sisが目指す、日本と韓国の音楽文化を発信する“トロット”のパイオニア 「日本語の歌を韓国で歌うことが感慨深かった」

sisが目指すトロットのパイオニア

「昭和歌謡はトロットと同等に韓国ですごく浸透してる」

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ーーミニアルバムには、各人のソロ曲も収録されています。かのうさんは、PSY・Sの「ANGEL NIGHT ~天使のいる場所~」をカバーしました。

かのう:アニメ「シティーハンター2」のオープニングテーマとして、曲は知っていました。コロナになってTikTokを始めたときに、ファンの方に「『ANGEL NIGHT ~天使のいる場所~』ぜったい合うよ!」と言われていたし、『トロット・ガールズ・ジャパン』でも「歌えば?」という話が出たことがあったから、ミニアルバムのソロ曲として提案されて、即決(笑)。でも実際に歌うのは初めてで、言葉数の多さやサビの高音が不安だったのですが、練習したらすごく馴染んで「やっぱり私、こういうがロックな曲が好き!」と思えた。自信をもって歌えました。

ーーMAKOTO.さんは、中原めいこさんの「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。」をカバーしました。

MAKOTO.:実は「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。」はカバーしてる人が多かったから、工藤静香さんの「MUGO・ん…色っぽい」をリクエストしていたんです。でも「MUGO・ん…色っぽい」は、自分でもきれいにまとまるのが想像できた。「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。」の方が自分のいいところを出しきれる気がして、実際に歌ってみたらイントロからくしっくりきて、「これ、私じゃん!」って。でも想像したより、かわいくなっちゃったかも(笑)。

ーー太良さんは、アン・ルイスさんの「グッド・ バイ・ マイ・ ラブ」をカバーしました。

太良:私の中のアン・ルイスさんは「六本木心中」や「あゝ無情 」のイメージだったし、アップテンポの曲の方が歌いやすい印象があったから、ミディアムバラードのこの曲は優しすぎるんじゃないかと心配になったんです。でも松崎しげるさんがカバーした「グッド・ バイ・ マイ・ ラブ」を聴いて、「これだ!」と思ったんです。途中からリズムが入ってきてアップテンポになるアレンジで、原曲の可愛らしい感じも残しつつ、ソウルな感じもあって。それで、松崎さんのアレンジで歌いました。いろいろミックスされた姿がこの曲で見せられたかなと思います。

ーーあさ陽さんは、堀江淳さんの「メモリーグラス」をカバーしました。

あさ陽:この曲には、私の好きな歌謡曲のポイントが詰まっています。哀愁のあるメロディと切ない歌詞にその場面が浮かびますよね。ドラマのように演じながら歌えそうだと思ったけれど、実際に歌うのはなかなか難しくて。私、水割り飲まないし(笑)。自分らしく表現できるように頑張って演じたところを楽しんで聴いていただけたら嬉しいです。

ーーカバーされたのは「昭和歌謡」といわれている曲たちです。NewJeansのハニさんがコンサートで松田聖子さんの「青い珊瑚礁」を歌ったり、韓国のZ世代の間で近藤真彦さんの「ギンギラギンにさりげなく」がヒットしたり、韓国では昭和歌謡がブームになっています。かのうさん、MAKOTO.さんがデビュー前に出演された、『トロット・ガールズ・ジャパン』選抜メンバーと韓国の人気トロットシンガーがトロットや昭和歌謡で対決する韓国の音楽番組『日韓歌王戦』は、最高視聴率が15%を記録。ブームを受けて、松崎しげるさん、近藤真彦さん、中島美嘉さんが韓国の音楽番組に出演して日韓でニュースにもなりました。

