Ave Mujica、BAND-MAID、花冷え。......アニソン×ガールズバンドの傾向に変化? HR/HM起用の潮流を読む

 ここからは、アニソンについてのHR/HM起用の潮流についていくつか考察していこう。まず、日本のHR/HMは国内よりも海外での人気の方が高いイメージがある。近年のアニメはCrunchyrollをはじめとした海外へ向けた配信サービスの充実で、海外の視聴者もほぼリアルタイムで日本のアニメを楽しむことができる。そのため、花冷え。やBAND-MAIDの主題歌抜擢は、海外人気を見据えた起用という視点もあるのではないだろうか。現に、『グレンダイザーU』はアラブ地域で人気の高い作品であり、『もめんたりー・リリィ』ではOP映像に英語歌詞を載せるなど、海外の視聴者を意識したアプローチが行われている。

TVアニメ「グレンダイザーU」ノンクレジットED映像【BAND-MAID/Protect You】

 また、アニソンは様々なジャンルが混在する“ごった煮”的な側面が大きいため、アニソンファンの中にはHR/HMのサウンドに馴染みがあるという人も多い。代表的なところでは、陰陽座の「甲賀忍法帖」(AT-Xほか『バジリスク 〜甲賀忍法帖〜』OPテーマ)や、筋肉少女帯の「混ぜるな危険」(TOKYO MXほか『うしおととら』OPテーマ)、GRANRODEOの「BEASTFUL」(TOKYO MXほか)『バキ』OPテーマ)、SiMの「The Rumbling」(NHK総合『「進撃の巨人」The Final Season Part 2』OPテーマ)などが挙げられる。キャラクターソングまで視点を広げれば、『ラブライブ!』の「LOVELESS WORLD」、『ゾンビランドサガ』(TOKYO MXほか)の「ようこそ佐賀へ」、『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の「NEO THEORY FANTASY」をはじめとしたアンティーカ楽曲など、様々な作品でHR/HM楽曲が作られている。女性ボーカルでのHR/HM楽曲を受け入れる土壌が整っているのも、主題歌を起用する側としてはメリットであると言えよう。

「甲賀忍法帖」(MV)

 中でも現在のHR/HMへの導線になる存在と筆者が考えるのが、アプリゲーム『ヘブンバーンズレッド』の作中バンド・She is Legendだ。ジャンルとしてはラウドロックやスクリーモで厳密にはHR/HMではないが、メロディックデスメタルバンド・Serenity In MurderのAyumu(Vo)がスクリームを担当しているほか、HR/HM要素が垣間見える楽曲も散見される。そんなジャンル越境を面白がれるのもアニソンファンの特徴かもしれない。

She is Legend「Burn My Soul」/ヘブンバーンズレッド ライブシーン【ヘブバン】

 世界を股に掛けるガールズバンドたち。今後もアニメとのコラボから目が離せない。

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