WHITE SCORPIONに訪れた覚醒の季節 初サマーチューン「Beach opening」と“ホワスピらしさ”の自覚を語る

『I do love you!』以降の変化を象徴する『Beach opening』

――メンバー自身が変化し続けているのと同じように、WHITE SCORPIONの楽曲もクールさが際立った作風から、昨年12月の6thデジタルシングル『I do love you!』以降は新たな側面を見せ始めています。今回リリースされる7thデジタルシングル『Beach opening』でもその傾向はより強まっていますが、今作はパフォーマンスにおいて新たな一面を見せられる楽曲になったのではないでしょうか。
ACE:そうですね。「Beach opening」のMV撮影では「今まで見せたことなかったような表情が見たい」と新宮(良平)監督から指示をいただいて。最初は戸惑ったんですけど、何回かテイクを重ねていくうちに自分たちでも気づかなかった新しい一面を見つけられた気がします。
――「Beach opening」を最初に聴いた時は、どういう印象を持ちましたか?
HANNA:前作「I do love you!」が明るく笑顔が似合う曲調で、それ以前がかっこいい系が続いていたから、今回はどっちになるんだろうと思っていたんですが、聴いた瞬間に「あ、夏が来た!」と思うような爽やかなシティポップ系で。明るくて笑顔が似合うんだけど、その奥にはちょっと違う表情が潜んでいるという、また今までとも違うWHITE SCORPIONが見せられるんじゃないかと思ってワクワクしました。
ACO:夏曲だと知って、「夏フェスで披露したら、すごく盛り上がりそうだな」と思っていたんですけど、いざ仮歌を聴いてみると、結構落ち着いた曲調だったのでびっくりしました。太陽の下で弾けるというよりは、夕方のドライブに合いそうなイメージで。ライブの締めに披露したらお客さんに余韻を残せるんじゃないかなと思いました。
ACE:歌詞でも恋の始まりのときめきが描かれていて。「I do love you!」はまっすぐ愛を伝えるラブソングだと私は思っているんですけど、「Beach opening」は自分の内なる感情をこの曲に乗せて伝える、みたいな。でも、それを本人に直接伝えるわけでもないから、情緒のある歌詞だなと思いました。しかも〈カーレディオのオールディーズ〉とか〈ロマンス〉とか、私たち世代が普段聞き馴染みのないレトロなフレーズがすごく多いじゃないですか。そこも情緒につながっているなと思いました。個人的には、〈僕たちの関係は/空と海のように/交(まじわ)りそうで/交(まじわ)らない/世界の涯(はて)まで〉というHANNAと一緒に歌うフレーズがお気に入りで。恋愛のもどかしさを〈空と海のように/交(まじわ)りそうで/交(まじわ)らない〉と喩えるところが素敵で、さすが秋元(康)先生だなと思いました。
HANNA:たしかに、レトロな言葉が並んでいるけど、意味がわかると情景が浮かびやすい歌詞だよね。それこそ、サビの〈二度とない季節になるだろう〉っていうフレーズは、WHITE SCORPIONにも当てはまるし。私たちにとってもこの夏は一度きりだし、だからこそ一日一日を大切にしたいよねって思うきっかけにもなりました。
ACO:今までのWHITE SCORPIONは重たい大人の恋愛を歌った歌詞が多かったんですけど、今回はわりと学生寄りというか、大学生くらいの恋愛を歌っている印象が強くて。だからなのか、〈恋の波が近づくよ〉というフレーズを聴くとドキドキしちゃうんですよ(笑)。
ACE・HANNA:(笑)。