MAKOTO.:私は韓国で暮らしていたから、日本語の歌を韓国のテレビで歌うということが感慨深かったです。なんだか歴史的な場面に立ち会えた気がしました。

ーー韓国では1948年以降、日本のテレビドラマ・日本映画、日本語の歌曲の放映が法律で規制され、緩和されてきた現在も、地上波テレビ局では日本語楽曲や日本ドラマが放送されていません。一方ケーブル(有料)局では、YOASOBIが音楽番組に出演したり、『日韓歌王戦』で昭和歌謡が放送されたりして、ブームを作り上げていますよね。昭和歌謡とトロットで歌の日韓戦をするときいたとき、どう思われましたか。

MAKOTO.:最初は不安でした。サッカーや野球の日韓戦の韓国での熱狂ぶりを見ていたので。でも始まってみたら自分たちが思ってた以上に、韓国の方たちに温かく受け入れられて驚きました。自分たちが思ってる以上に、昭和歌謡はトロットと同等に韓国ですごく浸透してることを実感しました。

ーーその肌感は、韓国に行かないとわからないかもしれないですね。

MAKOTO.:そうですね。私も「昭和歌謡が流行っている」とは聞いていたけれど、どれくらいかは知りませんでした。行ってみたら『日韓歌王戦』はテレビ局のプッシュもすごかったし、視聴者の反応も大きくて驚きました。

sis

ーーかのうさんの感触はいかがでしょう?

かのう:私は実際に韓国に行ってみて、「トロットってこんなに流行ってるんだ!」と驚きました。海外で歌うことに関しては、不安はなかったですね。それよりも、初めて海外に行く不安の方が大きかった(笑)。実際に韓国で歌ったら、リアクションが本当にすごくて。温かいというよりも激しいというか。めちゃくちゃ盛り上がってくれるんですよ。だからこちらもテンションが上がっちゃう。海外で歌うなんて夢にも思っていなかったし、韓国の人に「ファンです」と言われるなんて考えたこともなかったから、急に人生が変わった感じがしました。『日韓歌王戦』をきっかけに、海外進出という新しい夢ができました。

ーー素敵な夢ができましたね。せっかくなので、皆さんの今後の夢をうかがわせてください。まずは、sisとしての夢は?

MAKOTO. :せっかくトロットという文化を背負うグループなので、日本におけるトロットのパイオニアになりたいですね。これからはsisという名前を多くの方に知っていただき、オリジナル楽曲を増やして4人で歌っていきたいです。

ーー個人の夢も各人にきいていきましょう。

MAKOTO.:これまではミュージカルのオーディションをたくさん受けても、いいところまで行って落ちてしまっていました。今年はもぎ取りたいという思いが強いです。やりたかったことを存分にやりたいですね。

太良:最近はラジオに出演させていただくことも増えたのですが、改めて私は話すのが好きで、人とコミュニケーションを取るのがすごく好きなんだと感じました。だから歌を軸としつつ、しゃべることなど、自分のできることをやっていきたいと思っています。

かのう:SNSが好きで、TikTokも大好き。表現するのが好きで、歌詞を書くのも好きで、ギターの弾き語りもして、歌って踊るのが大好き。だからソロとしては、どんどん人前に出ていこうと思っています。場所の大小に関わらず、いろいろなところで歌いたいですね。

あさ陽:私もジャンル問わず、ミュージカル、ピアノの弾き語り、曲作りなど、いろいろなことに挑戦したいです。それと、歌謡曲・演歌が好きなので、「演歌の花道」で歌うのが、ソロとしての夢です。

■リリース情報
sis『愛のバッテリー』
2025年2月5日(水)CDリリース
produced by ヒャダイン
配信リンク:https://sistgj.lnk.to/LovesBattery

<収録曲>
1 愛のバッテリー(Japanese ver.)
2 Angel Night ~天使のいる場所~ / かのうみゆ
3 君たちキウイ・パパイヤ・マンゴーだね / MAKOTO.
4 グッド・バイ・マイ・ラブ / 太良理穂子
5 メモリーグラス / あさ陽あい
6 愛のバッテリー(Korean ver.)
7 愛のバッテリー(Instrumental)

sis 公式サイト

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