乃木坂46・櫻坂46・日向坂46、『紅白歌合戦』での坂道3グループ集結は叶うか? 2024年の歩みと活況から占う
その年の世相を表すイベントでもあるだけに、毎年この時期になると『NHK紅白歌合戦』出演者の予想が繰り広げられる。
今年の注目のひとつには、坂道グループが揃い踏みなるかという点もあるだろう。昨年は残念ながら連続出場とはならなかった日向坂46、一昨年は落選となったが、昨年再び返り咲いた櫻坂46と、ここ2年は坂道グループが揃わない状態が続いている。
あらためて坂道グループの2024年を振り返り、それぞれの立ち位置を今一度明確にしておきたい。
乃木坂46、世代交代と同時に地盤作りに邁進して新たなフェーズへ
乃木坂46は、2023年に最後の一期生となる秋元真夏と二期生の鈴木絢音が卒業するなど、ここ数年は世代交代が声高に叫ばれていたが、2024年は世代交代とともに次なるフェーズに向けた地盤作りに邁進した一年だったと言えるだろう。
グループ初となる三期生、四期生、五期生のみでスタートした2024年。2月には『乃木坂46 6期生オーディション』が開催され、グループ史上初の試みとなる春、夏の2回開催が話題となった。新世代の加入が目前に迫る一方で、山下美月、阪口珠美、清宮レイ、掛橋沙耶香、向井葉月の5人がグループからの卒業を発表した。2023年は一期生、二期生からの世代交代が中心だったことを考えると、2024年はまたひとつフェーズが変わったことを示しているだろう。
楽曲を見ると、山下のラストシングルとなった35thシングル『チャンスは平等』、井上和が表題曲センターを務めた36thシングル『チートデイ』をリリースし、遠藤さくらが表題曲センターを務めた37thシングル『歩道橋』も12月11日に発売を控えている。『チートデイ』は初週売上が51万枚を記録し、『おいでシャンプー』から続く35作連続で「オリコン週間シングルランキング」1位を獲得した(※1)。今のトレンドとしてFRUITS ZIPPERやiLiFE!、きゅるりんってしてみてなど、新たなアイドル勢力が頭角を現しているなかでも、依然として乃木坂46はこれまでのスタンスを崩すことなく、トップグループであり続けている。
その背景にあるのは、五期生を中心に据えた組織作りにあることは間違いない。2022年の加入後、表題曲センターに抜擢された中西アルノや2年連続で表題曲センターを務めた井上など5期生を積極的に重要なポジションに起用し、『新・乃木坂スター誕生!』(現『超・乃木坂スター誕生!』/日本テレビ系)や『TOKYO IDOL FESTIVAL 2022』などグループ内外での経験を積んできた。最新シングル表題曲「歩道橋」の選抜メンバー19人中8人が5期生から選ばれていることからもわかるように、現在は5期生がグループの中心を担っていると言える側面もある。
さらに、今年6月にはHong Kong Convention and Exhibition Centreにて、初の香港単独ライブを開催。香港でライブを実施するのは2018年に開催された『C3AFA HONG KONG 2018 presents I LOVE ANISONG HONG KONG 2018』以来約6年ぶりとなったが、大勢のファンが駆けつけ大成功を収めた。『乃木坂46 真夏の全国ツアー2024』では5年ぶりとなるドームツアーが実現し、結成以来最小人数で挑んだライブとなったが、合計26万5000人を動員。2年連続で夏のツアーの座長として臨んだ井上の「みんなと一緒なら、どんなところにだって行けると思います」という力強い言葉は、グループの中心メンバーとしての覚悟を感じさせた。また、6月に有明アリーナにて開催された『35thSGアンダーライブ』は4期生と5期生のみで挑む初のアンダーライブとなったが、過去最大規模となる約3万6000人を動員するなど、乃木坂46の底力を示した。
12月14日、15日には幕張メッセ イベントホールにて10年ぶりに『乃木坂46 大感謝祭2024』を開催。ひとまずはこれがファン向けイベントの締めくくりとなるはずだ。
昨年の『紅白』返り咲きの櫻坂46、増していくパフォーマンスと人気の勢い
2023年末の『紅白歌合戦』では、同番組において一度選外となった女性グループが再度選ばれるのは珍しく、異例とも言える返り咲きを果たした櫻坂46。新たな前例を作り上げた櫻坂46にとって、2024年はその勢いそのままに駆け抜けた一年だった。
1月31日、2月1日に行われた『櫻坂46 小林由依 卒業コンサート』をもって、一期生の小林由依がグループを卒業。残された一期生は上村莉菜、小池美波、齋藤冬優花だけとなった。9月には上村と齋藤が10thシングル『I want tomorrow to come』の活動をもって卒業することを発表しており、12月3日から5日にかけて幕張メッセ イベントホールにて開催される『10th Single BACKS LIVE!!』で卒業セレモニーが行われることがアナウンスされている。
そうした状況のなかでありながら、今年を振り返ると6月には『櫻坂46 4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?- IN 東京ドーム』を開催。2年前の屈辱を晴らすかのように、東京ドーム全席ソールドアウトを記録し、2日間で11万人を動員した。さらには昨年10月より活動休止していた小池がステージ復帰を果たすという、Buddies(櫻坂46ファンの呼称)にとっても記念すべき2日間となった。また、『JAPAN JAM 2024』、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024』、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 in HITACHINAKA』といった野外フェスや、11月に韓国にて開催された『WONDERLIVET 2024』への出演など、対外/海外ライブを積極的に行い、Buddiesの輪を広げてきたことも大きい。
櫻坂46の勢いを示す指標として挙げられるのが、CD売上である。2024年は山﨑天が表題曲センターを務めた8thシングル『何歳の頃に戻りたいのか?』、山下瞳月が2作連続で表題曲センターを務めた9thシングル『自業自得』と10thシングル『I want tomorrow to come』の計3作をリリース。なかでも9thシングル『自業自得』はCD不況と言われる時代にもかかわらず、自身最高となる初週売上を記録(※2)し、櫻坂46の勢いを象徴する一幕となった。
乃木坂46と同様に世代交代が順調に行われていることに加えて、櫻坂46はここ数年かけてパフォーマンスが成熟した印象を受ける。当初は欅坂46のイメージとは切り離された、ある意味そこから脱却するための手法を模索していたように思えたが、2023年にリリースされた6thシングル表題曲「Start over!」を皮切りに、櫻坂46としての表現を確立したとも言えるだろう。「I want tomorrow to come」はまさに櫻坂46が模索し、積み上げてきたクリエイティビティの結晶と言える作品となった。
11月23日、24日にはZOZOマリンスタジアムにて『櫻坂46 4th YEAR ANNIVERSARY LIVE』が開催される。東京ドーム公演に続きソールドアウトが発表されており、櫻坂46の勢いはまだまだ止まりそうにない。今もなお最高を更新し続けるグループにとって、『紅白歌合戦』は通過点にしかすぎないのかもしれない。