湘南乃風×氣志團、激突させた同志の絆 『お見合いツアー 2024』ファイナル公演に刻む新たな伝説の始まり

 「氣志團 お見合いありがとう♡」と書かれた横断幕を全員で広げた記念撮影を経て、湘南乃風のライブがスタート。「今回のツアーはヤバTから始まって、山嵐、FOMARE、そして氣志團。いろいろな音楽性と愛をもらって勉強になった。今日はツアーの終わりでもあるけど、新しい伝説の始まりでもある。一緒に走ってくれる人は両手を見せてくれ!」というHAN-KUNの呼びかけとともに突入した1曲目「Riders High」は、風一族とKISSESが掲げた掌が、ものすごいエネルギーを放っていた。飛び跳ねながら興奮を露わにする人々が大量発生した「JUMP AROUND」。光を放つミラーボールの真下で大合唱が起こった「Oh Yeah」。誰も彼もがステージから届けられる歌声を夢中になって噛み締めていた。

 「20年以上、ともに戦っている仲間たちが毎回想像を超えてくる。想像の先へ、ピリオドの先へ今日も連れて行ってくれた。俺らも負けられない。湘南魂と房総魂のぶつかり合いを最後まで見届けられますか?」とRED RICEが観客に問いかけてスタートした「黄金魂」。フロアで一斉に突き上げられたたくさんの拳、沸き起こった掛け声が雄々しかった。続けて「Born to be WILD」と「応援歌」も届けられ、熱を増していった観客の大合唱。ライブの盛り上がりは「ひとつになる」と表現されることがよくあるが、まさしくその言葉が当てはまる場面の連続だった。湘南乃風のライブを初めて観るKISSESも多くいたはずだが、全力で歌って踊りたくて堪らなくなったのだと思う。問答無用で野性的な興奮を誘う4人の歌のパワーを再確認させられた。

 「氣志團は同世代。俺らが何かでホストをやった時は氣志團がきてくれて、氣志團がフェスをやる時には俺らが行って、“よきライバル”って言ってくれています。そんなライバルを誰が授けてくれたのかわからないけど、もし神さまがいるんだったら感謝したい。俺たちははみ出し者で、世間からクズだと言われたり、イロモノだと言われたり、まるで朝方のカラスみたいだと言われて――いつも俺たちはこんな感じだった」と若旦那が想いを語り、「カラス」のサビをアカペラで歌った4人の声は、「親友よ」へと繋がれていった。「今日はジャンルも出身も飛び越えて仲間がひとつになる日。だから、知らない者同士でも繋がった証、肩組んで見せてくれよ」。そのHAN-KUNの言葉に応えて肩を組み合った人々がフロアで力強く揺らいだ。照明が落とされた会場をスマホのライト、ペンライトが彩った「純恋歌」も極上だった。

 飛び跳ねながらステージ上を左右に移動して歌う4人に合わせて、観客も無我夢中で踊っていた「バブル」。そして、ラストを飾ったのは氣志團も加わった「睡蓮花」。ここに至るまでに何度も大合唱が起こっていたが、やはりこの曲は桁外れだった。4人の〈濡れたまんまで〉に対して〈イッちゃって!!!〉と返す人々の歌声が心底楽しそう。湘南乃風と氣志團が交わす声と笑顔もまぶしいくらいキラキラしている。純度100%の幸福感が会場を包んでいた。

 歌い終えたのち、あらためて共演を喜び合った両者。「終わりたくないですけど、終わりでございます。終わりは次への始まりなので、また俺らと仲間がどこかでやったら遊びにきてください。いつまでも刺激を与え合える仲間。みんなからも刺激を貰ってます。この関係を一生続けていきましょう!」と語ったRED RICEに全力で賛同する歓声がステージに届けられていた。終演を告げるスタッフのアナウンスが鳴り響いた直後も、明るいムードで満たされていたZepp DiverCity (TOKYO)。氣志團との“お見合い”を大成功させたのはもちろん、観客の一人ひとりとも相思相愛になっていた湘南乃風であった。

湘南乃風、レゲエへの葛藤や解散危機を乗り越えて築いた居場所 それぞれの思いが交差するデビュー20周年インタビュー

湘南乃風が8月12日に開催した『湘南乃風 二十周年記念公演「風祭り at 横浜スタジアム」』の模様が、WOWOWにて10月15日…

湘南乃風、逆風に吹かれた時こそ一番いい形に 『風伝説 TOUR』待望の東京公演レポート

今年も夏が終わり、気温も右肩下がりになる中、10月25日の東京ガーデンシアターは夏真っ只中のような暑さを記録していた。延期が続い…

関連記事