乃木坂46、Ado、SEKAI NO OWARI、マカロニえんぴつ、FANTASTICS、Aooo……注目新譜6作をレビュー
マカロニえんぴつ「NOW LOADING」
初期衝動的な勢い、そして、緻密に構築されたバンドサウンド。その両方を備えていることがマカロニえんぴつの強みであり、新作EP『いま抱きしめる 足りないだけを』の収録曲で言えば、前者が「然らば」で、後者が「NOW LOADING」(映画『山田くんとLv999の恋をする』主題歌)ということになるだろう。ワンコーラスのなかでテンポが少しずつ上がっていき、各楽器が有機的に絡み合うこの曲には、彼らのアレンジ巧者ぶりが分かりやすく反映されている。サビのパートにおけるヒンヤリとした手触りのシンセ、ツインギターのフレーズの振り分け方など、細部まで意識がしっかり届いた素晴らしいアンサンブルだと思う。〈傘を分け合う時間が永遠に感じたんだ〉に象徴される、映画のストーリーと“誰もが感じている言葉にできない想い”を結び付けた歌詞も秀逸。(森)
FANTASTICS「FANTASTIC!」
グループの冠番組『FUN!FUN!FANTASTICS SEASON5』(日本テレビ系)主題歌となる最新シングル。作詞作曲、プロデュースをstyが担当した楽曲は90年代のヒップホップやハウスをベースにしたダンスチューン。ゴキゲンなスクラッチ音、随所に散りばめられた人々の嬌声、サンプリングされるサックスなど、低音より中高音を意識した音のにぎやかさが享楽的パーティーの幕開けを演出。これはありそうでなかった楽しさだ。単純なループが多いのにスピード感が途切れないところ、あくまでラップを現代的に処理しているところが古臭くならないポイントだろう。歌詞にあるように、まさに〈Old and new 繋いで未来へ移行〉。(石井)
Aooo「フラジャイル・ナイト」
2023年結成の男女4人組で、ボーカルを務めるのはアイドルネッサンス、赤い公園のボーカリストとして活動していた石野理子。すりぃ(Gt)、やまもとひかる(Ba)、ツミキ(Dr)もそれぞれ個人で活動する音楽クリエイターなので、昨年の1stアルバムは4人全員がバンドのロマンに身を委ね、偶発的な化学反応を求めていた印象がある。そこから約半年後のシングルとなるこの曲は、石野のボーカルと歌詞世界を初めて主役にしたのだろう。好きだった〈君〉のことを思う切ない歌詞と、震える心を写し取るように細かく変化するメロディライン。構成はJ-ROCKを踏襲しているが、はっきりラブソングであることを明示したこの歌から、Aoooの次の流れが生まれていくのかもしれない。(石井)
























