UVERworld、SUPER BEAVER、King Gnu……会場の大小問わずライブを続けるバンドが貫く“規模以上”の本質
例を挙げると、筆者が観た昨年12月25日に行われた日本武道館公演『UVERworld NO ENEMY TOUR~PREMIUM LIVE on Xmas 2024~』は、まさにライブハウスさながらの熱狂と親密さを感じさせてくれるライブだった。TAKUYA∞(Vo/Programming)が、「端から端まで誰一人置いてかねえからな」と告げた幕開けのシーン、また、上の階の観客を指差して「でっかい声聞かせてよ」「お前だよ、一番後ろの!」と呼びかけたシーンが忘れられない。
たとえ大規模な会場であろうと、すべての観客にライブの傍観者ではなく当事者であることを求める。これまでZeppをはじめとしたライブハウスや、日本武道館、横浜アリーナ、さいたまスーパーアリーナ、東京ドーム、日産スタジアムなど、様々な会場で彼らのライブを観てきたが、どのライブにおいても「自分はこのライブの当事者である」という実感を得ることができた。誰かではなく、ほかでもない自分に向けて届けられる音と言葉に触れた時、「この歌にふさわしい自分だ」という気持ちを抱くのだ。繰り返しにはなるが、そうした実感を届ける/受け取るという1対1の関係性を結ぶ上においては、ライブ会場の規模は本質的には関係ないのだと思う。
まもなくニューアルバムをリリースする[Alexandros]による5月から18カ所24公演にわたるツアー『[Alexandros] PROVOKE JAPAN TOUR 2025』が開幕する。このツアーはライブハウス編とホール編の2部に分かれていて、その時点ですでに全国様々な会場に攻め込んでいくバンドの強い意志が感じられる。また、この春には、近年ドームツアーやスタジアムツアーを行ってきたKing Gnuが、ファンクラブ限定ツアーを“ライブハウスツアー”と銘打って開催した。King Gnuをはじめ、ブレイクのタイミングがコロナ禍と重なったバンドにとっては、今行われるライブハウス公演は貴重であり、バンドがファンへ寄せる誠実さが伝わってくる。
どれだけ活動のスケールが大きくなろうとも、ファンとの絆を至近距離で確かめ合う機会があることは、ファンにとってはもちろん、バンドにとっても喜ばしいことであると思う。