TOMORROW X TOGETHER、最新ミニアルバムは洗練されたボーカルに注目 聴き込むほど味わい深くなる1作に
CD Chart Focus
参考:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2024-11-18/
2024年11月18日付(11月12日発表)のオリコン週間アルバムランキングで首位を獲得したのはTOMORROW X TOGETHERの『The Star Chapter: SANCTUARY』で、推定売上枚数は292,867枚。続く2位、3位も初登場作品で、それぞれMISAMO『HAUTE COUTURE』(108,864枚)、XG『AWE』(60,137枚)だった。ほか、トップ10圏内の初登場作品として、5位 東方神起『ZONE』(43,095枚)、7位 結束バンド『We will』(25,291枚)、8位 ReGLOSS『ReGLOSS』(15,959枚)、9位 悠馬『トライ&エラー』(14,394枚)、10位 -真天地開闢集団-ジグザグ「Gran ∞ Grace」(7,481枚)があった(すべて推定売上枚数)。
さて、今回取り上げるのは首位のTOMORROW X TOGETHER『The Star Chapter: SANCTUARY』。サウンドやアレンジ面でのギミックは控えめで、むしろウェルメイド。ドラマチックな展開も少ない。メロディラインも、技巧やダイナミックな表現力を誇るというよりも、スムースでありながら息の多い、センシュアルな響きのボーカルの魅力を活かすようにチューニングされている。これまでの彼らのイメージとは少し違う、成熟したパフォーマンスが存分に収められたミニアルバムだ(同時に、いい意味でのケレン味のなさ、落ち着きには、ここ数年のK-POPシーンにおける“イージーリスニング”志向との交差も感じられる)。
たとえばリード曲の「Over The Moon」は、音数を絞ったミニマムなビートに加え、シンプルな展開にとどめたアレンジがボーカルとコーラスワークを際立たせている。サビでギターのディストーションやリードシンセが入ってそれなりに盛り上がりを演出するものの、ギターもシンセもメロディアスな煽りをあえて避けるかのようなフレージングがかえって印象を残す。サブスクでも聴ける本作のボーナストラックには、「Over the Moon」の英語バージョンに加え、Deep House Remix、R&B Remix、Rock Remixといったジャンルにリアレンジしたバージョンも収録されているが、とってつけたようなこてこてのリミックスよりも、ある意味サービス精神にあふれた抑制の効いたオリジナルのアレンジのほうが断然クールでうっとりとさせられる。
続く「Danger」もクールな1曲。ほとんどワンループで構成されるバースに、淡く浮遊するようなコード進行で静かに高揚感を煽っていくブリッジからコーラスへの流れ。とてもスリリングで濃密だけれど、2分15秒ほどというランニングタイムの短さでエレガントに幕切れする。