The Killers、Awichはフジロックで特別演出 TOTALFATはSiMの名曲カバー……夏フェス代打劇が生むドラマ
全国各地で多くの感動と興奮を生み出している今年の夏フェス。一方で、出演者のキャンセルや急な変更により、予期せぬ代打劇が相次いでいる。大型の音楽フェスにはつきものとも言えるが、そんなアクシデントを乗り越えるべく、代打の大役を担ったアーティストのライブについてクローズアップしてみよう。
今年、音楽ファンを最も驚かせた来日キャンセルといえば、『FUJI ROCK FESTIVAL '24』(以下、『フジロック』)初日でヘッドライナーを務める予定だったアメリカのR&Bシンガー SZAのキャンセルではないだろうか。そのニュースは、『フジロック』開催から約2カ月前のタイミングで突如発表された。SNSでは、初来日となる彼女のパフォーマンスを楽しみにしていたファンから悲鳴にも似た声が上がった。当然、大型フェスの目玉にあたるヘッドライナーのキャンセルとなると空席のままにしておくことはできないわけだが、過去に『フジロック』は、ヘッドライナーに据えていたカニエ・ウェストのキャンセルに伴いArcade Fireを招聘するという華麗な代打劇に繋がったこともあり、フジロッカーの中では、今年も代打アーティストへの期待が高まっていた。
そして発表されたのが、世界中の音楽フェスでヘッドライナーを務めてきたアメリカ・ラスベガスのロックバンド The Killersの代打出演である。2004年に『フジロック』に出演したことのある彼らだが、ある意味「いわくつき」のバンドでもあった。というのも、2度目の出演を予定していた2009年の『フジロック』をキャンセル、そして2010年には単独の来日公演もキャンセルし、以降も一部公演のキャンセルや日程・会場変更が発生したこともあり、今年本当に彼らが苗場で演奏するのか、当日を迎えるまで不安を抱くファンも少なくなかった。しかし、約束通り『フジロック』最大のステージであるGREEN STAGEに登場したThe Killersは、一瞬にしてそんな不安を払拭。「Somebody Told Me」や「Mr. Brightside」といった代表曲を網羅する最高のエンターテインメントショーを見せつけた。「For Reasons Unknown」ではフロアの観客をドラマーとしてステージに上げ、見事なセッションを披露したこともSNSなどで大いに話題になり、まさにヘッドライナーらしい大円団となった。
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あわせて注目したのは、The Killers前の時間帯にサブヘッドライナーとして出演したAwichのステージである。ケンドリック・ラマーなど最先端のUSヒップホップとも繋がりの深いSZAのステージを前に、Awichが日本のヒップホップ界を代表してパフォーマンスする予定であったが、これは惜しくも叶わなかった。だがAwichは「ヘッドライナーがキャンセルになったから行かないとか、Awichにはサブヘッドライナーが務まらないとか、ごちゃごちゃ言ってんじゃねえよ。そんなレベルでステージやってねえから」と宣言してオーディエンスを完全にロック。多数のダンサーをステージに招き、派手な映像演出も駆使して、ルーツである沖縄カルチャーを体現した“新しいAwich”のステージをこれでもかと見せつけ、苗場をホームグラウンドに変えてみせた。
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