WEST.が放つ関西魂と愛の賛歌 『ウェッサイソウル!/ BIG LOVE SONG』に見る変幻自在な7人の表現力
CD Chart Focus
参考:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2025-05-19/
2025年5月19日付(5月13日)のオリコン週間シングルランキングでは、WEST.の最新シングル『ウェッサイソウル! / BIG LOVE SONG』が初週推定売上枚数22.4万枚を売り上げ、初登場1位を獲得。これにより、WEST.は14作連続、通算19作目のシングル1位獲得となった。ちなみに、「合算シングル通算1位獲得作品数」は歴代2位タイにつけ、男性アーティストではKing & Princeと並ぶ歴代1位タイとなっている(※1)。
「ウェッサイソウル!」は、WEST.の7人が主演を務めた現在公開中の映画『裏社員。-スパイやらせてもろてます-』の主題歌となっており、トータス松本が作詞作曲を、ウルフルズがサウンドプロデュースを手掛けたソウルフルな楽曲となっている。イントロの「Put your hands up」との掛け声に始まり、Aメロのギターのカッティング、Bメロのワウペダル使いと、随所に散りばめられたアプローチは、さすがは日本を代表するファンクバンドの仕事。サビや曲の転換部分で印象的に響くシンセは、映画『ゴーストバスターズ』のテーマ曲を彷彿とさせるテイストになっていたりと、遊び心も感じられる。
そして、そんな楽曲とWEST.の個性が驚くほどマッチしているのだ。もともと声量もあり歌唱力は折り紙付きの7人ではあるが、今作では上手く歌うこと以上に曲の世界観や歌詞に寄り添う表現力を大切にしたのだろうか。最低な状況をも丸ごと受け入れ、泥臭くも「負けへんぞ!」と笑う不屈の精神やメッセージを、体当たりの歌唱に落とし込んでいる。
「ええじゃないか」「週刊うまくいく曜日」など、これまでにもファンク色の強い楽曲を得意としてきたWEST.だけに、安定感は抜群。タイトルの“ウェッサイ”(ウエストサイド=西側の意)にも表れているとおり、溢れ出る関西色と地元への愛が詰まった、まさにWEST.のテーマソング的1曲と言えよう。
神山智洋主演ドラマ主題歌「BIG LOVE SONG」のあたたかさ
そして「BIG LOVE SONG」はメンバーの神山智洋が主演を務めるドラマ『ミッドナイト屋台~ラ・ボンノォ~』(東海テレビ/フジテレビ系)の主題歌。ゴスペルやジャズの要素を取り入れたミドルテンポのメロディはピアノやホーンのアレンジも相まって幸福感たっぷり。Aメロからサビ前まで、メンバーが1フレーズずつ歌い継いでいく構成では、それぞれの持つ声質や歌唱テクニックが冴えわたっており、あらためてグループとしてのポテンシャルの高さを感じさせる。全員が声を合わせるサビは、伸びやかで飾らない彼らの魅力が存分に発揮されたパート。さらに転調する大サビも、コーラスやハミングとギミックが満載で、聴きどころは多い。身近な幸せを歌った歌詞も、聴き込むほどに味わいが増す印象。ファンの間でも長く愛される楽曲になるに違いない。
このほか、通常盤では「春びより」、「僕だけの小さな花」の2曲をカップリングとして収録。「春びより」は愛しい人へのあふれる思いを歌ったメロディアスなバラード。ハモリの美しさやパワフルな歌唱に、彼らの持ち味を見ることができるほか、ほどよいロックなアレンジも好印象の楽曲だ。一方の「僕だけの小さな花」は一転、アイドルらしいキラキラしたポップソング。曲のテンポに合わせ、どこか軽やかで弾むような歌唱スタイルが新鮮に映る。
楽曲ごとにアプローチも歌唱も変化させながらも、そのすべてにWEST.らしさ、7人で作り上げるグルーヴは健在。昨年デビュー10周年の節目を迎えたが、まだまだ伸びしろを感じさせるグループである。
※1:https://www.oricon.co.jp/news/2384771/full/
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