米津玄師、Mrs. GREEN APPLE、藤井 風、あいみょん……J-POPに“花”がモチーフの楽曲はなぜ多い?
花の名をタイトルにした今年のヒット曲といえば、思い浮かぶのがMrs. GREEN APPLEの「ライラック」だ。ライラックにはピンクや白の花もあるが、なかでも紫色がよく知られている。曲中では〈青に似た/すっぱい春とライラック〉〈あの頃の青を/覚えていようぜ〉と歌っているように、青よりも渋みが加わった色であることから、年齢を重ねても残っている“青春”の要素を表しているという(※2)。
また、「花が咲く」という言葉が“成功”や“繁栄”などを意味するように、花は何かが実ることの比喩としても用いられる。「ライラック」も、過去の痛みも受け止めて今を生きていくというメッセージ性が、花のポジティブなイメージと重なるように思う。苦しみに負けずに“たくましく咲く”という意味では、彼らの「WaLL FloWeR」や「ノニサクウタ」などの楽曲にも通じるものがあるだろう。
あいみょんの「愛の花」も、〈涙は明日の為/新しい花の種〉のフレーズからは未来への希望が感じ取れる。彼女も花をテーマにした楽曲がいくつかあり、1組のアーティストと1,000人の18歳世代が共演して1回限りのステージを創り上げる『18祭』(NHK総合)のテーマソングである「双葉」もそのひとつ。コロナ禍を耐えながら勇気を持って企画に応募した18歳世代を、土から這い上がって、いちばん最初に開いた芽(双葉)に喩え、元気付けている。
そして、花をタイトルにした彼女のヒット曲といえば、「マリーゴールド」だ。〈麦わらの帽子の君が〉〈あれは空がまだ青い夏のこと〉という歌詞もあるが、マリーゴールドが初夏から秋にかけて見頃を迎える花であることからも、この曲が夏の歌だと読み取れる。花は種類によって咲くタイミングが異なるからこそ、特定の季節を思い起こす役割も果たすのだ。
性質、花言葉など豊富な切り口があり、美しさ、たくましさ、儚さなど、イメージも多種多様な“花”。よって、さまざまなメッセージを乗せやすいからこそ、“花”をテーマにした楽曲は数多く生まれるのではないだろうか。今後もどんな名曲が世に咲き誇るのか楽しみにしたい。
※1:https://natalie.mu/music/pp/yonezukenshi29/page/3
※2:https://www.billboard-japan.com/special/detail/4296
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