巻なパフォーマンスビデオに仕上がっている。その中でも歌詞に合わせてハートの形を作ったり、LOVEというアルファベットを身体で表現するところも、懐かしさを感じさせる。楽曲を手掛けたARAKIは、A.B.C-Zの「Enamel Slow」、「WAI WAI STAY」などの人気楽曲も手掛けている。

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