XY「音楽シーンの歴史を変えられるって本気で思った」 YOSHIが遺した意志と楽曲、そして未来を語る

 YOSHIKIがプロデュースするXYは、オーディション番組『YOSHIKI SUPERSTAR PROJECT X』から誕生した、ロックバンドとダンス&ボーカルグループが融合した新たなボーイズグループだ。そのXYが、来年1月より初めての東名阪ツアーをまわる。

 それに際して、今回リアルサウンドではバンドメンバーであるKARMA(Vo)、GAI(Vo)、FURUTATSU(Ba/Violin)、KAIRI(Gt)、KYOHEY(Dr)にインタビュー。オーディション中に急逝したもうひとりのボーカル・YOSHIとの歩み、YOSHIとともに制作した初めての楽曲「YG」へ込めた思い、そして今のグループ、バンドへの心境などを、赤裸々に語ってもらった。(南明歩)

YOSHIのことを背負っていけるのは僕らしかいない(KYOHEY)

KARMA(Vo)

――10月に手越祐也さんが新メンバーとして加入されることが発表されて、かなり話題を呼びましたね。

KYOHEY:波乱万丈ですよね(笑)。考えることはいろいろあるけれど、全部僕の人生に対しての運命だととらえて楽しむしかないかなと思ってます。手越くんと一緒にグループやるなんて思ってもみなかった。だから面白い。そうやって全部前向きにとらえて、楽しんでいきたいな、って。

KARMA:XYは、YOSHIも含めていろんな人の思いが詰まったプロジェクトだから、新メンバーが加入するというのは、正直不安でした。得られるものは大きいけど、今までのXYではなくなる。それって、今まで一緒にやってきた人や応援してくれてた人たちに対しては、ある意味失礼になってしまうんじゃないかと思ったりもしましたし。どうすれば正解なのかもいっぱい考えました。でも、今はもうやるしかないかな、と。いろいろな声やメンバー自身の意思もあるけど、なせばなると思っています。

GAI(Vo)

――もともとXYは、今お話にも出たYOSHIさんをボーカルに、楽器隊の3人を含めた4人組バンドとしてオーディション中に結成されたんですよね。

KYOHEY:そうです。2022年3月にオーディションが始まった時は、どういうグループになっていくのか明言されてなかったんですが、審査が進んでいくなかで、僕、KAIRI、FURUTATSU、YOSHIの4人でバンドを組むことになりました。アメリカのロサンゼルスで合宿をしたりして、やっとメンバー全員の気持ちがひとつになった、「これでスタートラインに立てるぞ!」というタイミングの2022年の11月にYOSHIが事故で亡くなりました。

――まさにこれから、というタイミングでの訃報でしたね。

KYOHEY:つい昨日まで一緒に夢を語ってた人が、いきなり目の前からいなくなったんですよ。彼はこのバンドのキーパーソンでもあったから、正直頭が真っ白になりましたね。

――でも、活動を止めようとは思わなかったわけですよね。

KYOHEY:言い方は難しいけど、YOSHIのことを背負っていけるのは僕らしかいないから、この活動を止めるわけにはいかないと思いました。YOSHIKIさんが「一緒に頑張ろうね」と声をかけてくれたり、スタッフの皆さんも「絶対に諦めないで前に進もう」と励ましてくれたりして、そういう支えがあったから続けてこれたんだと思います。

【YSPX2】#3 「XY永遠のメンバーYOSHIとの絆」 ダイジェスト / #3 Digest Movie

YOSHIは「音楽で人を救いたい」という言葉の意味をわかっていた

――ドキュメンタリーであったり、今のお話も含めて「バンドのキーパーソンだった」という言葉も出ましたが、皆さんから見たYOSHIさんはどんな人でしたか?

KAIRI:僕から見たYOSHIは、“自分にないものを全部持っているヤツ”ですね。物事に対する考え方が素晴らしい人だったから、中途半端な自分が申し訳なくて。なんというか、ずっと本気でぶつかれていない感じがしていたんです。でも、「活動するうちにもっと深いことも話せる関係になるだろう」って思ってた。だから、後悔が大きいです。YOSHIって、突拍子もないことを言ってるように見えて、実は彼のなかではちゃんとした根拠があるんですよ。それを理解する力がきっと僕にはあったと思うから、本当はもっと面白いことがいっぱいできたのかな、って。

FURUTATSU(Ba/Violin)

FURUTATSU:僕もYOSHIのことを考えると後悔が大きいですね。僕とYOSHIって、価値観とか考え方、ノリも含めて、生きる世界線が違うというか。根本から僕とは真反対な人間だったから、あの短い期間のなかでは本心で打ち解けられなかったんです。亡くなってからしか、わからないことが多すぎた。だから、YOSHIのお母さんと話すたびに罪悪感のようなものを覚えていて。「YOSHIの意思を継ぐ」なんて僕が言っていいのか、ずっと悩んでいました。でも、その気持ちをKYOHEYさんに話したら「YOSHIのことを残せるのは、XYしかないんだよ」と言ってくれて。「ああ、たしかにそうだな」って思えて、ようやく納得できました。

KYOHEY:なんか恥ずかしい(笑)。でも、たしかにYOSHIはオーディションの最中からめちゃくちゃ目立っていましたね。そうやってすごくお調子者で破天荒に見えるけど、実は繊細なところがあって。まわりのことをすごく見ている人なんだなというのがわかったから、彼とならバンドもうまくやっていけそうだと思ってました。

――バンドのボーカルとして、YOSHIさんにはどんな魅力があったと思いますか?

KYOHEY:ボーカルとしての完成度で言うと、きっとまだまだだったと思うんですよ。このあいだ、ロサンゼルスでやった路上ライブの映像を久しぶりに観たら結構粗削りで、「これじゃあロックの本場にいる耳の肥えた人たちの足を止めるのは難しかっただろうな」と痛感しました(笑)。でも、アイツといると根拠のない自信がすごく湧いてきた。何も確証はなかったけど、「コイツと一緒ならマジで世界に行ける」「音楽シーンの歴史を変えられる」って本気で思っていました。無敵状態というか、アイツとなら勝てる気がしていたんですよね。

KAIRI(Gt)

――メンバーにも夢を見せてくれる存在だったんですね。

KAIRI:ボーカルって、ちょっと頭がおかしいくらいのほうがいいと思うんですよ。普通の人が普通に考えたことを普通にやれるより、「この人なら自分のことわかってくれる」って思えるような人が書く歌詞のほうが響く気がする。YOSHIもそういう考えだったと思うし、本当に伝えたい気持ちも持ってたと思う。「音楽で人を救いたい」ってよく聞く言葉だけど、アイツはそのほんまの意味をわかってるボーカルだった。いや、ボーカルというか、すでにひとりのアーティストだったんですよね。

KYOHEY:だって、YOSHIは「最終目標は世界平和」って言ってたんですよ。普通、19歳でそんなこと言えないじゃないですか。

FURUTATSU:YOSHIのまわりって、いつも人がすごく集まっているんです。しかも、めちゃめちゃイケてる人ばかりが集まって、みんな愛情深い。たぶん、YOSHIが人を惹きつける力を持っていたんだと思いますし、そういう環境にいるからこそ、メンバーやスタッフはもちろん、YOSHIKIさんやファンの人たちのことも、全部を考えて行動できたんだと思います。

KYOHEY(Dr)

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