sisが目指す、日本と韓国の音楽文化を発信する“トロット”のパイオニア 「日本語の歌を韓国で歌うことが感慨深かった」

sisが目指すトロットのパイオニア

ヒャダインのプロデュースに「ちょっと笑っちゃいました(笑)」

あさ陽あい
あさ陽あい

あさ陽あい

ーーそんなあさ陽さんは、音大卒のミュージカル経験者。そしてアイドル出身という経歴があります。

あさ陽:私は小さいころから歌とダンス、人に見られることが好きだったので、母がバレエ、ダンス、ピアノなどを習わせてくれました。父は自分が好きなTHE JAYWALKのライブに家族を連れて行ってくれたり、ギターを習わせてくれたり、音楽に囲まれて育ったんです。子役事務所に入ってミュージカルをやるようになって、舞台にのめり込んだときに出会ったのが、宝塚でした。中高は宝塚受験のために声楽、ジャズダンス、バレエを毎週三重から東京に習いに行く生活でしたが、宝塚には入れなくて。それで音大でミュージカルをやったけれど、宝塚への未練は消えず……。

 そんなころに、たまたま歌っているアイドルと応援しているファンを見て、衝撃を受けました。ファンが参加しているのが、すごく楽しそうで。それで在学中にオーディション受けてアイドル活動を始めましたが、コロナがあって……。長い期間活動をするにはどうしたらいいかと考えたときに、歌謡曲・演歌を思い出したんです。子ども時代に習い事の送迎の車中で祖父が歌謡曲や演歌を流していたのですが、大人になってそれらの曲を聴いてみたら、すごくよくて。その時期に『トロット・ガールズ・ジャパン』オーディションを知ったんです。

ーーではメンバーから見て、あさ陽さんはどんなシンガーでしょう。

太良:あさ陽ちゃんが私に言ってくれたように、歌い方が私と真逆な人。コーラスワークを作ってくれたり、音楽面で支えてくれることも多くて。優しい人間性が、歌にも普段にも出ています。

MAKOTO.:最初に歌声を聴いたときに、クラシック出身だと思った(笑)。歌詞を大事にして歌ってるイメージがあります。性格がほんわかして優しくて、歌詞を大事に歌うから、包容力がある歌が歌えるんじゃないかな?

かのう:うん。まこちゃんが言ったように、歌詞の一言一言を心から演じているから、歌っている姿に「表現するのが好き!」というのが表れていますよね。

太良:表情管理も上手だよね。アイドルの経験があるからなのかな?

ーー4人それぞれ異なるジャンルのプロフェッショナルが集まったんですね。そんなsisの魅力を自分たちはどう思っていますか。

MAKOTO.:いい意味で4人がバラバラなので、いろいろな魅力を見せれるグループです。トロットのオーディションから誕生したというのも強みだけれど、トロットも歌いつつ、歌謡曲やポップス、アップテンポの曲からしっとりとしたバラードまで、さまざまなジャンルを網羅できるグループだと思います。

ーーデビュー曲「愛のバッテリー」は、韓国人なら知らない人はいないくらいのトロットの名曲中の名曲です。よく「トロットって何?」ときかれると思うのですが。

MAKOTO.:そうですね。韓国の音楽ジャンルなのですが、演歌を発祥に、今ではダンストロット、バラードトロット、テクノトロットなど多くの派生ジャンルが生まれています。日本でいうと歌謡曲や演歌、最近だとシティポップも当てはまるので、親しみやすいジャンルだと思います。

ーーMAKOTO.さんは韓国に住んでいたから、「愛のバッテリー」は知っていましたよね?

MAKOTO.:はい。私が韓国にいた2010年ごろにすごく流行っていて、老若男女がみんな歌っていました。日本でいうと、氷川きよしさんの「きよしのズンドコ節」のような感じかな。今でもよくカバーされている曲だから、「『愛のバッテリー』がデビュー曲だよ」と言われて、びっくりしました。

ーーそんな名曲「愛のバッテリー」が、ヒャダインさんのプロデュースで日本語になりました。

MAKOTO.:ヒャダインさんがプロデュースをしてくださると聞いたときは意外すぎて「どういう組み合わせ?」と思ったし、いただいた日本語の歌詞にびっくりしたよね?

太良:うん、わかる!

MAKOTO.:引っかかる日本語歌詞ですよね。「なにこれ?」「トロットって?」と思ってもらえる曲。メロディも中毒性があるし、気になるんじゃないかな?

太良:ディレクションもヒャダインさんがしてくださって。それぞれのパートにキャラ設定があるんです。私は異国情緒のある妖艶で強い女。私のパートに「恋のUSB-C」という歌詞があるのですが、「USB-CのCは“シー”じゃなくて、日本語英語っぽく“スィー”と歌って」とディレクションされて、ちょっと笑っちゃいました(笑)。

ーーほかの皆さんは、どんなキャラ設定だったのでしょう。

MAKOTO.:私は、愛が重い強い女性です。「心の底から恨みの情念を込めて。歌うときは息多めで。“愛”は息を吐きながら“はい”といえば、“あい”に聞こえるから」って。ずっと「息吐いて」と言われていました(笑)。

かのう:でも不思議と愛にきこえるんですよ。そういうところも中毒になっちゃう要因なのかな(笑)。私は元々ロックが好きで、高音がスパンと出る声。「ロックでいいから、もっと強く! 強い女でいってください」と言われたので、サビはぶっ放した感じで行きました。

あさ陽:私は「雨の中、ずぶ濡れで待っている重い女」って(笑)。でもそう言ってもらえるとすごくイメージしやすくて、ミュージカルの主人公になりきって歌えました。

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