TOMORROW X TOGETHER、RIIZE、aespa、Stray Kids……“日本語曲×アニメーションMV”の話題作が増えた背景

 K-POPグループのMVは、磨き抜かれた技術が光るダンスシーンや圧倒的なビジュアルで魅せるソロ歌唱シーンなど、基本的にメンバー本人が登場する形式が多い。しかし、TOMORROW X TOGETHER「きっとずっと (Kitto Zutto)」やRIIZE「Lucky」など、K-POPグループが日本語曲のMVでアニメを用いる例が相次いでいる。なぜ彼らが日本でリリースする楽曲のMVにアニメ表現を選んだのか? 今回は、話題になったK-POPグループの日本語曲におけるアニメMVを紹介するとともに、その魅力について考察していきたい。

有名キャラクターや人気クリエイターとコラボしたMVが話題に

 冒頭でも触れたTOMORROW X TOGETHERの「きっとずっと(Kitto Zutto)」は、彼らが今年7月3日にリリースした日本4thシングル「誓い (CHIKAI)」に収録されている楽曲で、メンバーのHUENINGKAIが制作に参加していることでも知られている。

TOMORROW X TOGETHERの「きっとずっと(Kitto Zutto)」MV

 本作は、スタイリッシュなダンス曲のイメージがある彼らの中では異色であるアップテンポなJ-ROCKスタイルの楽曲。歌詞では「どんなときもずっとそばにいる」という決意が歌われており、HUENINGKAIも「MOA(ファンの呼称)のことを想いながら作りました」と明かしていた(※1)。9月4日に公開されたMVでは、歌詞のテーマに合わせてメンバーをモデルにしたアニメキャラクターがMOA(ファンの呼称)への想いを手紙に託し、紙飛行機に乗って空へと旅立つ様子が描かれている。日本のアニメのOP映像を思わせる作りは親しみやすく、紙飛行機の飛行シーンは疾走感のある楽曲とマッチし、楽曲の魅力をより引き立てている。MVでは、途中でピンチに見舞われてしまうが、5人が力を合わせて乗り越え、前に進んでいくというシーンが描かれている。メンバーの怪我や病気など、決して順風満帆ではない歴史の中でも変わらなかった5人の絆を想起させ、胸が熱くなってしまう。

 後半では、公式キャラクターである「PPULBATU」も登場するなど、ファンにとってはたまらない内容だ。アニメの制作は、1999年生まれのイラスト・アニメーション作家、MARU AKARIが手がけており、キュートで優しげなタッチにほっこりさせられる。

 同じく冒頭で言及したRIIZEの「Lucky」は、9月5日に発売された彼らの日本1stシングル『Lucky』のタイトル曲。ゆったりとした爽やかなダンスチューンで、RIIZEらしい抜け感がありつつも、メロディもビートもより耳馴染みが良いものとなっていて、J-POPらしいとっつきやすさが感じられる一曲だ。MVは、本人出演バージョンの他に、ドリームワークス・アニメーションの「Good Luck Trolls」とコラボしたアニメバージョンも公開されていて、メンバーをモチーフにしたカラフルなトロールズが音楽に合わせて軽快に踊るかわいらしい内容となっている。本楽曲には、タイトルでもある〈lucky〉というフレーズが繰り返し出てくるが、MVのキャッチーな世界観やポップな色合いのキャラクターたちの効果も相まって、より楽しくてハッピーな気持ちにさせられる。

RIIZE「Lucky」MV (Good Luck Trolls Ver.)

 このコラボレーションは、2023年に公開された映画『Trolls Band Together』に登場するキャラクターであるブランチの韓国語吹き替えをメンバーのEUNSEOKが担当したことがきっかけとなって実現。今後は「Good Luck Trolls」のキャラクターを用いたコラボ商品も展開されるとのことで、ファンの期待も高まっている様子だ。

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