悠木 碧×竹達彩奈、petit miladyで過ごした青春の日々 5年ぶりの再始動で帰ってきた“本気の悪ふざけ”

 悠木 碧と竹達彩奈によるユニットpetit miladyが、2024年に約5年ぶりに再始動。petit milady 10+1周年記念企画として、7月31日に届けたミニアルバム『Merci mille fois』に続き、11月27日に第二弾ミニアルバム 『petit milady ANNIVERSARY MINI ALBUM ~Bonsoir~』をリリースした。

 第二弾ミニアルバムには、新たなアレンジを施した歴代の人気曲セルフカバーに加えて、新曲も収録。キャリアを重ね、発売当時からグッと大人に成長した二人の歌声や表現を楽しめる一枚に仕上がっている。

 10周年を超え、満を持して再始動したpetit milady。時間が経っても変わらない関係性、ユニットとして駆け抜けた“青春”の日々を振り返ってもらった。(編集部)

(活動休止は)「虚無感というか、失恋したみたいな気持ち」(竹達)

petit milady 「ANNIVERSARY MINI ALBUM ~Bonsoir~」 全曲試聴動画

ーーpetit miladyとしての活動は約5年ぶりになりますが、久々にお二人で現場でご一緒したときはどんな気持ちになりましたか?

悠木 碧(以下、悠木):本当に何も変わらないまま、petit miladyになれたことにびっくりしました。お互い生活環境も変わったはずなのに、彩奈と一緒だとちゃんとプチミレになる。呼吸の合う感じがあったよね。

竹達彩奈(以下、竹達):うん。本当に5年間も空いていたのかな? と思うくらい。現場で「おはようございます」と挨拶した瞬間、一気にpetit miladyの空気感に戻るのが私たちも不思議でした。

ーーこの5年の間にお互い会うことはあったのですか?

竹達:ときどき現場で一緒になることもありましたし、それこそ碧がやっているプロジェクト(「YUKI×AOI キメラプロジェクト」)でICHIGO役をやらせてもらっているので、その収録も含めてちょこちょこ会っていましたね。

悠木:ご飯も行ったしね。

ーーpetit milady以外の現場でご一緒したときは、また違った空気感になるのでしょうか。

悠木:強いて言うなら「働いている姿を家族に見られる恥ずかしさ」みたいな感じはちょっとあります(笑)。petit miladyの自分は特別はっちゃけているので、逆に「はっちゃけていないとき」を見られるのが恥ずかしいんですよ。「現場ではこんな静かにアフレコするんだ」みたいな(笑)。当たり前のことなんですけどね。

竹達:私は碧がいると安心感がすごくあります。初めての現場でも碧の名前があると嬉しくて、「じゃあ大丈夫だ」と思える心強さがありますね。

悠木:ボケとツッコミのコンビじゃないですけど、2人でいるときの波長は特別だと思いますし、それがpetit miladyとなるとより遊んでいい感じになるんです。「このサークルの中で自由に絵を描いてみよう」みたいな感じで、より楽しくいられます。

ーー竹達さんも安心感があるという意味で、悠木さんといるときはより解放的になれる?

竹達:そうですね。私は現場では静かで、借りてきた猫みたいにスンとしていることが多いんですけど、碧がいるとすごくしゃべります(笑)。私は現場によって周りの方の印象が違うと思うんですけど、多分、碧がいる現場では「竹達さん、すごくおしゃべりだな」と思われているし、碧といるときが一番パワフルな気がします。

悠木:居合わせた同業者の方たちには大体「本当に仲がいいんだね」と言われます(笑)。

ーーその仲の良さは、petit miladyでの活動の賜物だと思いますが、改めて2013年のユニット結成から2019年までの活動期間は、ご自身にとってどんな時間でしたか?

悠木:本当に青春だったなと思います。

竹達:それ!

悠木:別に学生時代に友達と遊んでなかったわけではないのですが、とはいえそんなに羽目を外したことのなかった私が、彩奈という最強の一緒にふざけられる友人を得たことで、ずっと楽しい思い出を刻み続けていた時間でした。ムッチュ☆(petit miladyのファンネーム)のみんなも乗ってくれるので、みんなで悪だくみして、おもしろいいたずらをした記憶しか残っていないです。「大人になってからもこんなに楽しく生きられるんだ!」というのが詰まった時間でした。

竹達:petit miladyは毎回お祭り騒ぎみたいな感じで、いろんなおもしろおかしいことにたくさん取り組ませていただいたので、すっごい疲れるんですよ(笑)。夜の21時から23時までラジオの収録をした翌日の朝10時からアフレコがあるような生活を5年くらいやっていて、もちろん他のお仕事もあったので、自分のプライベートな時間がほぼなかったんです。でも、それが苦にならないというか“プライベート+仕事”みたいな感覚でした。碧と一緒にいてずっと楽しい、みたいな。多い時は週3~4回、碧と会っていたよね?

