yama、渾身の歌声で魅せたこれまでの“歩み” 三部構成で紡がれたコンセプトライブ『Life is Beautiful』

 そして、第三部の幕開けを告げる映像へ。空の"青"を目指して、知らない世界を彷徨う主人公。闇雲に出口を探し、光を求める。そして、灰色の世界へと打ち上げられ、そこで見たことのない生き物たちと出会う。青い馬、赤い鳥、黄色いウサギーー彼らはみんな自分の色を持っていて、生き生きとしている。主人公に向けて「君にも色があるじゃないか」という言葉が送られ、スクリーンが鮮やかな暖色によって染め上げられていく。そして、バンドメンバー&バイオリンの編成で「色彩」へ。yamaの衣装は、先ほどの黒から白へと戻っている。yamaは、中央の台の上に立って観客と親密なコミュニケーションを重ねていき、「こだま」では自ら頭の上で両手をクラップしながら客席から熱い手拍子を求めていく。「あるいは映画のような」「憧れのままに」でも、熱く、温かなライブコミュニケーションが次々と繰り広げられていき、「麻痺」ではyamaの懸命な想いに呼応するように、客席から熱烈なコールが轟く。

 ここで、この日最初で最後のMCパートへ。このパートで、今回のコンセプトライブを通して紡がれてきた物語は“yama自身の歩み”を描いたものであることが明かされた。初めてライブのステージに立った時は、自分の弱さやダメなところを本能的に隠すかのように、一言も喋らず、スタンドマイクの前で微動だにせず歌っていた。ただ、次第に弱い自分やかっこ悪い自分を許せるようになり、近年になってやっと自分らしくライブができるようになってきた。歌い始めてから今に至るまでの間(その多くは、配信ライブを余儀なくされたコロナ禍と重なっている)には、幸せや喜びだけではなく、たくさんの苦しみもあった。でも、それらすべては自分にとって必要なもので、これまでの歩みがあるからこそ、今の自分がある。

 yamaは「そんな自分に彩りをくださって、皆さん、本当にありがとうございます」と感謝を告げ、自作曲「ストロボ」「それでも僕は」を2曲続けて披露。yamaのシンガーとしての物語に、ソングライターとしての物語も重なっていくかのような感動的な展開を経て、スクリーンに鮮やかな虹が架かり、この日のラストナンバー「世界は美しいはずなんだ」へ。スクリーンに大きく映し出される公演タイトル『Life is Beautiful』を背に、この世界を生きる意義を、深い確信が滲む渾身の歌声を通して伝えていく。そして観客は、大きく上げた手を左右にウェーブしながら、yamaのライブパフォーマンスを美しく彩っていく。歌い終えたyamaは「ありがとうございました」と深くお辞儀をして、その後も涙ぐんだような声で何度も「ありがとう」と伝え続け、最後に「また必ずお会いしましょう」と約束を結び、ステージを去っていった。総じて、yamaのこれから先の物語への期待がさらに高まるような、とても素晴らしいライブだった。

■yama『Life is Beautiful 2024』
2024年12月24日(火)東京・昭和女子大学 人見記念講堂

<セットリスト>
■第一部
M1.ブルーマンデー
M2.桃源郷
M3.Downtown
M4.偽顔
M5.Oz.
M6.ないの。
M7.愛を解く
M8.a.m.3:21
M9.春を告げる

■第二部
M10.真っ白
M11.Lost.
M12.新星
M13.光の夜
M14.天色

■第三部
M15.色彩
M16.こだま
M17.あるいは映画のような
M18.憧れのままに
M19.麻痺
M20.ストロボ
M21.それでも僕は
M22.世界は美しいはずなんだ

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