香取慎吾「幸せです」 初ソロアリーナツアー東京公演、常に期待を超えてくる表現者としての強さ

香取慎吾、初ソロアリーナツアー東京公演

「一緒に歳を重ねてきてるからね」NAKAMAの信頼関係が滲んだ爆笑MC

香取慎吾ライブ写真

 もともと汗っかきな上に熱いライブパフォーマンスで1曲目にして汗だくな香取。MCでは、そんな香取に「大丈夫?」の声が届く。「慎吾ちゃんは全然暑くない。大丈夫! 全然大丈夫!」と言い張ってみせると今度は逆に観客に向かって「膝大丈夫? 腰大丈夫?」とイジっていく。MCの時間は、歌手・香取慎吾から、バラエティタレントの「慎吾ちゃん」へとモードが切り替わったようにも見えた。

 30年以上前からずっと応援しているという長年のファンたちに「一緒に歳を重ねてきてるからね」と思いを馳せたり、今日初めてライブに来たという新たなファンに「今後ともよろしくお願いします」なんてプロデューサーのように売り込んだり。そんな1人何役もの視点で語りかけることができるのも、香取ならでは。

 前日の初日公演には草彅剛が駆けつけたこともあり、今日は「稲垣吾郎がくるのでは?」と予想したファンも多かったと想像したのか「今日は⋯⋯来ていません!」とフェイントしてみせる場面も。7月以降、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』などの出演作が控えている稲垣。「忙しくて“イラチ”なんだって!」と来られなかった理由を告げると「クックックッ」といたずらっぽく笑うところに、“しんごろ”ならではの関係性もチラ見え。

 また、この日は「東京SNG」を歌っている途中にスタンドマイクのトラブルで歌声が聞こえないというハプニングがあった。そんなヒヤッとする出来事も「楽しいよね、ライブっぽくて」とトークのネタに昇華。「ハンドマイクに切り替えるとき、自分の中でも“カッケー!”って」とむしろポジティブに転換させ、スタッフや観客を安心させる。

 そんな話で盛り上がっていると今度は「大切な人、忘れてた」と関係者席に座る親友・山本耕史を紹介。Tシャツのロゴをイジった香取だったが、実は山本の靴下が香取がディレクターを務める「JANTJE_ONTEMBAAR」のものだったことはここに記しておきたい。

 ファンを楽しませるのはもちろん、関わったすべての人たちを幸せにしたい。そんな“パーフェクトビジネスアイドル”のモットーを感じることができる一幕。だからこそ、これだけの長い年月、多くの人から愛されるアイドルとして活躍し続けているのだろう。

香取慎吾ライブ写真

香取慎吾ライブ写真

 本人は一度ステージを降りて、こうしてまたアリーナツアーができることを「信じられない」「みんなのおかげ」と言うが、香取慎吾が香取慎吾として輝き続けたからこその快進撃だ。

 そんなジーンとさせられる場面があったかと思えば、「P!B!I!(パーフェクトビジネスアイドルの略)」や、この日の公演前に香取が食べた食事写真を前に「春巻き!」「米高騰!」「備蓄米!」など、どんな言葉でも香取のコールに反応する会場全体の一体感に笑いが止まらなかった。

 何十年とライブに足を運んできた古参ファンから、今日初めて来たという新規ファンまで。みんなが一様に笑顔になって帰っていく。そして、また香取の作る夢の世界に戻って来る日を楽しみにしながら、それぞれの現実を生きていく。そんなNAKAMAの1人として密かに繋がりを感じられる温かさが、香取慎吾のライブにはある。

香取慎吾ライブ写真

香取慎吾はなぜ特別なのか 拡大するNAKAMAの輪、神業的エンターテインメントを実現させる人間力の凄み

香取慎吾のフェス『“Circus Funk” Festival』を振り返る。

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