吉田美和、Toshl、奥田民生、吉川晃司、岡村靖幸、前田亘輝……第一線で活躍する“還暦アーティスト”のいま

 2025年、60歳という節目を迎えるアーティストたち。そこには、日本の音楽シーンを長年支え、今なお第一線で活躍を続ける錚々たるボーカリストが名を連ねている。DREAMS COME TRUEの吉田美和(Vo)、Toshl(Vo)、ユニコーンの奥田民生(Vo/Gt)、吉川晃司、岡村靖幸、TUBEの前田亘輝(Vo)……。いずれも1980〜90年代を駆け抜け、現在もライブや楽曲のリリースなどを通じてその歌声を更新し続けている存在である。今回取り上げる60歳のボーカリストたちは、キャリアの蓄積による円熟味と、進化を止めない表現意欲の両方を備えている。彼らは“衰え”ではなく“深化”というかたちで歌声を磨き上げ、時代を超えてリスナーと対話を続けているのだ。

 まずこの5月に還暦を迎えたばかりの吉田美和は、1989年にDREAMS COME TRUEでデビューして以来、「未来予想図Ⅱ」「LOVE LOVE LOVE」など数々の名曲を歌い上げ、その圧倒的な歌唱力と表現力で日本のポップスをリードしてきた存在である。ブレスも含め、その声一つひとつで感情を描き切るようなその技術は、音楽ファンのみならず多くのミュージシャンたちからも絶大な信頼を寄せられている。2024年から2025年にかけてはDREAMS COME TRUEとしてデビュー35周年を記念した全国ツアーを開催。全30公演、北海道から沖縄まで全国をまわり各地のファンを魅了した。昨年7月には、地元・北海道池田町でイベント『池田ワイン城 50周年感謝祭 × DREAMS COME TRUE 35周年「ドリカムとドリカムの日」』も開催し故郷を盛り上げただけでなく、映画主題歌となった「Kaiju」を発表するなど充実した一年を送った。さらに今年に入ってからは、『2025年日本国際博覧会』(『大阪・関西万博』)開催に際して行われた『大阪・関西万博開催記念 ACN EXPO EKIDEN 2025』に書き下ろした新曲「ここからだ!」もリリースし、なお新たな挑戦を続けている。そんな吉田の歌声は生き方や希望までも描き出し、多くのリスナーを魅了し続けている。

「DREAMS COME TRUE 35th Anniversary ウラワン 2024/2025」Blu-ray & DVD ダイジェスト映像

 Toshlも今年60歳となる。1980年代より、激しいメタルチューンから「Forever Love」「ENDLESS RAIN」のようなバラードまで幅広く歌いこなし、シャウトと繊細さを併せ持った歌声で人気を獲得。多くのファンを魅了し続けている。X JAPANとしては2023年、約8年ぶりとなる新曲「Angel」をリリースし大きな話題を呼んだ。このエモーショナルなバラードで久々にToshlの力強いボーカルが披露され、今もなおその健在ぶりを示している。またToshl自身もカバーアルバムのリリースやテレビ出演など多方面で活躍しており、衰えぬ情熱で音楽と向き合い続けている。

Toshl RYUGEN T.V 今日という日に、、、GRACE

 さらに、ユニコーンのフロントマンでソロアーティストとしても成功を収めてきた奥田民生も、2025年に60歳を迎えた。奥田は、飄々としながらも芯の通った歌声で心を震わせる、生粋のロックシンガーだ。最近では、代表曲「さすらい」がTikTok上で“#さすらいダンス”としてバズを起こし、若い世代にもその声が届くこととなった。そして、今年5月に『UNICORN 奥田民生60祭「Let’s チリチリタミー」』と題したユニコーンによる“還暦祭”を開催。また還暦を迎えるのに合わせて昨年出版された書籍『59-60 奥田民生の仕事/友達/遊びと金/健康/メンタル』(ダイヤモンド社)では、奥田らしい生き方の哲学と音楽への思いを飾ることなくありのままに綴っている。これらの活動すべてに通底するのは、年齢にとらわれず、むしろ味方につけるような奥田民生という表現者の柔らかさと芯の強さである。

【3/8(土)リリース】LIVE Blu-ray 「ソロ30周年記念ライブ「59-60」@両国国技館」トレーラー映像

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