小2の天才速弾きギタリスト そうちゃん、父が語る“好き”を伸ばす子育て術 音楽を通じた親子の絆

天才ギタリストそうちゃん父が語る子育て術

 スティーヴ・ヴァイ、ポール・ギルバート、ガスリー・ゴーヴァン、アラン・ホールズワース……。小学2年生の口から、そんなギタリストたちの名前が飛び出すのを聞いたことがあるだろうか。大人でも難しい速弾きギターを涼しい顔で弾きこなす姿がSNSを中心に話題となり、地上波テレビ番組にも出演を果たした弱冠8歳のギタリスト そうちゃん。そんな未来のスーパースターに、父親であるtoruさんとともにインタビューを行った。ギターとの出会いから好きなアーティスト、ポール・ギルバートとの邂逅などを語ってもらったほか、toruさんには、子供の“好き”を伸ばす親子のコミュニケーションや音楽を通して伝えていることなど、子育ての参考にもなるようなお話を伺うことができた。(編集部)

最初に覚えたギターソロはIron Maiden

ーーそうちゃんがギターを始めるきっかけについて、toruさんの口から説明いただけますか?

toru:僕はバンドをやっているのですが、バンドメンバーみんな好きなジャンルがバラバラなので、そこでいろんな音楽を共有し合っているんですね。そういった音楽を家で聴いたり映像を観たりしていたときに、(そうちゃんが)MR.BIGの映像にすごく興味を持ったらしくて。それは息子が2歳半のときなんですが、なぜか「野菜を食べたら(MR.BIGのギタリスト)ポール・ギルバートと同じギターがもらえる」と思い込んでいたみたいなんです(笑)。それで、3歳の誕生日にポール・ギルバートモデルのミニエレキを買ってあげました。それが最初なのかな?

そうちゃん:でも、その前から触ってたよ?

toru:そっか。1歳とか2歳になるくらいまでは家にあるちっちゃいミニアコギを、弾けないながらも掻き鳴らしていて。

そうちゃん:妹もさ、一緒にギター弾いてたでしょ?

toru:でも、妹はあんまり興味がなさそうだったじゃない(笑)。そんな感じで、そうちゃんが勝手にギターをもらえるって決めつけていたところが最初のきっかけなんです。

ーーそうちゃんはどうしてMR.BIGに興味を持ったんですか?

そうちゃん:(ギターの)速弾きがカッコよかったから。あと、(ステージ上での)動きもカッコよかったし、ギターとかベースとかドラムとか歌とかみんな上手だから好き。

toru:なんで上手ってわかったの?

そうちゃん:パパより全然上手だったから。

toru:僕のライブはちょくちょく観ていたので、たぶんそれよりも全然上手だったんでしょうね(笑)。

ーーなるほど(笑)。実際にそうちゃんがギターを手にして、最初に弾き始めた頃はどういう感じだったんですか?

toru:最初はギターを持って踊ったり怪獣みたいにシャウトしてみたりとか、変なことばかりやってたよね。曲に関しては、ギターを手にして1年ぐらい経ってママの誕生日に「Happy Birthday To You」を弾くって言ったのが最初だったかな。

そうちゃん:その次にThe White StripesとかIron Maidenとかを覚えた。

toru:まだ4歳だったので手が小さいからコードを押さえるのが大変で、それでドロップDという指1本で押さえられるチューニングの曲をまず弾かせてみました。そこから少しずつ指が動くようになって、だんだんと速弾きを教えていたって感じですね。その頃にはもう大人用のギターを弾いていたんじゃないかな。

そうちゃん
そうちゃん

ーーすごいですね。僕は中学生になってからギターを始めましたが、最初は運指にかなり苦戦した記憶があります。そうちゃんは柔軟性の強い時期から始めたから、すんなりと速弾きができるようになったのかもしれませんね。

toru:かもしれませんね。(そうちゃんに向かって)ギターを始めた頃って、指を動かして速弾きすることに違和感がなかったでしょ?

そうちゃん:なんとなくできちゃったって感じ。

ーーちなみに、最初に覚えたギターソロってどのアーティストの曲だったんですか?

toru:Iron Maidenだっけ?

