BUCK-TICK、“生”で届けた『スブロサ SUBROSA』の深み 往年のファンを驚かせた自由で斬新なステージに
「さぁ、パレードへ出かけましょう」ーーそう星野が囁くと「paradeno mori」が始まった。ギターを下げながらハンドマイクで甘い歌声を聴かせる星野。腰に手を当て、身体をくねらせながらリズムを取って歌う姿は、飄々とした今井のスタイルとは真逆であり、新しいBUCK-TICKの魅力だ。無国籍な雰囲気を醸しながら、音源とは異なる空気感を生演奏で生み出すインスト「ストレリチア」。サウンドとBGVが融合した美しさに観惚れていると、「絶望という名の君へ」で再び星野の独壇場に。ボーカリストとしての大人の色香でオーディエンスを酔わせる。「TIKI TIKI BOOM」では、今井が巻き舌ボーカルで不気味な陽気さを撒き散らかすと、星野が「プシュケー - PSYCHE -」でミステリアスに吠える。そんな2人のコントラストが会場の熱をたぎらせていく。後曲は初披露だが、緩急あるライブアレンジが秀逸であり鬼気迫るようなベースラインに震えた。
そのままラストまで初披露曲が続く。「ガブリエルのラッパ」の地を這う大蛇のように進むアンサンブル。その上をシーケンスにホーンといった、サウンドのダイナミズムが恐ろしいまでに襲いかかってくる。今井の人を喰ったようなボーカルが猛り狂い、荘厳な楽曲展開も相まって異様なほどライブ映えする圧巻のモンスター曲だ。そしてトイレ休憩ではない「海月」へ。今井は手にした煌びやかに光るZtarで、星野は鍵盤を使って音を重ねていく。音源とは異なる即興演奏要素も混じったアンビエントテクノで魅了した。
ラストはもちろん、「黄昏のハウリング」である。淡々としているようで、オーディエンスの激情と情緒を静かに弄るように進んでいく演奏と歌が会場を呑み込んでいく。今井のボーカルにこれほどまでに惹き込まれるなんて思ってもいなかった。長年BUCK-TICKを聴いてきたファンであればあるほどにそう思ったはず。そして今井は感情のすべてをギターソロに叩きつける。〈歌うように 歌うように〉叩きつける。〈哭いている 咆えている〉その音はどこまでも突き抜けていくように響き渡り、いつまでも耳に残った。
そうしたハウリング混じりの今井のギターソロの余韻は、4月からスタートする『BUCK-TICK TOUR 2025 スブロサ SUBROSA』へと続くのである。
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アルバム『スブロサ SUBROSA』
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『BUCK-TICK TOUR 2025 スブロサ SUBROSA』
ツアー特設サイト:https://buck-tick.com/feature/specialsite_subrosa
追加公演特設サイト:https://buck-tick.com/feature/ss_subrosa
Blu-ray&DVD『劇場版BUCK-TICK バクチク現象 - New World -』
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