H△G、メンバーも知らなかった中国での大ヒット 7年前のボカロカバーアルバムが国境を越えた理由
ライブでも気付いたら日本語で大合唱してくれる(Chiho)
ーーリリースから7年が経ったわけですが、自分たちにとってどんな作品になっていますか?
Chiho:人間が歌うことを想定して作られていないボカロ曲のカバーという意味では、自分が初めてトライした部分も多かったので、本当に忘れられない一枚ですし、自分でもふと聴き返したくなるようなアルバムです。正直、長年活動していると、歌も昔よりは上手くなったと思うので、いま聴き返すと未熟さも感じるのですが、でもその未熟さを含めて残っているのが良かったなと思って聴くことが多いです。
Yuta:僕はすごく不思議な作品だと思いますね。いまこうやって7年越しでインタビューを受けているのも「なぜ?」と思いますし(笑)。中国でのライブで、このアルバムの収録曲を何曲かやったので、リリース直後に行ったライブ以来、久々にメンバーと演奏したのも不思議な感覚だったし、昔よりも客観的に楽曲を聴けるようになった結果、シンプルにいいなと思えたので、それが国境を越えて愛されている要因なのかなと思いました。
ーー実際、なぜ中国で急激に人気を集めるようになったんでしょうね。ライブを行ったのも今年8月の上海が初めてなんですよね?
Yuta:H△Gとしてはそうですけど、Chihoがひとりでイベントにゲスト出演したことがあって。
Chiho:親交がある足太ぺんたちゃんから「中国のイベントに出るからよかったら一緒に来ない?」と声をかけてもらって、一緒にステージに出てコラボをしたことがあるんです(2017年10月に中国・武漢で開催された『CPTako動漫遊戯展』)。そのときに「星見る頃を過ぎても」というH△Gの初期曲を歌ったのですが、ぺんたちゃんがH△Gの楽曲を好きで、よく踊ってくれていた経緯があったので、ぺんたちゃんのファンの方も私たちの楽曲を知ってくれていたのか、すごく楽しんでくれて。しかも会場に行くとバンドの方が演奏できるように準備してくださっていたんですよ。でも私、4小節くらい早く入ってしまって(苦笑)。きっとバンドの方たちはすごく困ったと思うんですけど、なんとか一緒にやりきりました。申し訳なかったけど、すごく楽しかったです。
Yuta:ぺんたちゃんは中国でも人気なので、きっと彼女がH△Gの曲をたくさん踊ってくれていたことも、中国の人たちがH△Gのことを知ってくれるきっかけになっていたんだと思います。
ーーそれは大きいかもしれませんね。実際にH△Gとして中国でライブをやってみて、人気を肌で感じることはできましたか?
Chiho:はい。お手紙やメッセージをいただいたりもしたのですが、そのなかに「学生時代から聴いていました」という言葉も結構あって。そこは日本でH△Gを応援してくれているファンと変わりないというか、国は違えどそれぞれの学生時代や青春期みたいなところに刺さるのかなと思いました。
Yuta:現地でライブをやって感じたのは、Chihoの声への反響がものすごいんですよ。今回の中国ツアーでは「地球最後の告白を」(KEMU VOXX)の最初はアカペラで歌うアレンジだったのですが、Chihoが歌い始めた瞬間、客席から「ウォーッ!」ってすごい歓声が上がって、ヤバい! と思いました(笑)。
Chiho:すごく嬉しかったよね。感情表現が豊かで、リアクションも声もすごく大きいんですよ。みんな腹式呼吸で発声しているのかと思うくらいで(笑)。MCでは、拙いながらも中国語を頑張ったりもしたのですが、日本語で話しても理解してくれる人が多くて、なかには日本語で言葉を返してくれる人も結構いたので、そもそも日本の文化に強く興味を持っている方が多いように感じました。向こうでは日本のニコニコ動画に近いbilibili動画が盛んなので、そこに集まっている人が多いのかなと思って。ライブでも気付いたら日本語で大合唱してくれるんですよね。
Yuta:「インタビュア」(クワガタP)はサビが歌いやすい楽曲ということもあって日本語で大合唱してくれて。そんなことは日本でもあまりないので、めっちゃ感動しました。
Chiho:パッと歌い出してしまう感じを含めて、来てくれているお客さんのピュアさを感じました。