――たしかに、淡い恋心や青春感が伝わるフレーズが多いですものね。MVもシチュエーション含め新鮮で、皆さんの表情からも楽しんでいる雰囲気が伝わってきます。
HANNA:めちゃくちゃ楽しかったです! 撮影中もメンバーみんな楽しそうで、自然と笑みが浮かんできましたし。
ACE:ここまでストーリー仕立てのMVは、WHITE SCORPIONにとっても初めてで。最初は「えっ、強盗ってどういうこと?」って思いました(笑)。
ACO:爽やかな内容をイメージしていたからね。
ACE:でも、いざ撮影して完成したものを観ると「なるほど!」と納得でした。
HANNA:今回、エキストラの方もたくさんいたんですけど、私たちがステージでダンスしているところをずっと観ていてくれたからか、撮影中に振りを覚えてくださった方もいらして。それくらいアットホームな雰囲気で、最後までワイワイ楽しみながら過ごすことができましたし、それこそステージに乱入してくる強盗役の方々も「夏嫌いー!」って叫びながら撮影に臨んでいて。そこで私たちも「ダメー!」って返したりしてテンションが一気に上がりました。
ACO:私、新宮監督の遊び心がすごく好きなんです。特に好きなのが、強盗が入ってきて私たちと乱闘になっているのに、後ろでは「なんくるないさ〜」って演奏を続けるバンドのシーン(笑)。1秒にも満たないくらい短い場面なんですけど、そこだけで新宮監督が描きたい世界観が全部伝わってくるんです。
――個人的には、HANNNAさんは強盗相手にイルカの浮き輪で対抗するシーンがお気に入りです。
HANNA:あそこは本当に楽しくて。強盗役の方も「思い切り叩いていいからね!」と言ってくださって、その言葉に安心して思い切りやることができました(笑)。

――あのお祭り感が実際のステージではどのように表現されるのか、ライブでのパフォーマンスも楽しみにしています。一方、カップリングに収録された「なんて僕は無力なんだろう」は表題曲とは対照的で、従来のWHITE SCORPIONらしさが伝わるクールなダンスチューンです。
ACO:最初に聴いた瞬間に、これぞ“ザ・WHITE SCORPION”だなと思いました。ただ、メロディの高低差が想像以上に激しかったので、レコーディングではどうやって歌おうかと、いろいろイメージしてから挑みました。
HANNA:私はこの曲の重低音がすごく好きで。現時点(取材は4月初旬に実施)ではまだ振りが付いていないんですけど、この気持ちいい低音が鳴っていればノリやすいはずだから、今からライブで披露するのが楽しみな一曲です。
ACE:ここまで重低音が強い楽曲って、WHITE SCORPIONにはありそうでなかったので、ライブで披露したら地響きみたいに激しく鳴り響きそうだし、お客さんのコールが加わったらすごく盛り上がりそうですよね。歌詞もかなり強めに問いかけるような内容ですし、それに見合ったこだわり抜いたパフォーマンスを作っていけたらなと思っています。
――その歌詞に関してですが、気になるフレーズってありますか?
ACE:主人公はずっと〈それは僕のせいなのだろうか?〉とか〈どんな言葉掛ければいい?〉とか問いかけているんですけど、私はサビの〈腕に抱いてしまえば 終わりな気がする〉こそが本音だと思ったんです。なので、個人的にはこのフレーズを歌いたいなと思っていたので、実際に任せてもらえて嬉しかったです。
HANNA:私は個人的に〈星〉が入っている歌詞がすごく好きなんですよ。なので、〈夜空の星は美しいけど/ずっと見ているわけにいかない〉っていうフレーズを読んだ時は、私はずっと見ていたい派なので(笑)、「何があったんだろうな?」と考えてしまいました。
ACO:私は歌い出しの〈冷蔵庫の中に忘れられている/期限切れの牛乳があったとして〉が、すごくパンチが効いているなと思いました。「たしかに期限切れの牛乳、うちの冷蔵庫のなかにもあるな」とハッとさせられましたし(笑)。そこから歌詞が進んでいくと「これは目移りしやすい男性の歌詞なんだろうな」「私は一途なほうがいいな」と思ったりもして。「Beach opening」とは対照的に、大人の恋愛を歌っているから難しさもあるんですけど、初めてパフォーマンスするまでにはしっかり自分のなかで咀嚼して、ダンスや表情を通して表現できるようになりたいなと思っています。


