悠木:そうだね。私たちのレギュラーのラジオ番組だけでなく、タイアップ作品のアフレコやそのラジオ番組の収録、リリースやライブのリハもあったので、本当に週4くらいで会ってました。

竹達:ジャケ写やMVの撮影も重なって、1週間ほぼずっと碧と一緒にいることもあって。だから私の生活の一部、かけがえのない存在として、petit miladyがあって、碧がいて、スタッフの皆さんがいて。全力で取り組んでいたし、全力で生きていた感じがします。

ーーその中でも特に思い出に残っていることも聞いてみたいです。

悠木:私は4thライブ(2017年12月10日に東京・豊洲PITで行われた『petit milady 4th LIVE ラ ・プチミレッタ~小さな淑女の童話歌劇』)が印象に残っています。“ふざけ”と“お洒落かわいさ”と楽曲に丁寧に向き合ってきたものがバランス良く入っていたライブだったと我ながら思っていて。そのライブに合わせて制作した4thアルバム『petit miretta』も大好きなんです。童話がテーマになっている作品で。

竹達:私も好き。

悠木:そのアルバムのリリースイベントで、H.P.ウェルズさんが書き下ろしてくれた朗読劇をやったのですが、それがすごくおもしろい内容だったのでまたやりたいんですよ。「ヘンゼルとグレーテル」をベースにしたお話で、“童話取り締まり委員会”みたいな人が出てくるんです。

竹達:あった! ヘンゼルとグレーテルが好き勝手やってると、取り締まり委員会の人が「その展開だと童話にならないので、ちゃんとパンくずを落としてください!」みたいな感じでツッコミを入れていくお話。リリースイベントでしかやらなかったのがもったいないくらいだったよね。

悠木:しかもたくさん登場するキャラクターをすべて2人だけで割り振って演じていたんですよ。そういう遊びの部分をひっくるめてpetit miladyらしさが感じられて好きでしたね。

竹達:私はpetit miladyで函館に行ったときのことが思い出深いです(5thアルバム『Howling』初回限定盤A収録の特典映像「モシモトラベル ~ふたりで函館慰安旅行に行ってみた~」)。もちろん仕事でもあったのですが、半分修学旅行というか、スタイリストさんとメイクさん2人、ZERO-A(アニメ音楽・声優に特化した音楽レーベル)の方たちと遠足するような気持ちで行かせていただいて。みんなで函館の坂を全力で走ったり、お買い物をしたり。夜景も観に行ったよね? 山に登って「寒い!」とか言いながら(笑)。

悠木:すごく寒かった。それこそみんなpetit miladyジャージを上下お揃いで着ていたので、本当に修学旅行の学生みたいな感じでした(笑)。夜食のラーメンを食べに行ったりもして。

竹達:そうだ! 「やっぱり函館に来たらラーメンを食べなくちゃ!」という話になって、深夜にホテルの近くのお店までラーメンを食べに行ったんですよね。あの旅行は全部が楽しかったなあ。

ーーまさに「青春は食べ物です」ね(笑)。そんなpetit miladyとしての時間が、2019年に所属レーベルのZERO-Aが活動休止したことに伴い途切れることになったわけですが、その空白期間に寂しさを感じたりしたのでは?

竹達:めっちゃ寂しかったです。私、虚無感というか、失恋したみたいな気持ちになってしまって(笑)。それまでずっと一緒にいたのに、やっぱり会うタイミングがすごく減るわけじゃないですか。絶対にいてくれた存在が急にいなくなってしまったので、孤独感じゃないですけど、恋人に振られたような感覚になったんですよね。「あれ? 私、昔はどうやって過ごしていたんだっけ?」みたいな(笑)。

悠木:私も寂しかったし、大人なので「こういうこともあるか」と納得してはいたものの、生活の端々で「これ、petit miladyでやったらおもしろいだろうな」とか「彩奈に話したら絶対に笑ってくれるだろうな」みたいなことがいっぱい浮かんできて……うん、なかなか依存しているな、と思いました(笑)。

竹達:でも、恥ずかしくて、連絡もできなくて。

悠木:わかる! 自分が依存していることを知られたくなかった(笑)。

竹達:そう! 父親に連絡する気恥ずかしさに近い感じがあって。会いたいし、話したら絶対に楽しいのはわかってるんだけど、気軽に連絡できない謎の気恥ずかしさがありました(笑)。

悠木:何かあったら絶対に相談してくれるだろうという信頼感もあったので、「便りがないのは元気な証拠かな」みたいな気持ちもあって。でも、何かおもしろいことがあると毎回、彩奈の顔がふわっと浮かんでくるんですよね。iPhoneが伝えてくる「〇〇年前の今日」みたいな写真でも、petit miladyの写真がよく上がってくるので、そういうのを観ると「楽しかったなあ」という気持ちになって。あれはズルいです(笑)。

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