2024年夏フェス出演回数ランキング! 出演回数の最も多いアーティストを大調査

3位/計12回出演

 現代バンドシーンにおける熱さと面白さを兼ね備えた2大巨塔である四星球と、ヤバイTシャツ屋さんがここでランクイン。同ランキングの王者候補の一組でもあったヤバイTシャツ屋さんは、今年志摩スペイン村でのリベンジ公演を行ったり、こやまたくやが『ラヴィット!』(TBS系)でスマブラ対戦に参加するなど、お茶の間まで広く話題となった。同じく3位になった四星球は、昨年から大きくジャンプアップ。四星球は、さまざまなイベンターに愛されて、いろいろなコンセプトのフェスに参加した結果なのだと想像できるし、そのうえで『MONSTER baSH』のような地元のフェスでも活躍しているのが印象的だった。

 四星球同様、昨年は5位以下だったサバシスターもここにランクイン。今年は『京都大作戦』のような先輩バンドが主催やブッキングを行っているフェスから、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』や『SUMMER SONIC』のような日本4大フェスまで出演しており、サバシスターもまたさまざまな世代や層に支持されているのがよくわかる。バンドシーンの新世代として、このまま冬のフェスも駆け抜けていってほしい。

2位/計13回出演

 昨年王者だった10-FEETは、今年は2位という結果に。それでも、今年も2位にランクインしているのがすごい。昨年末には「Re方程式」、今年は「gg燦然」など、コンスタンスに新曲を発表していたことも堂々のランクインに繋がったように思う。

 今年6月には、10-FEET同様に主催フェスを開催し、パンクシーンやバンド発信のカルチャーの歴史を引き継いでいる印象の04 Limited Sazabysも昨年から順位をひとつ上げて、2位にランクインした。近年オリジナルの新曲のリリースは行っていないが、だからこそ各ライブで展開されるセットリストは洗練されたものになっていること、バンドとしてのジャンルは明確でありながらも間口の広い存在であることから、出演数を伸ばした印象を受ける。

 さらに、現メンバー15周年を迎え、直近ではトリビュートアルバムのリリースもあったクリープハイプも、04 Limited Sazabys同様にひとつ順位を上げて、2位にランクイン。12月には3年ぶりのアルバムのリリースが控えており、その後には全国ツアーも予定していることを考えると、きっとスケジュールとしては相当過密であるはずなのに、今年もコンスタンスに夏フェスへ出演を続けているところに、このバンドのバイタリティの高さが窺える。この夏を通して、北は北海道、南は九州まで、網羅的に出演を果たしており、各フェスの軸になっていることも印象的だった。

1位/計15回出演

 1位は、単独でSaucy Dogがランクイン。Saucy Dogもまた、アーティスト主催フェスから、メディアの主催フェス、企業の主催フェスと、さまざまなフェスに出演しているのが印象的だ。かつ、フェスの規模感にとらわれずに出演しているのも、非常にすごいことだ。Saucy Dogといえば、「いつか」や「シンデレラボーイ」、さらに今夏にリリースした「馬鹿みたい。」のように、若者世代の心をがっちり掴む、切ないラブソングが目につくバンドではあるが、バンドとしてのスタンスはパンキッシュな一面も持っているのが特徴。時にサウンドやスタンスに、その色が反映されるところも、バンドの大きな魅力になっている。リスナーが持つパブリックなイメージと、バンドのコアな部分にある熱い想いが「どこまでも行ける力」へと昇華し、無二のバンドになった――。だからこそ、さまざまな人々、さまざまな土地に愛され、今年もコンスタントに活動を重ねた結果、今年いちばん夏フェスに出演したアーティストとして君臨することになったのだろう。

 なお、6位以降にランクインしたアーティストをみてみると、6位のFOMARE、7位のHEY-SMITH、ハルカミライ、プッシュプルポットといったバンドのランクインが後続で目立った。ライブの環境についても多様な意見が交わされる近年のシーンにおいて、モッシュやダイブのカルチャーにも近い、こういったバンドの活躍が目立つのは純粋にワクワクする。また、こういうランキングの性質上、バンドの名前が出ることの多い一方で、8位には女性ラッパーとしてシーンをサバイブし続けるAwich、ボーイズグループとしては最上位の出演回数となるBE:FIRSTの名前があったのも印象的だった。

 もちろん、アーティストの出演回数というのはオファーのタイミングやチーム全体のスケジュールの兼ね合いで変動するものであり、表には出ていないだけで、きっとたくさんの「出たいけど、出れなかった」があっただろう。そんななかでも、3カ月という期間のなかで、実績として(中止も含むが)15本のステージをこなしたSaucy Dogのすごさはやはり際立っていた。あらためて、おめでとうございます。

 次回はまた来年の夏の終わりに。2025年はどのアーティストが王者の座を手にするのか、乞うご期待!

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