連載「lit!」第135回:Ganbare Masashige、DÉ DÉ MOUSE、r-906……2025年のシーン興隆を予感させる最新作
40mP × sasakure.UK「はじまりの未来」
1月17日に全国上映となった『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』のオープニング主題歌として作られた本作。映画公開に際してDECO*27が手掛けた楽曲をGiga、kemu(堀江晶太)、すりぃといった豪華ボカロPが編曲する形でタッグを組んだ数々のオリジナル曲が制作されているが、物語の幕開けを彩る本曲でも40mP × sasakure.UKという長年シーン人気を支える歴戦の豪華タッグが実現した。
玄人感ある複雑な展開とキャッチーなメロディの両立を大きな強みとするsasakure.UKと、明るくストレートなポップ性の際立つサウンドメイクに長けた40mP。音楽性においては一見相反する部分もあるように思われるが、今作にはそんな両者の魅力が絶妙なバランスで取り入れられている。映画は公開3日間で興行収入3億円を突破。まだまだこれから物語とともに、本楽曲も多くの人の元へ届いていくに違いない。
SAWTOWNE「Confessions of a Rotten Girl」
昨年『HATSUNE MIKU EXPO 10th Anniversary』楽曲コンテンストにて「M@GICAL☆CURE! LOVE ♥ SHOT!」でグランプリを獲得した、新進気鋭の海外ボカロP・SAWTOWNE。年始早々に投稿された最新作も、なんと公開からわずか約1週間で300万回再生を突破。驚異的な勢いでワールドワイドにその知名度と人気が拡散しつつあるようだ。
VOCALOIDという文化に留まらず、従来から日本的なサブカルチャー要素を多彩にサウンドや動画へ落とし込んでいる点もSAWTOWNE楽曲の大きな特徴であり、世界的に注目を集める理由の1つでもあるのだろう。今作の主題は、日本の“腐女子カルチャー”。歌詞やMVの随所には極めて解像度の高い小ネタも満載で、“ソトの人々から見たジャパンカルチャー像”が垣間見える点でも、今作はある種非常に興味深い楽曲であると言える。