木村拓哉、手越祐也、ももクロ、ポルノグラフィティ……ポップミュージックのなかで出会える“ゲーム用語”
続いて紹介するのは、大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)が楽曲プロデュースを手掛けたももいろクローバーZの最新曲「レナセールセレナーデ」。この曲には、〈視野角を広げて/デッドゾーン0にして〉という一節がある。視野角(Field of View/FOV)は、ゲームのプレイ画面に映る視野の広さを意味する言葉。デッドゾーンとは、コントローラーのスティックを傾けても反応しない範囲を指し、数値を指定することで、スティックの遊び幅が変更可能であり、どちらも主にFPSで用いられるワードだ。大森らしい遊び心に満ちた歌詞であり、楽曲のなかでアテンションを引くフックとしての役割を担っている。
これまで紹介してきた楽曲とは対照的に、ゲームそのものをテーマとした楽曲も存在する。そのひとつが、ポルノグラフィティの2022年リリースのアルバム『暁』に収録されている「バトロワ・ゲームズ」だ。その曲名のとおり、この曲のテーマは、バトルロワイアルゲーム。〈丸腰で置き去り 限られたMAPで/武器(アイテム)を奪い合う 生き残るが手段/常にヘッショを狙われて こっちもヘッショを狙ってる/出会した奴がもうフル装備なら Game Over〉という歌詞は、これまで紹介してきたヘッドショット(ヘッショ)を含むゲーム用語のオンパレード。一方、サビでは、〈電脳の戦場で殺し合って/ヘッドセット外した現実の朝/まだ脳は濃い目のドーパミンに酔って/血走った赤い目が見ている世界線はどっち〉というように、ゲームの世界を相対化する目線の歌詞が紡がれていて、ゲームの世界と現実の世界を往来する歌詞の構成に思わずハッとさせられる。非現実の世界に潜り込むあまり、現実との境目が曖昧になってしまう感覚は、きっとゲーマーに限らず多くの人が味わったことがあるはず。この曲は、そうしたシーンにおける高揚と混乱の脳内を描写した切れ味鋭い一曲だ。
ゲームを主題としている/していないにかかわらず、近年、ゲーム用語を用いた楽曲が増えているのは、それだけゲーム用語が現代において市民権を得ていることの証であり、これまでもそうであったように、ポップミュージックは、これからも時代の変遷に寄り添いながら変化を重ねていくのだと思う。今回ピックアップした楽曲はごく一部だが、ぜひ、日々のリスニング体験を通して、ゲーム用語が用いられている楽曲を探してみてほしい。
※1:https://e.usen.com/interview/interview-original/1over-you.html
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