『タイムレスマン』蜜谷浩弥Pが明かす、菊池風磨との信頼関係 『ドッキリGP』『タイプロ』を経た冠番組誕生の舞台裏

『タイムレスマン』蜜谷浩弥プロデューサー インタビュー 前編
4月にスタートしたtimeleszの地上波初の冠番組『タイムレスマン』(フジテレビほか)。仕掛け人は『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ系/以下、『ドッキリGP』)など数々のバラエティを手がけてきたプロデューサー・蜜谷浩弥氏だ。timeleszとの出会いや、『ドッキリGP』にも表れる菊池風磨との関係性、そして番組誕生に至るまでの舞台裏とは――バラエティの現場における彼らの“本気”と“人としての魅力”について、じっくりと話を聞いた。前後編の2回にわたってお届けする。(編集部)
<後編はこちら>
timeleszの“本気”が導く面白さ 『タイムレスマン』蜜谷浩弥Pが考える、アイドルの冠番組の形と愛される番組の条件とは?
timeleszの地上波初の冠番組『タイムレスマン』の企画・プロデュースを担当する蜜谷浩弥氏へのインタビュー後編。多くのファンか…
「風磨のため、timeleszのために何かをしたい」と思っている人がたくさんいる
――まず、蜜谷さんのお仕事の内容について伺えたらと思います。『タイムレスマン』という番組においては、どのような立ち位置で関わられているのでしょうか?
蜜谷浩弥(以下、蜜谷):『タイムレスマン』の前に、まず僕は『ドッキリGP』の立ち上げからチーフプロデューサーを務めているのですが、そこで菊池風磨と出会いました。ある意味、『ドッキリGP』は風磨とともに育ってきたようなところもあります。応援しているというか、彼の才能をすごく尊敬していますし、悩んだ時にはお互いに相談したりします。
そんな関係の中で昨年『timelesz project -AUDITION-』(Netflix/以下、『タイプロ』)が始まり、新たにメンバーを迎えると聞いた時に、風磨が本気でやるんだったら何か自分にもできることはないかな、という思いがベースにありました。オーディションが始まったタイミングで、「メンバーが決まったら新体制でレギュラー番組をやりたい」と社内で掛け合い、企画書を提出したんです。ただ、その時点では『タイプロ』がどのように進んでいくのかがまったく見えていなかったので、会社としてもそのタイミングで即座に許可を出すのは難しい状況だったと思います。
――確かに『タイプロ』が始まった当初は、何人入るのか、そもそも本当に加入があるのかもわからない段階でしたね。
蜜谷:ただ、風磨が本気でやっているプロジェクトだから、必ずいいグループになると信じていましたし、だからこそスタートの段階から後押しをしてあげたいと思って。それがフジテレビにとってもプラスになると確信していたので、その後も社内で相談を続けて、結果として実現することができました。その後、『タイプロ』がすごく話題になったんですよね。で、最初の話に戻りますが、僕は企画を立ち上げてチームを作り、今は番組の方向性を考えるという『タイムレスマン』の全体的な企画・プロデュースに携わっています。チーフプロデューサーには後輩の加藤智章、総合演出には同期の當麻晋三に入ってもらいました。どちらも信頼しているクリエイターです。
――まだ『タイプロ』の全貌が見えていない段階で番組の立ち上げを決断されたとのことですが、それだけ蜜谷さんが菊池さんを相当信頼しているということですよね。菊池さんのどんなところがそうさせるのでしょうか。
蜜谷:『タイプロ』を観て同じように思った方もいらっしゃると思うのですが、『ドッキリGP』でも「覚悟が違う」「本気だ」と感じることが多くて。何をやるにしても異常なまでに負けず嫌いですし。それに、彼は本当にテレビとバラエティが大好きなんだと思います。
たとえば、『ドッキリGP』でプールで水着が溶けてしまうというドッキリを仕掛けた時、風磨が全裸になって「許せない!!」って叫んだシーン。あの言葉は秀逸で、ありがたいことに、多くの視聴者の記憶に残ってるじゃないですか。ドッキリが終わった後に「なんであんな面白い言葉が出てきたの?」って聞いたんですよ。彼はアイドルで、歌が歌えて、ダンスもできる、かっこいい存在なわけだから。そうしたら、「僕、男子校だったんで、かっこいいとかじゃ生き残れなかったんですよ。面白いヤツじゃないとダメだった。それに僕はバラエティが大好きなんで、ずっとそこで活躍したいと思ってたんです」と言ったんです。その言葉を聞いて、彼はバラエティにとって最高の人材だと思ったんですよね。
――それだけ強い想いを持っているからこそ、現場での信頼も厚いんですね。
蜜谷:そうですね。風磨って、僕らがやることに対して120%の力で応えてくれるんです。本気だからこそ、『ドッキリGP』でも生半可な気持ちではドッキリは仕掛けられない。総合演出の中川(将史)も、風磨にドッキリを仕掛ける時は特に細心の注意を払うようにしていますし。こちらも気を抜かずに緊張感を持って本気で臨めば、彼は絶対に最高のリアクションで打ち返してくれるし、いいものが作れると思っています。
――『ドッキリGP』で新体制のtimeleszメンバーが揃った企画がありましたよね。
蜜谷:いやあ、あれはすごかったですね(笑)。まず、そもそも風磨に“何か仕掛ける”となった時の『ドッキリGP』のディレクター陣のやる気って、またひとつ違うというか……ギアが変わるんです。風磨へのドッキリは総合演出の中川が、過去作も含め全部担当しているんですが、「絶対に面白くしなきゃいけない」というプレッシャーと使命感をすごく感じていると思います。風磨を落とし穴まで誘導するシーンも、歩幅まで全部計算したって言ってましたから(笑)。
――驚くくらい自然な流れでしたからね(笑)。
蜜谷:ええ、あれも相当のプレッシャーだったと思いますよ(笑)。
――そんな中で、菊池さんを深く理解されているからこそ、番組を一緒にやる際には、より特別な想いがあったのではないでしょうか。
蜜谷:そうですね。彼と関わっていく中で仕事に対する真摯な姿勢を見てきたので、風磨が本気でやるプロジェクトであれば、きっと上手くいくだろうと僕は思ってましたし、上手くいかなくても、こちらが上手くいかせてあげたい――こんな言い方をしたら上から目線に聞こえるかもしれませんが――本気でそう思っていました。
やっぱり、彼にはスタッフを動かす力がありますよ。「風磨のために何かしたい」「timeleszのために何かをしたい」と思っている人がきっとたくさんいると思います。彼って、結構生意気なキャラに見えるじゃないですか。でも、それは本番で面白くするためのと彼のキャラクターであって、こんなふうに言ったら本人は恥ずかしいと思うかもしれないですけど、実際はめちゃくちゃ礼儀正しいから(笑)。だからみんな、風磨に対して何か感じるところがあるんじゃないでしょうか。