そうちゃん:たぶん。

toru:最初はあんまり速弾きとかせず、しっかり聴かせるソロのある曲をチョイスして、ちょっとずつ曲のスピードとかソロの手数が多い曲を覚えていったんじゃないかな。最近は上達しすぎて、僕よりも速弾きが上手なので教えきれないんですけどね(笑)。

そうちゃん:Joe-Gさん(※ヘヴィメタルバンド・兀突骨のギタリスト。現在そうちゃんにギターをレクチャーしている)に教わってるから大丈夫だよ。

兀突骨 Gotsu-Totsu-Kotsu 「文物ト戦」 【Music Video】

ーー(笑)。普段のギター練習ってどのように進めているんですか?

toru:それこそ曲に合わせて弾いてみたり、あとはよくYouTubeに上がっているギターのマイナスワン動画(再生しながら練習できるように楽器や歌の1パートが消された音源動画)のバッキングトラックを流して、覚えた曲を合わせたりしていますね。

ーーtoruさんのなかで「この子、ものすごい才能の持ち主なんじゃ?」と気づいたタイミングってあったんでしょうか?

toru:難しいフレーズが弾けるようになるのが早いなとは薄々思っていたんですけど、確信を持てたのは最近なんですよね。それこそ、BPMが230ぐらいある速い曲をスルスル弾けたり、僕の何倍も速くダウンピッキングで弾けたりと、そういう努力では追いつかないレベルに達したと感じたときに「才能あるじゃない!」って気づきました。

そうちゃん
toru

THE POLICE、たま、Dixie Chicks……メタル以外にも広がる興味

ーーそんなそうちゃんが今好きなアーティストってどなたですか?

そうちゃん:いっぱいいるよ。兀突骨とか……ギターの人の名前でいい? (エディ・)ヴァン・ヘイレン、スティーヴ・ヴァイ、ポール・ギルバート、ガスリー・ゴーヴァン、あとは……アラン・ホールズワースも好き。

ーーガスリー・ゴーヴァンやアラン・ホールズワースなんて、小学生の口から出てくる名前ではないですよね(苦笑)。

toru:全般的にメタルが好きだよね。

そうちゃん:パパはKing Crimsonとかプログレが好きだもんね。

toru:僕はあんまりメタルを通ってこなかったんですけど、息子がメタルのセッションとかに行くようになって、ほかのギタリストを通して好きになった音楽を調べているうちに、最近は逆輸入的にメタルが好きになりました(笑)。

ーーそうちゃんがギターで弾いていて楽しいのはどういう曲ですか?

そうちゃん:とにかく速い曲。今はImpellitteriの曲を弾くのが楽しい。

toru:速いのが本当に大好きみたいで。ピアノも習いに行ってるんですけど、ギターでもピアノでも「最初はゆっくり弾いて練習するんだよ」って先生から言われても、どんどんスピードを上げていっちゃうんですよ。速さにこだわっちゃうから、そこはちょっと悩みでもあるんですけどね。

8歳が弾くImpellitteri / 17th Century Chicken Pickin'目隠し1.25倍速

ーー僕もそうでしたけど、若い頃って速ければ速いほどカッコいいと思っていましたし(笑)。

toru:でも、たまにTHE POLICEみたいなジャンルも弾くよね。

そうちゃん:THE POLICEは前弾いてたけど、もう忘れた。

toru:忘れたか(笑)。『YOUNG GUITAR』(シンコーミュージック)に息子のギターの先生が出ているコーナーがあって。そこには何人か講師がいるんですけど、そのひとりの宮脇俊郎さんっていう人のフレーズがちょっとTHE POLICEっぽいよねってことで、その流れで「じゃあ弾いてみる?」ということになったんです。

そうちゃん:最近はたまが好き。

ーーあの「たま」ですか?

toru:そうです。そうちゃんは人間椅子が好きなので、「昔『イカ天』(『三宅裕司のいかすバンド天国』(TBS系))って番組に出ていたんだよ」って教えて当時の映像を観ていたら、そのなかにたまの映像もあって。それを観て好きになったみたいです。なんで好きになったの?

そうちゃん:ハモリが綺麗だったから。あと、あの3人もハモリが綺麗だよね。

toru:あの3人? あ、Dixie Chicks(現・The Chicks)か。カントリーもよく聴いているみたいですね。

The Chicks - Not Ready To Make Nice (Official Video)

ーーここまでのお話を聞くと、ギター云々というより曲がカッコいいとか綺麗とか、そういう魅力にまず惹きつけられるんでしょうかね。

toru:音楽そのものが好きみたいなので、きっとそうなんでしょうね。

ーーそうちゃんがライブハウスなど人前で弾き始めたのはいつ頃だったんですか?

toru:初めてライブハウスに出たのは5歳のときですね。たしかRage Against The Machineとかやってたんですけど……。

そうちゃん:違う、4歳だよ。

toru:ああ、そうか。僕が幼少期からお世話になっているライブバーがあって、そこで最初にやりました。5歳になってすぐだったかな。その頃はまだ今のバンド(小学4年生のドラマーKotaと組むBigCarnage)のメンバーに出会ってなかったので、僕のバンドのメンバーをバックにつけて、ママに歌ってもらったりしました。

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