ももいろクローバーZはなぜアニソンに求められる? “唯一無二”のキャラクター性と抜群の表現力を紐解く

 さらに、2014年からアニメ展開された『美少女戦士セーラームーンCrystal』シリーズ(TOKYO MXほか)の主題歌も継続的に担当。TVアニメ第1期・第2期では、Sound HorizonのRevo提供による凛々しい熱気を湛えたシンフォニックロック「MOON PRIDE」、白薔薇sumire(原作者の武内直子のペンネーム)と旧アニメシリーズの音楽監督を務めた小坂明子が書き下ろした優美なミディアムバラード「月虹」(ともに2014年)で作品のオープニングとエンディングを彩った。TVアニメ第3期でも、やくしまるえつこによるOPテーマ「ニュームーンに恋して」(2016年)のももいろクローバーZバージョンが一部のエピソードでオンエア。そして映画『劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」』の主題歌「月色Chainon」(2021年)では、“ももいろクローバーZ with セーラー5戦士”として、セーラー戦士たちとのコラボレーションによる歌唱が実現。儚さと勇ましさの両方を併せ持った美しくも複雑なニュアンスの楽曲を、TVアニメシリーズよりもさらに成長した歌声で見事に表現してみせた。

【ももクロMV】MOON PRIDE / ももいろクローバーZ
ももいろクローバーZ with セーラー5戦士【MV】『月色Chainon』Animation Music Video

 しかし、実はそのキャラクターとの次元を超えたコラボレーションこそ、ももいろクローバーZとアニメソングとの相性の良さを考察する上で重要なポイントだと思われる。彼女たちは2019年、TVアニメ『ちびまる子ちゃん』(フジテレビ系)のアニメ化30周年企画の一環として“『ちびまる子ちゃん』30周年アンバサダー”に就任し、同年にOPテーマ「おどるポンポコリン」を担当したのだが、その楽曲にまる子をはじめとしたお馴染みのキャラクターたちが参加。掛け合いや合いの手を入れる形でコラボしていた。さらに、同シングルのカップリング曲でもキャラクターたちと共演。中でも“佐々木彩夏&みぎわさん feat. 花輪くん”名義の楽曲「私を選んで!花輪くん」は、あーりん(佐々木)とみぎわさんが、どちらが花輪くんに相応しいかを楽曲内で競い合うというストーリーのデュエットソングで、セリフの掛け合いだけでなく花輪くんが俳句を詠むパートも用意されており、まるで佐々木が『ちびまる子ちゃん』の世界で共存しているような内容になっている。しかも驚くべきことに、そこには何の違和感もないのだ。

ももクロ【MV】『おどるポンポコリン / Odoru Pompokolin』ANIMATION MUSIC VIDEO

 これはきっと、ももいろクローバーZのメンバーそれぞれのキャラクターが立っているからこそなのだと思う。彼女たちは全員が突出した個性の持ち主で、なおかつその方向性はみんなバラバラ。それはまるで、アニメやマンガの登場人物たちのようでもある。それこそ“戦隊ヒーロー”のように、さまざまな色を持ったメンバーたちが一丸となって、ひとつの楽曲なりライブなりを全力で表現すること、そして各々が自分の個性を活かして幅広く活動することによって、多くの人々に愛される存在となったわけで、そんな彼女たちだからこそ、この16年、憧れの“アイドル”もしくは“週末ヒロイン”としてあり続けられたのだ。

 2022年には、アニメ化もされたメディアミックス作品『アイドルマスター シンデレラガールズ』の音楽ゲームアプリ『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』とのコラボ楽曲「Majoram Therapie」を発表した。次元を超えた“アイドル”として、あらゆるスタイルの楽曲に果敢に取り組み、唯一無二のキャラクター性を発揮している彼女たちであればこそ、多種多様なアニメの世界に寄り添った歌が歌えるのではないかと思う。

ももクロ【MV】デレステコラボ楽曲『Majoram Therapie』 -MUSIC VIDEO-

※1:https://www.momoclo.net/archives/news/240820_02

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